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デザインについてあれこれ

弊社は、主にスマートフォンケースにオリジナルのデザインをプリントするサービスを行っています。サービスの開始は2015年となり、ちょうどiPhone6が発売された後になります。当初は、ポリカーボネート製のケース、ハードケースへ昇華印刷を施すことからスタートし、徐々に手帳型や本革ケースなど、様々な商品を増やしてきました。そのような中で、今回はデザインについて書かせていただきます。

デザインとはなんぞや!

デザインとはなにか? それは、「美しさ」や「使いやすさ」などの狙いを実現するために創意工夫すること、および、その創意工夫の成果を反映させた見た目や機能のあり方のことと定義されています。ここで曲者なのが「美しさ」という言葉です。これってかなり主観的な要素を含む言葉です。

もちろん世の中には大多数の人が認める究極の「美しさ」があることは百も承知です。そのような「美しさ」を求めて日々勉強されている方もいらっしゃるし、それを求める心も素晴らしいと思います。ですが、主観的な要素を含むだけに、非常に危険なのも事実です。

誰もがいいね!と言ってくれるデザインは往々にして非常にシンプルで、洗練された美しががあるように思います。しかし、それとは対象的にかなり個性的な尖ったデザインでも一部の人たちから熱狂的に指示されます。

デザインのキモとされる黄金比

弊社がまず考えたのは、そのように熱狂的に指示されるようなデザインです。それは弊社のように業種転換した会社ならではの発想かもしれません。もともとが大多数の読者を空いてに出版していたわけではないので、このニッチであれば勝算があると考えました。そのニッチとは、もちろん出版時代に大量に撮影した魚の画像を使ったデザインです。

この魚の画像を活用し、デザインをどんどんアップしていくと、魚釣り愛好家たちから「次はこれを作って!」、「この魚種はある?」といった反応がくるようになりました!

結局デザインって、人の目に止まって正解。それを痛感しましたし、どんなにおしゃれなデザインでも売上につながらないものは、弊社では売れないデザイン。デザインがいいとか悪いとか、これが売れるか売れないかなど迷っているのであれば、まずは発表してみて皆様の反応を見ることのほうが重要だと思います。

商業デザインに求められもの

もともと出版を行っていた関係上、チラシやポスターなどのデザインの依頼なども頻繁に受けていました。いわゆる商業デザインといった分野ですね。通常は印刷会社やデザイナーに依頼する分野ですが、扱っているものが魚釣りだったので、特殊!! よってそのまま魚関係のデザインは弊社にスライドされるといったケースが多かったように思います。

ここで、商業デザインを作成する上で重要なのが、クライアントさんがどのような結果を求めているか、そして、どのようなデザインを求めているかを見極めることです。クライアントさんと打ち合わせを行う中で、ちょっとしたキーワードを頂けると非常に作業がスムーズになります。そのキーワードとは、そのご担当者が好きな物。好みです。

これが分かると、その好みに沿った形で作ることで、校正作業を大幅にカットすることができます。

ちょっと余談になりますが、学生時代を思い出してください。同じクラスには様々な好みを持った生徒が集められます。キラキラ組、スポーツ組、お笑い組、オタク組。真面目系、音楽好きなどなど。そして、当然ですが、それぞれは好きな分野の映像やニュースを拾っています。だから自ずと好きなデザインはその分野にあったデザインとなるわけです。つまり、クライアントのご担当者がキラキラ組に見えるのであればそのようなデザインを、真面目系であればそのようなデザイン、スポーツ系であればそのようなデザインを要素に組み込むことで、「なかなかいいね!」と言って頂ける確立がグウ〜ンとアップします。それはそうですよね。いつも見ているデザインに近ければ、その人にとっては違和感がないですから。。。だから私の場合は、打ち合わせをする際に、デザインの趣旨とともに、ご担当者がどんな人物なのかをチェックしてからデザインに入るように心がけています。

これをスマホケースのデザインに応用すると、弊社が商品としてアップしているデザインになってくるといった感じです。そして、それはニッチの分野で話題になり、ぼつぼつ売れていくといった感じなってきます。これが弊社の考える商業デザインです。

