見出し画像

元CA(キャビンアテンダント)から学んだ「魔法の謝り方」

お仕事を請けていると誰もが一度は通る道であろう「クライアントへの謝罪」。それは自身の失敗もあるかと思いますが、そうでない場合も。
既に頭に血が上ってしまっている相手の熱を冷ますのはなかなか容易ではなく、言葉の選び方に迷ってしまう…ということも多いのではないでしょうか。
そうした時に有効な「魔法の謝り方」を知っていただけたらと思います。

CA(キャビンアテンダント)はサービス業のプロ中のプロ

私がそのことを伝授して頂いたのは、元JALのCAのチーフをされていた方でした。その女性と出会ったのは、飛行機の中でも飲み会の場でもありません。どこにでもある普通のWEB制作会社でした

JALの元スッチーが2人。私の部下としてサイト運営に携わって頂きました。
それって社長の趣味では…」なんて噂も社内を駆け巡りましたが、おそらく皆さんの憶測はまぁ間違ってないと思っています。
そんな彼女たちは本当にパワフルで魅力的で頭の機転も早く、仕事がよくできる方たちでした。
その原点となっているのは、飛行機という老若男女、国を問わずに出会う方々のさまざまな希望や時にはクレームを受けている中で培った「適応力」と「先を見越す能力」だと思っています。

営業マンが電話をしながら突然泣き出した日

ある日、電話を受けた若い女性の営業マンが泣き出しました。小さなWEB制作会社でしたから、シマは制作陣と特に分かれていないため、ひとりが泣き出すと一気に社内の空気に緊張が走ります。

(どうしたんだろう…)
(なんかクレーム受けているみたいだよ)
そんな空気を察知して、さらに営業マンは涙をとめることができません。
ひたすら電話先で「本当にすみません、申し訳ありませんでした」を繰り返すばかり。
そんな時でした。

「ちょっと電話変わって?」
そう申し出たのは、なんと私の部下の元CAのチーフのSさんでした。
そして気が付くと、彼女は笑顔で電話先のクライアントのご機嫌を直してしまっていたのです。

やみくもに「すみません」と口走ってはいけない

電話を切ったSさんが言いました。
「怒っている相手から責められた時には、ごめんなさいをすぐに言ってはダメなんです。」

彼女によると、すみません。と謝られると人はその人の上に立った気持ちになってしまい、余計に興奮してまくし立ててしまうのだそうです。

「まずは、話を聞いてあげてください。わざわざ電話までかけてくる人は誰かに何かを言いたくて仕方がないんです。その人の中にいま溜まっていることをまずは全て吐き出させるの。」そう微笑みました。

魔法①
まずはその人の時間を割いてしまったことにお詫びする

やみくもに謝ってはいけないと言いましたが、謝らなくていいという事ではありません。その「すみません」が「何に対して」なのかを明確にすること。そして端的で長々しくなくイライラもさせてはいけません。

最初の一言がクレームの電話をかけてきた方全てに当てはまることである必要があります。

それが「今のあなた(電話の先の相手)の貴重なお時間を割かせてしまって申し訳ない」という、心からのお詫びです。
これを最初にいう事で、驚くほどその後の熱が最初よりも下がるのです。

魔法②
相手の言葉一つひとつに共感すること

いくら最初の言葉で熱が下がったと言っても、それで全ての怒りが納まるわけではありません。少し冷静さを取り戻した相手は、その後に聞いたことには素直に話してくれるようになります。
その「柔らかさ」の中で少しづつ相手の「怒りのコリ」をほぐしてあげるのです。

「今回はどのようなことがございましたか?」
「どのような部分に落ち度がございましたでしょうか?」

このような言葉をかけて、相手の中にいま渦巻いているもやもやを全て引き出してあげるのです。
ここで多少気持ちが落ち込んだりイラっとしたりすることがあっても、そこは我慢です。
もちろん、論外の場合もありますが対クライアントであったり営業先などの怒らせてはいけない相手に対しては(受話器から時々耳を外してでも)すべてを受け止めるようにします。

魔法③
「私にできることはありますか?」という最後の一言

そうして話を聞いていると、次第に電話口の相手の声が柔らかくなってくるのを感じるはずです。私の経験上、激情しやすい人ほど実は情に厚くて懐に入れればとても可愛がってくれる傾向にあります。

柔らかくなり、今日の天候のことや体調の気遣いなどができるようになったら、もう大丈夫。そしたら最後の締めの言葉です。

「私に何かできることがあればおっしゃってください。できる限り対処させて頂きます。」

この言葉まで持っていけたら、きっともう相手の心はあなたの方へと傾いているはずです。

これは電話だけでなく、メールや文章ベースでも活用することができます。
もちろん一筋縄ではいかないクライアントも多いのも承知の上ですが、ひとつの手法としてこれからのビジネスに活用頂けたら嬉しいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?