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「吉本ばななが友だちの悩みについてこたえる」感想

すごい本に出会ってしまった。

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吉本ばななさん。「キッチン」でしか知らなかったが、新幹線の到着が少し遅れて、旅のお供にと、品川駅構内の小さな書店で何気なく手にとった本だったが、ひとの心理や人間関係に対する洞察が的確で、会ったこともないばななさんに恐れ入るばかりである。


友達の悩みに答えるという形式なのだが、その回答にぎくりとさせられたり、うっすらこうなんじゃないかと感じていたことを言語化されてもやが晴れたり。例えば男性と友達付き合いしていたら告白されてショックだという悩みには、相手の好意に甘えていた部分があるのではないかと。ううむきびしー!ピシャリという効果音が聞こえてきそう、でもわかる。友人として接してもらっていても、異性としての好感が上乗せされていることはよくあるし、よほど鈍感でなければそれに気が付かないはずもない。

男女の友情というのは本当に成り立ち難い。ばななさんは男友達に口説かれる寸前に空気を察して指毛を抜いていたという話は笑えるし役に立つ。何度かああ来るな...と悟ってもすぐにその場を離れるわけにはいかず、二軒目に付き合ったり渋谷から原宿まで歩いたりしたのち交際のお申し出を気まずくお断りする。これからはおもむろに「ねえ脱毛通ってるのにまだ生えてるう〜」とか言って指毛を抜こう笑

秘密は話してしまったらおしまい。という話も好きだ。当たり前だがどんなに信用していても誰かに打ち明ける以上それは言いふらされることを覚悟しなければいけない。個人的には昔からこのスタンスなので、それ自体に驚きはないけど、そうではないと思っている人がいる。つまり人の噂を囁いておきながら、その人がまた別の人にちょっとでも漏らすと信用ならないと思うような人だ。秘密やネガティブな話は言わないに限る。まあこれも当たり前だが。

一方で不倫の話はまだわからない。友人がまだ結婚していないのもあって不倫の世界はまだよくわかっていないけれど、そういうもんなんだろうなあと思わせる説得力がある。

これから何年立っても何度も読み返したい本だ。ほとんどの言葉はストンと納得がいっているけど、また人生の山と谷を繰り返すうちに新鮮な驚きがあるかもしれない。これから何度引っ越しても、ずっと本棚においておこう。

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