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【コラム】Web3とREGGAE-暗号屋note

こんにちは!シン暗号屋広報です。

前回の「Web3とHIPHOP」に続いて、今回は「Web3とREGGAE」についての考察をコラムにしてみます。

日本のレゲエミュージシャンでWeb3に関する実践や発信を行なっている方は意外にも多く、Kush81名義でNFT PJの「EXODUS」をプロデュースされているU-J Tysonさん、最近は音楽以外にも絵本の執筆や、それに関連したNFTのリリースを行なっている三木道三ことDOZAN11さん、NFT Musicの可能性を追求しているHibikillaさんなど…既に彼らの発信をチェックされたレゲエリスナーの方はWeb3に関する知見をお持ちかもしれませんし、REGGAEは長い歴史を持った深い音楽なので…シン暗号屋広報、執筆するにあたり、少し緊張しております。笑

もともと最先端の機材やテクノロジーを取り入れるのが早いのがREGGAEのスタイルでもあること、また、セレクター(他ジャンルで言うところのDJ)の間では「DUB PLATE(ダブプレート)」と言って、市販の有名な楽曲の歌詞の一部を自分用にカスタムし、本物の歌い手に歌ってもらう、「自分しか持っていないバージョンの有名な楽曲」を良しとする文化、言い換えれば「開かれた二次創作」の需要があることなどから、Web3とREGGAEも相性が良い部分が大いにありそうです。では行ってみましょう!

HibikillaとWAGMI Music

日本のレゲエミュージシャンであるHibikillaさんは昨年からご自身で「WAGMI Music」というMusic NFT Labelをローンチし、異なるブロックチェーン上でもNFTを利用できるomni-chain NFT「Rising’ to the top feat. Laya」や、一つ一つアートワークが異なるgenerative Music NFT「Bad Mind feat. Itaq」など技術面も含めたクリプトアートを取り入れたMusic NFTをリリースしました。同年7月までに総取引量1.9ETHを記録したそうで、NFT x 音楽というまだ出来上がっていない市場における挑戦としては、かなりの善戦だと思われます。

WAGMI Musicを始める前から、同じRiddim(オケ)に対し複数の歌い手が大喜利のようにそれぞれの歌を作って発表する「ONE WAY」というリリース方式に力を入れるなど、レゲエマナーに乗っ取った活動で知られていたHibikillaさんだけあって、NFTに参入してからは各楽曲リリース時に制作の背景やNFTの機能、今後のロードマップを示したペーパーをリリースするなど、Web3マナーも完全に乗りこなしたリリースインフォメーションに勝手ながらす、すごい…と脱帽しておりました。

本記事のテーマとも重複する記事で、より濃い内容なので恐縮しますがHibikillaさんに興味を持って下さった方は以下のインタビューもチェックしてみてください!Audiusに曲をアップロードしたことがきっかけでクリプトの世界を認識したエピソードなどなど、興味深いお話が満載です。

そんなHibikillaさんの新しいアルバム"KillerTune"が明日11月1日(水)にリリースされるようです。昨年には、リリースされた楽曲アカペラ(Music NFT)のRemixコンテストを行い、Discord上での投票を経て選ばれたアーティストにETHで賞金が支払われ、そのRemixバージョンがこのアルバムに収録されています。こういったホルダー参加型の楽曲が、コミュニティの意思で選ばれてアルバムに収録される流れは、まさにレーベル名にある「WAGMI(We Are Gonna Make It)」を体現していると思います!

Hibikillaさんにとって12年ぶり6枚目のアルバムとなる“KillerTune”

気になった方はご本人のX(旧Twitter)をフォローして、視聴や購入を行なってみてください!

Crypto Rastas

次にご紹介したいのが「Crypto Punks」のREGGAEフォーク?である「Crypto Rastas」というNFT Collectiblesです。音楽レーベルもやっていて、前述のHibikillaさんの楽曲もリリースされているのですが、まずはこのレーベルから最初に発表された楽曲を聴いてみて欲しいです!

歌い出しは「It’s all about the NFT. / Betta you join inna mi community.」。日本語にすると「NFTしかねえ〜!お前も俺のコミュニティに入った方がいいぜ〜!」といったところでしょうか。BettaはBetter、innaはin the、miはmyをパトワ語(ジャマイカのローカル言語)で発音した形です。

レゲエの中のダンスホールというサブジャンルにおいて最も有名なRiddimのひとつ「Sleng Teng Riddim」の上で、NFTやCryptoについて歌っています。Crypto Punksのフォークは大量にあるので、どれが本気でどれがおふざけなのか分からなくって、Crypto Rastasもそんな中の一つだと思っていたのですが、この楽曲が発表されたことで彼らの本気度が伝わってきました。

Sleng Teng Riddimの基礎となるドラムとベースは日本人のCASIO社員の方が作ったことでも知られています。ご本人の貴重なインタビューがあるので併せてご覧ください!

