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政治素人がインボイス制度に反対してみた話ー豊島区『請願』『意見陳述』編⑦


意見陳述後の質問タイム。


ほぼ10分まるまる使って、渾身の意見陳述を終えた私。

しかしこれでまだ終わりではない。

ここから怒涛の質問タイムに突入するのだ…!!!

議員から意見陳述者への質問はOK。

しかし意見陳述者から議員への質問はNG。

構わん!!!いくらでもかかって来い!!!

(※当日は気合入りすぎて目がギンギンだった気がします笑)

無所属元気の会・小林弘明区議の質疑。

【小林さん】
公認会計士というプロの目線から見て、インボイス制度は理解さえすれば導入しても問題ないと思いますか?

【私】
一般の方にとっては難しすぎる。なぜならプロの税理士の中にすら「難しすぎて無理、これを機に廃業しよう」と言っている人がいるからです。このまま導入するのは問題があります。

【小林さん】
税務のプロですら難しいなら、一般の個人事業主が理解できないのは当たり前ですね…免税事業者だって好きでやってるわけじゃなくて、稼げるようになる途中。子どもから大人になるのと同じで「将来社会に返していく」そうやって豊島区にも返ってくるはず。

豊島区からは国に「延期」を訴えてほしいですか?
導入にあたっては、豊島区から声優などには何をしてほしいですか?

【私】
本音としては「廃止」を訴えてほしいですが、豊島区にできることは限られているという点は承知している。とにかく周知が足りない、そのための時間がほしい。何も分からないまま制度が始まり、廃業するしかなくなった文化や地域経済は、一度失われたらもう戻らない

補助金なども出していただけるのであれば大変ありがたいが、まずは制度自体の問題点を豊島区には一緒に考えて知ってほしい。

【小林さん】
僕自身もまだ勉強中だけど、免税事業者が仕事がなくなることのないように、たとえば豊島区からアニメやコスプレなどのサブカルチャーや文化芸術を守るような宣言をしてもいいんじゃないかと思う。議員としても勉強会するとかしてもいいと思うし、事業者の人も勉強する時間が必要だと思う。

【私】
ありがとうございます。補足なのですが、取引排除をしないように宣言をした場合、今度はお仕事を振る側の課税事業者が消費税を負担することにもなります。やはり制度自体に問題があり、一度立ち止まるべきだと思います。


共産党・渡辺くみ子区議の質疑。

【渡辺さん】
私自身はインボイス制度には反対で、今回いただいた資料の中に「日本俳優連合」のインボイス制度の反対声明もありました。ほとんどの声優や俳優は、まだ有名な売れっ子になる途中で、そのタイミングでインボイス制度が始まったら廃業を考える人も多いという記事も読んだことがある。

ただ、まだよく分からないことも多くて…仕組みを教えてもらえませんか?

【私】
ひと言でいえば「消費税の増税」です。免税事業者(消費税の申告しなくてもOKな小規模事業者)が注目されがちですが、課税事業者(消費税の申告をしないといけない事業者)もインボイスが集められなければ増税です。免税事業者はインボイスが発行できないので、課税事業者からすれば「あなたと取引すると増税になるから取引したくない」になるのは当然です。そういった話をみんな耳にして「10月からお仕事無くなっちゃう…!!」と不安になっているわけです。

日俳連は「インボイス制度に対応できるように準備しよう」とやってみようとして、国税庁や公正取引委員会に問い合わせたところ、それぞれ言ってることが違う。現実的に全員のインボイス登録の確認作業は無理だから一律で10%値下げしたいが、それは独禁法違反になるかもしれないと言われて「じゃあどうすればいいのか」と聞いても「あとはご自身の判断で」といった回答をされて、無責任だと怒っている。

【渡辺さん】
豊島区も小規模の事業者さんは多いですから、想像以上に深刻な状況だなということが分かりました…ありがとうございます。

自由民主党・ふじさわ愛子区議の質疑。


【ふじさわさん】
大変な状況であるということは伝わってきました。周知が足りないということで、たとえば説明会を開くとか、何かこういったことをしてほしいということがあれば教えてください。

【私】
声優事務所は最近ようやく所属声優に説明会を開いたりしているのですが、独占禁止法違反になりかねないような内容だったりしてヒヤヒヤしている。そもそも説明会を開く側に周知する説明会をしないとダメだな…と思ってます。

【ふじさわさん】
周知が足りないので一旦立ち止まって、できれば制度はやめてほしい、ということは分かりました。この制度は導入するならどうあるべきだと思いますか?

