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F1小噺【レギュレーション事件簿①】

この記事では私が好きな「F1の小さな事柄」についてアレコレ語ります。
今回はF1チームの強引なレギュレーションの解釈についてお話したいと思います。挙げたらキリがないのですが、その中で割とお馬鹿な理論で挑んだ事例をご紹介します。


レギュレーション is 何?

F1には「チームが車両の設計と製造を行う」というルールがあります。購入した車両での参戦はNGなんですね。この車両の設計に関する規則が「テクニカルレギュレーション」と呼ばれているものです。
で、FIA(ルールを作成する団体)は想いや目的を明文化してレギュレーションにするのですが、F1チーム側からすると想いや目的なんてどうでも良くて「文章に書いてある事にマシンが合致するか否か」にしか興味がありません。
この齟齬の結果、グレーゾーンを突いた開発というのがF1においては当たり前となっていました。

現在はFIAが抜け穴に対してシーズン途中でも強制的にレギュレーションを変更しF1チームに従わせることができるようになったため、チーム側は危ない橋を渡らない風潮になっています。

みんな良い子になりました

2010年 ルーバー付いとるやん!事件

シャークルーバーという名前の排熱のための空力パーツがあります。名前の通り、鮫のエラみたいなパーツなんですが、2009年のレギュレーションで禁止されました。

2005年 R25 シャークルーバーを過激に使った例

明文化された情報を簡単に書くと「ボディの中心以外で開口は禁止。ただし、エギゾーストパイプを出す部分は例外」という感じです。
ところがどっこい、禁止された翌年のフェラーリのマシンに、しれっとシャークルーバが!

2010年 F10 ( ゚Д゚)ハァ?ついとるやんけ!

ぅおおおい!何なんコレ?シャークルーバー付いとるやん!絶対レギュレーション違反やん!?
フェラーリ「はっはっは、ルールは守ってます。よ~く見てください?」

【拡大】ん?水平方向に線が入ってる…?

フェラーリ「切り込みの線が見えるでしょ?3つのルーバーに見える穴は排気口と繋がってるんです、つまりこれは複雑な形ですが、単一の穴であり、排気口です。穴の外周を辿ったら開始点に戻るでしょ?穴の定義を満たしてますよね?(ニッコリ)」
なんつーゴリ押し理論!んでも強引なとこ、好きぃぃぃ!
という訳でこれはセーフ判定になりました。(でも流行らなかった)

2014年 カメラちゃんと付いてます!事件

いまでは当たり前についているこのカメラ、これもレギュレーションでこの場所に設置することが決められてるんです。

2024年 MCL38 流線形のコレがカメラ

少し遡って2012年、マシンのノーズの上面の高さを低くするレギュレーションが施行されました。その結果、モノコック(運転席側)とノーズに段差ができちゃったんですね。

2012年 F2012 このダサさ、嘘みたいでしょ?

で、あまりにも醜い容姿なので「翌年から段差を隠す非構造のカバーを付けていいよ」というルールが追加されました。(この頃はまだカメラの存在は確認できません)

2013年 F138 カバーの下は段差構造です

そして2014年、レギュレーションでフロントサスペンション付近に必ずカメラを搭載することが義務付けられました

2014年 RB10 ( ゚Д゚)ハァ? カメラどこだ

おいおい、カメラないじゃん!絶対レギュレーション違反じゃん!
レッドブル「カメラ付いてますよ?フロントノーズのカバーの中にね。」
カバーの中…!?た、確かにフロントサスペンションの付近だが、それは遵守アピールのつもりか?つーか、本気で言っているのか…?
FIA「でも映像映らないからダメだよ!」
レッドブル「映像が映れば良いんですね?」

2014年 RB10 CASIOの文字、Oの上に注目

レッドブル「はい、穴開けました。これで映像映ります。(ドヤァ)
んんんん!クソ理論、翼を授かるぅ!!
FIA「ダ メ に 決 ま っ て ん だ ろ
という訳で残念ながらこの案はアウト判定でした。(当たり前だわな)

おわりに

レギュレーション事件簿、楽しめていただけたでしょうか?
どう見てもクソ理論でしたが、最強頭脳集団であるF1チームが大真面目に考えて実行しているのでそのギャップも笑いを誘います。
先述の通り、現在ではグレーゾーンの開発は下火になっているので観てる側としては若干の物足りなさを正直感じます。
また気が向いたら、F1のアレコレを記事にしてみたいと思います。
 
ほなね~!

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