#18 私と母の戦闘日記

母は帰ってからも、求人を送ってきていた。

そして夜には、”ハワイで働く”と見出しの入ったURLが送られてきていた。

（いつ、海外と言った。いつ、ハワイと言った。一言も言ってないじゃないか。どうして、全て全く違う意味で返ってくるのだ・・・。）

流石に、怒ってしまった。

ここで海外に行ったもんなら、さらに自分の人生がどうなるか予想もできない。その時の私には、それでもいいか、なんて思える精神的な余裕は全くなかった。そして、そのURLの後に文章が続いていた。

『今から準備して卒業後に行くことも１つの考えだと思います。1年後、日本のホテルなり企業を受けるにしても、プラスになると思います。ハワイのホテルにも日本人採用はあると思います。あなたらしい道ではあると思います。』

話が思いもよらぬ方向に行くのは、昔からだったが、より拍車が掛かってきたな、という印象だった。当たり前すぎて慣れていたが、今回は見過ごせなかった。

そして次の日。

『お父さんに話しましたが、内定先の会社に行くよりハワイに行く方がよっぽどあなたらしくていい！と大賛成です。

内定辞退のメールを私に転送してください。電話したら報告してください。』

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人事担当の方とは、母が会社にメールしてから、メール、そして電話で連絡を取っていた。母の動きは全て人事担当の方だけには話していた。

母が会社にメールした時点では、私は、母に辞退したと嘘をつき、入社させてもらいたいと相談していた。

しかし、会社側としては、私が嘘をつくことはネガティブな要素になるため、正攻法で行った方がいいのでは、という打診がきていた。

また、私が悪いことをしているのではないため、説得を続けていきましょう、という内容が来ていた。

私としては、今までの経験から、母や家族の納得を得ることが厳しいことは分かっていたし、正直、会社からの打診はただの負担にしかならなかった。

だが、私は他の企業の内定を辞退し、他に行ける場所はないので、できる限り入社できるようにしていくしかなかったのだ。

会社としては、母から、メールも受け取っているため、母と直接話したい、と言ってきてくれていた。

しかし、母はその要求に一切答えなかったのだ。

母が送ったメールから１週間後に会社は返事をしたのだが、そのことが母にとっては会社としてはダメな対応だと、さらに会社の不信感を煽ることとなる。

会社としては、社内の法務メンバーの方と相談した結果遅くなってしまったようだったが、母としては、遅くなるのであればその旨を真っ先に連絡すべきである、という考えだったようだ。

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母が会社に送ったメールの返事が返ってきてから、母から私に連絡がきた。

『会社からメールが届きましたが、あなたの辞退についてはメールをご存知ないのかと思う内容でした。今後、私から会社に連絡する気はありませんので、明日必ずあなたから連絡して、報告してください。後、あなたが昨日送った辞退のメールの転送も忘れずに私に送ってください。

また、早急に内定取り消しの書類を送ってもらってください。それがなければ、本当に連れ戻します。』

私はこの前母が私の家に来た時に、メールと電話をするから、と言って、追い出すように帰ってもらった。そのこともあり、その時私は辞退する気でいたので、とりあえず、内定辞退のメールを送り、それをスクショして母に証拠として送ったのだった。