機能勝負に活路はない…?
どうも!
この前放送された「ガイアの夜明け」を見て、ダイワさんとワークマンさんでもこんな感じでウェア開発をしているんだ~と少し安心したかずおかです。
さて。
以前の記事(おにやんま君のやつかな?)で世の大半の人は「役に立つもの」を目指すのではなく「意味のあるもの」を目指す方が良いよねって話の流れでレインウェアについても少し触れたと思います。
「ガイアの夜明け」を見て僕の思っていたことがより確信できた気がしたので今回はその辺を掘り下げていこうかと思います。
前の記事で僕はウェアであれば機能(防水性・保温性・速乾性)よりもデザイン(雰囲気)や売り方で勝負した方がいいんじゃないかなということを言いましたがあれは間違いなさそうです。
僕が務めているメーカーの規模でウェアを販売していくならなおさらです。
ちなみにウェアの機能性で勝ち筋を見出せるのはゼロから最高級クラス(ゴアテックスとか)の生地選定、デザイン&価格の決定ができる一部メーカーだけだと思います。
少なくとも普通のメーカーや個人レベルでそのクラスを使用すると利益を減らしても馬鹿みたいな値段になるのでほぼ不可能だと思います。
生地や型を扱っているウェアメーカーの既存商品にメーカーロゴやオリジナルデザインをプリントしたり刺繍するというのが大多数かと思います。
この手のウェアメーカーはイベントや部活動、会社の制服といったある程度まとまった数量(最低数十枚)で注文されることを想定されているため基本的に「最高級の生地を使用しています!!」なんてことはありません。
とはいえ普通に着て何も問題はないレベルの生地です。
つまりよっぽどの販売数量を見越して生産、在庫管理ができる等の理由が無い限りユニクロやモンベルのように高品質×低価格を実現することも不可能に近いと思います。
となればですよ?
僕が務めるメーカー規模がそれでも1商品を数百枚近く売ろうとしたらやっぱり勝てないと思いませんか?
釣り人口の減少も大きく関係はしていると思いますが四ケタ近く売れていたウェアも三ケタ売るのが必至という状態にまで落ち込んでいるのが事実です。
それでも勝たなきゃダメなんだ!と頑なに名だたるアウトドアブランドに立ち向かってるのがここ数年の状況なのかなと思います。
僕もレインウェアなんかはアウトドアブランドにありがちなシンプルなデザインとカラーリングに寄せていくことで売れるのでは?
と思っていましたが最近になって多分これじゃ売れない、負け続けるということを何となく感じました。
そのブームは嵐の如くやってきて、釣りに行くときは釣具メーカーのレインウェアを着るという常識を崩していきました。
私服でも違和感なく着こなせるアウトドアブランドのレインウェア(ノースフェイス、モンベル、アークテリクス等)
もしくは最低限度の性能を兼ね備えた超低価格レインウェア(ワークマン、ユニクロ等)この二極化が一気に進んだように感じます。
ここまでしっかりと二極化が進んだおかげで大半の釣り人がどちらかのウェアは手元にある状態になりました。
つまりシンプル路線のレインウェア自体、供給はある程度済んでしまったんですよね。
さらに厄介だなと感じるのは高性能レインウェアの寿命はまぁ長い。笑
超低価格レインウェアもワンシーズンは何とか不満なく使えるしワンシーズンごとに買い替えても十分すぎる。
これが非常に厄介でこの路線で勝つことを極めて難しくしている気がしています。
その結果として完全後手に回って発売したウチのレインウェア(シンプル路線)は結構な量残っていて梅雨が来るからと言って今から怒涛の動きが生まれるとも思えない状況です。
※コロナの影響も多少はあると信じたいね。
こんな状況になってしまったので次回作はすぐには生産できないと思いますし、この路線が厳しいと分かった以上次の攻め方には大きく頭を悩ませると思います。
あれ、すっかりレインウェアの話になってきた。笑
せっかくだから今回はこのままレインウェアに絞って、僕だったら次回作はこうするっていうのを書いていきますね。
まず変更できる点と出来ない点を整理してみます。
変更できない点としては「生地」でしょうね、ゴアテックス未満ワークマン以上というところはどうにも変更出来なさそうです。
生地が変更できないということは基本的に価格も下げる方向では変更できないと思います。
もうこれに関しては生地で悩む必要が無くなったぐらい前向きに考えるしかなさそうです。
変更できる点としてはデザイン関係(柄の有無、ロゴマークの配置、ポケットの位置、フードの大きさ等)と販売方法(上下販売、バラ売り、ジャケットのみ販売)。
販売までの広告宣伝も死ぬほど重要だけどそれは長くなるのでまた別の機会に。
