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林真理子

はじめて林真理子の著書を読んだのは地元の図書館にあった『美女入門』だった。それは色褪せた本たちに挟まれてやけに目についた。赤い背景にレースのブラの表紙は、当時10代のこどもには色っぽく、これから人生に待ち受ける女の楽しみを教えてくれそうな予感がしていた。

10年以上経った今、たまたま書店で手に取った本が『野ばら』で、別の書店で美女シリーズを発見し、たまたまtwitterでフォローしている人が中島ハルコを絶賛するのを見て、たまたま友人も林真理子エッセイを推してきた。運命的なものを感じてさらに『不機嫌な果実』と『美女は飽きない』、『野心のすすめ』をつぎつぎと読み進めた。

林真理子の面白さは多分、上京してきた若い女にとっては、めくるめく都会の女の世界を垣間見るようで楽しからだ。それでいて、上流階級と呼ばれるような人間たちも、所詮同じような欲望や浅ましさを抱えているんだと思える。狭い人間関係のなかでも金持ちと呼べる人達に関わったことがあり、豊かな育ちの環境で形作られるソファスティケーションを心の底から羨ましく思っていたのだが、もしかしたら、その人たちが抱える悩みも苦しみも、じぶんと大差ないのかもしれない。一流の中の一流、とびきりの上層階級ならともかく。


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