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馨しく、美しく。

先日清水の舞台から飛び降りたものが届いた。

薔薇の精油。

届いてすぐに
ウキウキしながら掌に1滴落とす。

目を閉じて香りを吸い込むと
…薔薇とは思えぬ青臭い、虫みたいな匂い。

え?!嘘でしょ!
なにこれ、くさい!!!
一瞬買ったことを後悔した。

が、時間が経つにつれ、
濃厚な薔薇の香りに変化して、うっとり。

そして思い出す。

以前、あるセッションで
薔薇の香りを頑なに拒否した自分を。

(ふたりのセラピストが3つの精油を選び、その香りのオイルマッサージを受けるというもの。薔薇は4つ目の香りとして特別に選ばれた。)

その頃のわたしは、
自分には4つ目の香り(思いがけない贈り物)
それも薔薇なんていう高級なものを
受け取る価値なんかない、と思っていた。

そんなもの受け取ったら
なにが起きるかわからない!
何が別の形で代償を支払わされるに違いない!というわけのわからない恐怖もあって、
泣きながら必死に拒否したんだった。

最終的には
泣きながら薔薇の精油を受け取って、
その香りのマッサージも満喫したのだけれど。

「受け取る」ことに関しての
あの拒否っぷりが相当なものだったため、
今でも笑い話になっている。

さて、今回。

初めて自分で購入した薔薇の精油は
とんでもなく臭かった。

臭のだが、嗅がずにはいられない。
(↑今ここ)

この『嗅がずにはいられない』香り。

それは、自分が心の奥底で欲しているもの、
必要なもの(象徴またはエネルギーとして)
だったりする。

高価なもの。
贅沢なもの。
優雅なもの。
たっぷりと惜しみなく、まずは自分に。

『買う、と決めた時点でわたしはもう
薔薇の香りが似合う
薔薇の花のような美しい女なのだ。
そして、薔薇のように美しくて高貴なものを
生み出していく。』

そんな呪文を唱えながら
わたしは今日も薔薇の香りを纏う。

さて、薔薇の香りに塗れて制作する
という目論見はいつ実現するだろうか。

***

と、ここまで書いてはっとする。

美しいだけなんてつまらない! 
ありきたりのいい香りなんてつまらない! 
といつも思っていることに。

一癖も二癖もある、クセになる香り。
お望みどおり、やってきたってわけだ。

そしてそれは
私もクセが強いってことの証でもある
…のかもしれない。

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