時代の流れとF1のカタチ (その1)
この記事では近代のF1マシンの見た目の変化を当時の事情と一緒に紹介していきます。スイマセン、今回は多少の専門用語が飛び交います。
まず、FIAという「国際なんちゃら車関係の偉い団体」があるんですが、そこが車両規則を定めており、これが「テクニカルレギュレーション」としてF1マシンの姿を決定づけています。大昔はかなりアバウトな車両規則だったので、F1マシンのカタチはかなりバラバラでしたが、現行のレギュレーションでは滅茶苦茶細かい寸法が定められているので、どのチームのマシンも同じような姿になっちゃってます。残念!
近代F1という事で、2000年代後半から見てみましょう!
2008年 行き過ぎた空力開発
セナの死後、1995年からステップドボトムというレギュレーションが施行され、加速するマシン開発と抑制のイタチごっこ。自動車メーカーが本格的にワークス参戦し、とにかくマシンを速くするために湯水のように予算を投入していた時代です。
見ての通り、ボディの至る所にウィングやフィンが生えまくってます。空気抵抗なんてなんのその、ダウンフォース獲得に全振りした造形です。給油時代でタンクが小さいので、マシンのサイズも小ぶりです。個人的にはこのぐらいのサイズ感が好きですね。
ディフューザーのサイズも大きく、ボディから生えた空力パーツが後方にべらぼうな乱気流を巻き散らかすので追走が困難になり、完全に首が締まりました。こうして過度な開発競走の末、大空力時代は終わりを迎えました。
2009年 シンプルな空力へ原点回帰
乱気流対策としてウィングやフィンを完全に廃止、ディフューザーも超小型化。気流を跳ね上げる悪しきリアウィングは後続車への影響を考えて高く狭く、確固たる接地感を求めフロントウィングは低く広い。
完璧な理論の元でマシンがデザインされた新しい時代の幕開けです。
小型化されたディフューザーとリアウィングによりダウンフォースは激減、悪足掻きでリアウィングが垂直の壁になっています。とにかく見た目がダサい、フォーミュラガンダムに見慣れたファンは相当なショックを受けました。
この時代はレギュレーションの隙間を突く開発が多く、裁判にもなった二層のディフューザーや、排気ガスを空力に利用したり、はたまた300km/hで片手運転を強要させるデバイスと、凄まじいアイデアが飛び交いました。
それでもF1チームは激減したダウンフォースの代償を探し始めます。給油禁止により前後に伸びた車体を活用し、ウィングではなくフロア全体を使ってダウンフォースを稼ぎ始めます。その為には、より多くの空気を車体底面に送り込まなくてはいけません。このニーズの末、フロントノーズはレギュレーション限界ギリギリの高さまで持ち上がります。
2014年 暗黒時代の幕開け
限界までハイノーズ化が進み、ドライバーは恐怖を覚え始めます。接触したらノーズで首が刈り取られるぞ、と。このハイノーズをどうにかするために新たなレギュレーションが施行されます。
「ノーズ先端の断面積が地上から低い場所になければいけない」というレギュレーションと、それでもフロアに空気を送り込みたいというチームの都合がせめぎ合った結果、ノーズのデザインが酷いことになりました。
この「ノーズ先端の断面積」事情は改定を繰り返し、ノーズを下げることに成功しました。
でも、ノーズが下がるとフロアに空気が送り込めなくなるのでチームは困りました。再びダウンフォースが不足してきます。
次の時代のレギュレーション改定は、緩和とも呼べる内容が施行されます。
それは次の記事で!
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