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ブロックチェーンがガチで社会実装される瞬間を見た-暗号屋note

こんにちは!暗号屋広報です。

今回は暗号屋にコンサルティングをご依頼くださった、クライアント様の事例が「ガチの社会実装」とも呼べる試みだったので、ご本人にメールインタビューを行いました。2002年に香港で誕生した海外子女専門の学習塾、epis Education Centreわかば深圳校の山家先生です。

山家先生 https://twitter.com/hajimeyamaya

学習履歴の証明としてNFTをパブリックチェーン上に発行し子供たちに付与することで、子供たちが自らの学習履歴を通して自己の価値を証明することが出来るようになる、Learning Ecosystemを構築したいというご相談が山家先生から暗号屋に寄せられたことをきっかけに、暗号屋が2023年4月からアドバイザーに就任、2023年8月に行われたepis Education Centreの夏期講習では、Learning EcosystemによるNFT付与の実証実験をお手伝いさせていただきました。

本業は塾の先生でありながら、ご自身でもHENKAKUやUnchainといったWeb3関連のコミュニティで活動されている山家さん。そのバイタリティやモチベーションはどこから来ているのか!?以下のインタビューをご覧くださいませ!


暗号屋:まず、Learning Ecosystemおよびepis Education Centreについて簡単にご説明ください。

山家先生:エピスは、2002年に香港で誕生した海外子女専門の学習塾です。香港には、日本人学校のほか、さまざまな国の教育制度に準じたインターナショナルスクールがあり、多様なバックグラウンドを持つ子どもたちが数多く暮らしています。そのため、香港にはこうした海外子女をサポートする学習塾が数多くあり、エピスはこれらと切磋琢磨する中で海外子女教育に関するノウハウを培ってきました。

現在、香港2教室(香港島・九龍半島)、中国・深圳と蘇州、そしてオーストラリア・シドニー、メルボルン、ブリスベン、インド・グルガオンの8教室に年長〜高校3年生まで多数の子どもたちが在籍しています。私たちはこうした海外子女の教育に携わるにあたって「我々が指導している子どもたちは、未来の日本、そして世界を担う貴重な存在である」ということを常に念頭に置いています。

この「Learning Ecosystem」プロジェクトは、生徒に対する価値と認定の形を多様に定義することを目的としています。学習の修了や特定の行動をした生徒に対して、ブロックチェーン技術を活用したNFT(ノンファンジブルトークン)による認定やトークンインセンティブを提供する基盤の構築と実証実験を行います。

本プロジェクトにより、生徒はウォレット(DID)を利用して自分の学習ポートフォリオを管理することが可能になります。従来の紙の認定書に代わり、デジタル(NFT)で認定されることで、これまで以上に多様で個人が持つ独自の価値や魅力をポートフォリオ化することが可能になります。

暗号屋:次に山家先生がepis Education Centreわかば深圳校の先生になるまでの経歴・経緯を簡単にご説明いただけますでしょうか?

山家先生:高校卒業後、北海道の牧場で3年間働いた後に大学に進学。卒業後は、日本で主に教育関係の仕事に約20年間従事していました。その後、弊社で最初の半年は蘇州の教室に講師として赴任し、深圳に移って以降現在に至っています。

暗号屋:Web3に出会ったきっかけ、また、HENKAKUやUnchainといったオンラインコミュニティに参加するきっかけはどういったものだったのでしょうか?

山家先生:深圳の教室で『デジタルファブ・ラボ』という講座を担当していた時に、生徒たちが様々なプロジェクトに取組む過程を彼らのキャリアとしてずっと持ち歩けるようにしてあげたいという思いからブロックチェーンという技術がその突破口になると考え、HENKAKUに参加させていただきました。

その後、教育産業においてブロックチェーンを活用した学習履歴を証明する仕組みがなく、八方塞がりの状態となり、自分でコードを書いて作るしかないと思ってUNCHAINに参加しました。

暗号屋:そこからどのようにしてLearning Ecosystemの構想が生まれたのでしょうか?