こうして書いていくと思った以上に変更できる部分も多そうです。
変更できる点でもこの状況で重要なのは柄の有無だったりロゴマークの配置なのかなーと感じていて僕はシンプル路線からは結構かけ離れても良いのかなと思い始めてます。
この路線はちょっと意地張って居座るには苦しすぎる路線なので。
ポケットの位置やフードの大きさ等、使い心地に繋がる部分は勿論改善するとして何よりも「パッと見の雰囲気」これを大事にしたいですね。
出来れば柄も使いたいけど生産量と生地の最低ロット的に厳しい気がするので結局ロゴマーク系のプリントデザインになるかな~、普通にするとシンプルになっちゃうから逆にセンス求められそうだけど。笑
合わせてその方向で考えるなら少なくとも上下セット販売は辞めた方が良さそうです。
上のみ販売するか別々で、別々で販売するなら8:2ぐらいの比率で上が多くていいかと思います。
ジャケットの値段は15000~20000円、パンツの値段は8000~10000円。
価格も何とかこの範疇に抑えたいですね。
これは僕個人も思っている事なんですけど…
「私服でも着れて強い雨に対応できる良いレインウェアは既に持ってる、でも頻繁に洗えるものじゃないからあんまり汚したくない気持ちもあるんだよなぁ」
「良いものを長く使う為にも多少の汚れとかは気にせずガシガシ使えるそれなりのものが欲しい、今更ワークマンは嫌だけど…」
こんな感じで考えている人が一定数は存在して、良いレインウェアを長く使うために「釣り用」として割り切って使えるウェアとして購入を検討する市場はあると思うんです。
その市場はまだ作れると思います。
少なくともわざわざシンプル路線の戦場に乗り込むよりかはマシです。
「私服でも着れるデザインに!」と各社意気込んできた釣り具メーカーですが結論から言うとシンプル路線は無理な気がしています、特にレインウェアは。
むしろ釣り具メーカーが頑張れば頑張るほど結局アウトドアブランドの価値が上がっている気がしてなりません。
正直ダイワさんがどれだけ『シンプルオシャレ路線』でオシャレなレインウェアを目指したとしても今更変えようのない釣具メーカーとしてのブランドイメージが残っている以上、オシャレ着としては認知されないと思うし見比べられて「やっぱり一流アウトドアブランドのマウンテンパーカー(レインウェア)がカッコいいよね!」という結論に辿り着くだけです。
それでもそっちの路線を目指すのも別にいいんですが自分が勤めるメーカーとなると勤める方々の生活にも関わってくる話なので何とか舵を切りたいと思っています。
少し前までは僕も「よく見たときにこれ○○の服なんだ!」と分かるくらいさりげないデザインじゃなきゃダメだーと言っていた気がしますがそれじゃ後手にしかならないことももう分かりました。笑
今僕がこの路線ならまだ活路を見出せるかなと思うのはやっぱりパッと見の雰囲気でウチらしさを出していく方向ですかね。
このイメージ作りは前にも少し話した気がしますがコロンビアが上手いですよね。
着たことがあるから分かるけど正直レインウェアとしての防水性能はゴアテックスには遠く及ばないしワークマンレベルに毛が生えた程度なんですよ。
(ワークマンがワンシーズンであればコロンビアは2~3年といったところ)
ただ、毎年色々な柄やパッと見で分かるデザインにコロンビアらしさがあるんですよね。
これが他のアウトドアブランドとレインウェアに置いては特に争わず市場を確保している。
そして絶妙な価格設定。
安過ぎず高すぎない価格なのですでに良い値段のレインウェアを持っている人が釣り用として割り切って買うのにも丁度良いし、超低価格レインウェアを使用していた人が少し背伸びして買える絶妙なラインだと思います。
そこを釣り具メーカーとして上手く狙えばまだなんとかレインウェアを売ることも可能なのかなと思っている現在です。
それでだめなら大人しく一旦手を引いた方が良さそう。笑
あー、考え出すと止まらない。
正直めちゃくちゃ難しい。
考えれば考えるほどコロンビアに限らず、釣り具メーカーだとレイドジャパンさんはウェア関係もほんと上手く売るなぁとしみじみ思います。笑
基本的にオシャレな服には興味がほぼ無い僕ですが部署移動に伴い一部ウェア商品も担当していくことになるのでセンスは磨いていきたいと思います…。笑
毎回この手の記事は長いし内容の大半は僕が考えていることを殴り書きしているだけになっていますがお付き合いいただきありがとうございます
緊急事態宣言も解除されたしそろそろ釣果報告系の記事も混ざると思います…、多分。笑
それでは今回はこの辺で
でゎでゎ
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