話を戻すと、Crypto Rastasは通常のNFTコレクションに加えて、実際のレゲエアーティストと公式にコラボしたピクセルアートNFTもリリースしていたり、アパレルにとどまらずスケートボードなど面白いグッズも発表していたりと、マーケットが冷めている今もコミュニティの熱量が維持されているのが興味深いところです。

最近は日本のレゲエミュージシャンのアルバムジャケットへのイラスト提供で有名なMURASAKIさん(ご自身のNFT Collectibles “Cool Rulers”も運営中!)とのコラボが計画されているなど、日本からも期待の視線が集まりそうな計画を立てているようです!

Crypto Rastasの公式ウェブサイトはこちら

REGGAEと二次創作

NFTで音楽を流通させるメリットに、特定のウォレットに対して二次流通以降の取引からも売上の一部を送金し続けられることがあります。中古レコード店で10万円を超える値段がついたレコードが売れたとしても、中身の音楽を作ったアーティストはその売上から1円たりとも受け取ることが出来ず、自身のレコードにプレミアがつくことを毛嫌いするアーティストもいるほどです。しかしNFTで流通した音楽であれば、転売される度にアーティストに売上の一部が送金される仕様で発売することが出来るので、プレミアがついた状態を販売店(プラットフォーム)もアーティストも喜んで受け入れることが出来ます。

REGGAEにおいては前述のように「Riddim」と呼ばれるオケが半ば共有材のようになっていて、そこに歌い手は自由に歌を乗せて発表することが、著作権的にはNGでも文化的にOKになっており、今でも古いRiddimをそのまま使ったり演奏し直したりした楽曲が発表され続けていますが、それらの利益が正しい著作者に分配されているかは疑問ですし…おそらく分配出来ていません。しかしRiddimがMusic NFTとしてのみリリースされ、それを使った楽曲もMusic NFTとしてリリースされれば、Riddimを作ったアーティストに自動的に売上の一部が送金され続ける仕組みの構築が可能になります。

Sean Paul - Get Busyのオケで有名なDiwali RiddimのONE WAY Mix。大喜利大会として聴いてみてください!

また、こちらも前述の「DUB PLATE」文化ですが、セレクターはもちろん、REGGAEが浸透しきったジャマイカでは新郎新婦や還暦を迎えたご老人が録音を希望するくらい、一般にも需要がある文化です。そのくらい浸透しているからこそ、偽物の歌い手が本物を自称してカラオケ録音を売りつけるような事件も頻繁に起こるのですが、アーティスト本人やエージェントのウォレットアドレスを公開しDUB PLATEをMusic NFTとして発行すれば、真贋証明の必要もありません。

このように二次創作が重要な要素として紐づいたREGGAEの文化が、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって売上を自動分配する機能、正式な発行アドレスを公開するだけで真贋証明が出来る機能などによって、グローバルな流通の弊害である搾取というバビロンシステム(注1)から逃れ、ブロックチェーン上のザイオン(注2)に辿り着く日もそう遠くはないのかもしれません。

🇯🇲レゲエ用語解説🇯🇲
注1:バビロンシステム=悪社会とそれを支える仕組み
注2:ザイオン=聖書に登場するMount Zionが由来で、約束の地・理想の地といった意味

暗号屋による音楽コラム第二弾「Web3とREGGAE」いかがだったでしょうか?多少マニアックな内容かもしれませんが、これを機にレゲエミュージックやMusic NFTに興味を持ってくださる方がいらしたら何よりです。

ちなみに暗号屋が開発したプロトコル「VWBL」を使えば、無料でMusic NFTをMintすることが出来ます。サムネイルとなるメタデータは公開されますが、音楽ファイルはNFTを持っている人にしか再生出来ないので「楽曲をCDに焼いて渡した相手しか聴けない」のと同じ状態を、ブロックチェーンを介して再現することが出来ます。ご自分で作成した音楽ファイルをお持ちの方は下記のVWBL Demo Appを使ってMusic NFTをMintしたり、それを流通させてみてください!

暗号屋へのお問い合わせは下記フォームからお願いいたします!

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