山家先生:深圳では、ハードウェア製品の開発におけるエコシステムが早くから確立されたことで急速な経済発展を遂げました。そういったエコシステムの発想が、子ども達の多様な学びをも急速に発展させることにも応用できるのではと考え始めたことが、『エコシステム』という名前の由来でもあります。

暗号屋:山家先生自身の学習コミュニティにおける活動が起点となって、今回のLearning Ecosystemが誕生していると思うのですが、生徒に教える傍らで自らも学び続けるモチベーションはどういったものなのでしょうか?

山家先生:『教室に集ってくれる子ども達がすごく楽しそうに取組んでくれるので、もっと楽しんでもらいたい』ということぐらいです。彼らの笑顔がなければ、このプロジェクトも何の意味も持ちません。

暗号屋:山家先生が教える科目の一つであるSTEAM教育と学校教育は、例えば20年後はどのような形で共存していると思いますか?

山家先生:分かりません(笑)共存しなくていいんじゃないでしょうか。互いに尖りまくってバチバチやるぐらいの方が面白そうです。

暗号屋:Learning Ecosystemを運用してみて、子供達が山家さんが想像もしなかったような使い方やリアクションを見せてくれた場面はありましたか?また、それはどういったものでしたか?

山家先生:むしろ想像できたリアクションなんて一度もありませんね。子ども達は、自分自身で作ることなんて絶対に無理だと思っていたものが、テクノロジーを活用することで『自分でも作れる』ってことがわかった時、彼らのイマジネーションが爆発するんですよね。

暗号屋:最後に、Learning Ecosystemの今後と、それに向けた意気込みをお伝えください。

山家先生:まずは、弊社の香港・中国・ドイツの5教室で運用開始となった『episオンラインコミュニティ』を盛り上げ、子ども達の多様な学びや文化、価値観の共有を加速させ、様々なキュレーションを起こしながら、全く新しい学びの価値を創造していきます。

また、「神奈川県庁 いのち・未来戦略本部室」や「一般社団法人学びラボ」、その他教育機関との業務提携など近いうちに(早いものは来年から)事業として展開する予定で準備を進めております。そのために、新たな技術開発としてNFCタグによるNFT発行システムのBaaSやスマホで編集できる学習ポートフォリオの構築を年内を目処に行っていきます。


インタビューは以上となります。
いかがでしたでしょうか?

エンジニアではない一教員の山家先生が、業務以外の時間に自分でコードを書いたり、BaaSを使ってNFTがMint出来るページを作る作業を、ものすごいペースで行なっている様子は「ガチ」と呼ぶに相応しい本気度合いでした。

山家先生からもご説明があった通り、epis Education Centreは海外に住む日本人子女向けの学習塾です。日本人ですが日本に地元が無かったり、日本の風土を良く知らない子供たち、ご両親のお仕事のご都合で、いろいろな国を転々としている子供たちもいらっしゃいます。

良く言えば「地理的な制約から解き放たれている」とも言えますが、いま住んでいるところで認定された価値が、これから住む場所で認定されるか?という不確定要素に対し、分散管理され国や事業者の都合で止まることがないブロックチェーンの活用は必然でした。

今回のプロジェクトで我々も、山家先生以外の講師の方や生徒さんの保護者の方といった、ブロックチェーンに知見や興味が無い方に向けてウォレットやBaaSの使い方をお伝えするプロセスを通じて、本当の社会実装を行なっている実感を得ることが出来ました。

このように明確な目的に対し「必然的な手段」として適切にブロックチェーンを活用すること。また、なるべくではありますが、誰も置いていかないようにすることが、ブロックチェーンを社会実装していく上で非常に大切であることに改めて気付かされました。

暗号屋では引き続きブロックチェーン技術の社会実装に向けた取り組みや開発を実施して参ります。お問い合わせやご相談は下記フォームからいつでも受け付けております!


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