弊社のデザイン戦略

デザイン戦略というと、大げさかもしれませんが、ブランクのケースに印刷してお届けすることを生業とする弊社としては、かなり戦略的にデザインしてきたつもりです。

  1. 釣り愛好家に好まれるデザインを極める

  2. 釣り愛好家が他にもほしいと思うデザインを加える

  3. ニッチからニッチへとデザインを拡散する

戦略としてはこのような形になるかと思います。
まずは、弊社が持っている魚の画像などを利用し、とことん魚のデザインを作成しました。日本に生息する魚は約3,000種ほど。その中でも魚釣りの対象となっているのは、1,000種ほどあります。とはいえ、いわゆる外道と呼ばれるような魚のデザインは必要ありませんので、実質は100魚種ほどに絞られると思います。その厳選した100魚種をすべて網羅する勢いで、一気にデザインを起こしていきました。当然売れるデザインもあれば売れないデザインもありました。それでもこれを達成するまで、闇雲にデザインしていきます。もう無我夢中です。

魚釣りを題材としたデザインケース

そうしていると、徐々に釣り愛好家からお声を頂くことが増えてきました。「こんな魚はないの?」、「自分が釣った魚でスマホケースを作って欲しい!」。待ってましたのご要望です!こちらもできるだけ時間の許す限りご対応させて頂きました。もちろんそんなスマホケースができると、やはり嬉しいですよね! そんなことを1年ほど繰り返していると、徐々にぼつぼつ売れるようになってきました。ようやく第二弾回です。

とあるお客様より「飼っていた犬が天国に旅立ったので、その犬をデザインしてほしい」とのご要望。このお客様は、以前魚釣りのデザインのスマホケースをご注文頂いたお客様です。私も猫を飼っているため、ペットを亡くした寂しさは理解できます。快く制作させて頂きました。

そこで、ハッと気づいたのです。魚釣りが好きな人の中でもペットを飼っている方もいらっしゃる。それでは、夫婦で、旦那様は魚、奥様は犬というふうに、2つご注文頂けるのでは? すぐに行動に移します。

犬や猫を題材としたデザインケース

犬や猫のデザインをどんどんアップしていきます。すると、狙い通りにぼつぼつ売れていくようになりました。すると、今度は「本革のケースがほしい」といったご要望をいただきます。もう、次から次へとご要望を頂く状況です。大変うれしい悲鳴なのですが、やはり効率よく業務を遂行しなければなりません。ご要望の中から、ある程度このデザインなら制作しても売れるだろうとの目星をつけながら、できるだけご要望にお応えしました。

このようにお客様のご要望を承ることで、どんどんデザインが細分化され、魚釣りのデザインだけだったのが、いつのまにか異なるデザインも販売するようになっているのが、今の弊社です。

振り返ると戦略的にデザインしていくことも重要かと感じています。

ニッチとニッチを結びとマスになる

ニッチなデザインは、あまり売れません。でも、ニッチを制することで、次の展開が考えられるものです。これってどのジャンルでも同じことが言えるのではないでしょうか?例えば、一昔前に流行ったブログ。ブログでもバズった記事を広げたり、それに関連する記事をアップすることで、どんどん読者数を増やす方法がもてはやされました。近年でいえば、Instagramで一コマ漫画を投稿する際にも同じ手法が使えるのでは?と思ったりします。

ニッチを掘り下げることで、次のニッチが見つかり、ニッチからニッチへ数珠つなぎになっていくことで、気がつくとマスになっている。弊社が目指しているのは、そのようなデザインです。とてつもない数のデザインが必要なため、道半ばで挫折しそうになるのですが、助けてくれる方も増えてきます。また、弊社のように資金的に難しい状況では、マンパワーで回していくしかありません。そのような状況では、できるだけ戦略的にデザインすることで、面白い展開が開けることもあると思っています。

球磨焼酎組合とタイアップした焼酎ラベルケース


デザインとはむずかしい

結局、デザインとは?という最初の命題に戻ってしまいます。弊社にとってのデザインとは、お客様の目にとまり、ここだけにしかないデザイン。これが正解のデザインです。インターネットの時代になり、どんな商品でも探せば見つかる時代。他の店舗でも売っている商品ではなかなか勝負になりません。とくに零細企業は価格競争に巻き込まれると、徐々に体力を奪われ、疲弊してしまいます。

よって、尖ったデザインをいっぱい集めて戦うしかなかったのです。

究極の話ですが、やはり目に止まらないデザインはダメなデザインだと思います。目に止まってそれがこちらが期待するアクションへと繋がるデザインが望ましいのです。これにはトライ・アンド・エラーしかないかと思っています。私が作成したデザインでも「このデザインで売れるかな?」と半信半疑で出品すると、意外と売れるといったデザインも多数あります。

結局、制作している本人の主観がデザインのDNAとなり、最終的に売る売らない(アップする、しない)の判断でも主観に左右されているのだと思います。そのような主観を取り払うことで、もっと可能性のあるデザインが制作できるのかもしれません。

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