【私】
何日か前に、全国青年税理士連盟さんが日本税理士会連合会に対して「複数税率もインボイス制度もやめて、申告不要制度にして簡素にするべきだ」という要望書を出していて、一番シンプルで素晴らしいと思った。

私からすれば軽減税率は「持ち帰りです」といってイートインしている人の取り締まりだってできていないのだから、複数税率で課税の公平性を保つためにインボイス制度を導入しなければいけないと言われても全然腑に落ちない。公平性を持ち出してくるならまずそういう問題を解決してからにしろと思ってしまう。

【ふじさわさん】
こういった問題を相談する場所がないということが問題なのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【私】
その窓口が公正取引委員会であるべきだと思うのですが、何を相談しても「当事者同士でよく交渉してください」しか言わない。以前永田町の方でヒアリングに参加したが、農家の方が公正取引委員会の方に取引排除を迫られていることを目の前で訴えていましたが「取引選択の自由もある」と言った。それはあくまでお互いが対等の立場である場合の話。これを取引選択の自由で認めるなら、優越的地位の乱用による一方的な取引排除はどう取り締まるのか。こんな具体的な取引排除のケースを違反にできないなら、10月以降に他のどんなケースを相談したところで無理だと思います。

無所属の会・入江あゆみ区議の質疑。


【入江さん】
昨年末に高野区長ともお会いしていただいて、高野区長もインボイス制度については問題があると理解を示していただいたと、私も同席して認識しております。そういう経緯もあり、この請願には署名をさせていただきました。様々な問題はありますが、その中でも個人情報が出てしまうという点について、もう少し詳しく聞かせていただけますでしょうか。

【私】
法人などはもともと謄本には事業者情報は載っているが、印紙代を払ったり、法務局に行ったりという手間がある。一方でインボイス制度は、事業者の情報がネット上で見ることができる『事業者公表サイト』が存在しています。

インボイス制度に登録すると、個人事業主の「本名」が必ず公表されます。あとは任意で「屋号(芸名)」と「住所」が公表されます。個人事業主だと自宅の住所で確定申告をしている人も多い。声優やアイドルのようにファンが多い方は、ネット上で自宅住所が公表されるというのは大変まずい。しかもこのサイトでは、全事業者の情報がダウンロードできるようになっている。

昨年の9月に「その発想は無かった、確かに危険なので一旦閉めます」ということで、国税庁が一旦ダウンロードを停止してくれました。そしてすぐに「本名・芸名・住所は消して、番号しか見えないようにしました!」ということでダウンロードを再開しました。

あー良かった、と思って安心していたら、11月頃にSNS上で「このデータだと、まだ本名・芸名・住所は簡単なプログラミングで復元できてしまう状態です」と指摘する人が現れまして…知人のエンジニアに頼んで確認してもらいました。そうしましたら、わずか5分ほどの作業で、見えないはずの個人情報が復元されてしまう、ということが分かりました。

それを私はわざわざ衆議院会館まで行って、国税庁のインボイス制度対応室長の目の前で、実演動画を見せました。エンジニアが「セキュリティがザル」「このままではハッカーのおもちゃになる」と注意喚起したのですが、この問題はいまだ放置されたままです。国税庁の言い分としては「毎期末に事業者が取引先の登録番号が有効かどうか調べてもらうためにデータのダウンロードは必要」らしいです。取引先のインボイス番号を毎期末に全て調べ直す…そんな作業、私は現実的ではないと思います。ストーカー事件も心配です、殺人事件に発展しかねません。原因がインボイス制度の公表サイトだったどうするんですか、と思う。

【入江さん】
これは大変問題ですね…国税庁はこの問題について、もう何も対応しないということなのでしょうか…?

【私】
ヒアリングの場では、室長は「データのダウンロードは必要」と答えていますし、国会の場でも様々な議員が引き続き追及していますが、ダウンロードを停止するという話はいまだ出ておりません。


意見陳述者への質疑はこれにて終了。
ようやくもとの「ぼっち席」に戻りました…。

私にできることは、やりきりました。
政治素人にしては、よくやった方だと思います、ほんとに。

ふぅ…あとは採択・不採択が決まるのだけだ…

と、思いきや。

まさかのここで豊島区役所職員のターン!!!

そんなのあるの!?
え、豊島区だけ!?
他を知らないから分からん!!!笑

長すぎるので、豊島区『請願』『意見陳述』編⑧に続く。

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