りんご+もも=極上の一杯。「ほぼ水の泡」
アルバム「三毒史」で男性ヴォーカリストへの当て書きで味をしめた椎名林檎嬢が、満を持して7人の歌姫への当て書き&共演を果たしたアルバム「放生会」。5月29日に発売されたこの作品にチャラン・ポ・ランタンのヴォーカル・ももちゃんが参加。
「ほぼ水の泡」椎名林檎ともも
底抜けに明るいメロディ。
古き良き時代のキャバレーの雰囲気に、突如登場する阿波おどり。
バーレスクダンサーのセクシーな衣装、和装できれっきれのダンス。
和洋折衷、なんでもありのカオス。シュールな世界。
その中で健康的な色気を振りまきながら、自由に楽しそうに暴れまくる歌い踊るももちゃん。可愛い。
全編通してのももちゃんの豊かな表情についつい目を奪われる。
最初の「乾杯」の声でがっちり心を掴まれる。
歌声、存在感、表現力。どれも化け物級。一流のエンターテイナー。
表現するのに躊躇とか遠慮とか妙な恥じらいとか一切ないのが最高。
曲の世界にどっぷり浸って、曲ごとにがらりと雰囲気が変わるももちゃん。女優だわ。
〜どない マイクあんねんて〜 での素っ頓狂な表情。
〜左様 まんま飽きないと申しますもんね〜 でのカワイイ仁王立ち。
〜落ち込んだとき 再生していいすか〜 での頷き。
もう、あれもこれもスキすぎて、この圧倒的な陽の雰囲気に何もかもふっ飛ばされるのが気持ちよくて、繰り返し観てる。
全力のももちゃんにつられて笑顔になっちゃう林檎嬢もかわいい。
個人的に和装の林檎嬢とももちゃんの間でアコーディオンを弾く佐藤くんがたまらなくツボ。シュールなのに渋くてかっこいい。
ガレ―ジシャンソンショーもチャラン・ポ・ランタンも、もっと世に知られて広まればいい…と思いつつ、メジャーになりすぎるのは寂しいとも思うワガママなファン心理。
林檎嬢とあっちゃんがMステで「駆け落ち者」を披露したときも、あぁうちの敦司が見つかっちゃったわ!!!って誇らしいような、なんかあんまり知られたくないような、複雑な気持ちになったのを思い出した。
それにしても、ももちゃんのとことん振り切れた陽の部分を最大限に引き出した林檎嬢の手腕。それに見事に応えたももちゃん。普段クールな印象の林檎嬢の不意にこぼれる笑顔まで引き出しちゃって流石です。
どんな舞台でも、誰と一緒でも、物怖じすることなくその世界を演じきり、全力で楽しんで、その時の最高を魅せてくれるももちゃん。歳を重ねてこれから一体どうなっていくのか。楽しみでもあり、末恐ろしくもある31歳。
ちなみにアルバムタイトルの放生会は9月に行われる博多の有名なお祭り。
7日間の期間中、参道にたくさんの露天が立ち並ぶ様は圧巻。
縁起物の放生会おはじき、そして博多ちゃんぽん(ガラス細工のビードロ)、葉付きの新生姜が有名です。※おはじきは2017年から販売中止とのこと。
昔行きましたが、露店と人の多さ・熱気と人いきれにくらくらしました。
昔ながらの見世物小屋もあって、その辺りは不思議な雰囲気。
物欲・食欲の権化となった人間(自分もその一人)がわんさかいて、神様や異形の存在が混ざってても気づかないかもね。なんて思ったり。
そしてもはや「万物の生命を慈しみ云々」という祭りの大義名分はどうでもいいものになっている気が。でもまぁ、お祭りなんてそんなものよね。だってお祭りだもんね(?)。
泡沫のこの世界を生きる命は、水の泡のごとく儚く消える。
所詮すべては、ほぼ水の泡。
だからこそおもしろい。
だからこそ楽しんだ者勝ち。
アルバムの最後を飾るこの曲は、豊かな実り(=美味しいお酒)を、泡沫の生を楽しむ祭り。それって放生会そのもの、なのかもね。
***
【おまけ】化け物級のボーカル七変化。
これだけの曲を書ける小春ちゃんもある意味化け物。
恐るべし、化け物姉妹。
これで17歳とか嘘でしょ…
徐々に狂って歯止めが効かなく感じ、すごい。
一転して、しっとりと。
エロ可愛くてかっこいい。
大好きなライブ映像。
創作フラメンコダンサー、モモメンコ・マトゥーナガ(29分42秒〜)は何度見ても爆笑。
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