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母と、私の反撃日記 13

ちゃんとした道に進むのなら、口出しをしなかった、と告げてきた母。

「ちゃんとした道とかないですから、この世の中」

と言い返した。すると、

『あまりにも、行き当たりばったりすぎ!』

と返って来た。言われる筋合いないよね、と逆ギレしてしまった私。一刻も早く黙らせたいと思った。

「それって、あなたの許す範囲でしか動いちゃダメって事でしょ?支配してるじゃないですか」

『ありますよ!残念ですね、あなたの周りにはちゃんとした人生を歩んでいる人がいないのですね。

私の許す範囲?どうして、そんな風にしか捉えられないのですか?』

残念なのは、何者でもないあなたですよ。ちゃんとした道があると信じ、そこに、私を引きずってでも連れて行こうとするあなたは、残酷で、滑稽だ。

そんな風にしか捉えられない事が理解できないあなたが、理解できない。

こうして話のループの矢印は、最初へと戻るのだ。何回繰り返しているのか、数えられないほど。

こんな事を半年以上も続けていて、頭がおかしくならない母は元から頭がおかしいのだろうと、流石に悟るしかなくなってきた。

私の頭がおかしい事を指摘し、それは周りのせいであり、環境のせいである。その事は、母親の責任である。だから、母は私を直すために尽力しなければならない。

問題を適当に見つけてきて掘り返しては、同じ議論を別の話題で続けてきていた。


「支配している以外にどういう意味があるのですか?」

『素直に私の話を聞いてくれたら、支配などしてない事が分かるはずですが。まず、素直に話を聞いてもらえませんか?』

はい、と返事すると相変わらずの長文ラインが送られてきた。

・今まで一度も支配しようと思った事はない事

・お金に困らず幸せな人生を送ってほしい、という思いだけである

・4月から働くために焦ってると思うから、その状態ではいい道にはいけない

・この時期に辞退したからこそ、考え直してほしい

・自分探しのために1年海外に行ってくれ

・生き急がないでほしい

全てあなたの願望ではないか。

それを、執拗に押し付けてくる事はただの嫌がらせ、ハラスメントである。

あなたの幸せを思っているから、という隠れ蓑を使って、さも正論のように語ってくるこの口調が、本当に苛だたしい。


今まで一通り話してきた内容を全て繰り返しているだけで、私が素直に聞く聞かないの問題ではなく、母が長文で話したかっただけのようにも見える。

「支配した覚えがない事は重々承知です。ただ私が感じただけですので。

別に4月にこだわってないので、焦ってもいません。そこには関わらないでくださいと言いましたよね?

生き急ぐとかではなく、勿体無いんですよ。今ある力を自分の思う道で使いたいと思っているので、邪魔しないでくださいと言っているだけです。」

『そうなのですね!なら良かったです!邪魔はしないので、途中経過は教えてください。自分の思う道が正しいかは、客観的に見ることも必要です。』

だから私は、前から言っているはずだ。関わるな、と。

「嫌です。客観的に見る事は、自分でも出来ますので。関わらないでください。お願いします。」

『残念な言葉ですね。育ててきた親にいう言葉ですかね。普通の子は、卒業前に親に感謝の言葉を送るのに。最大の親不孝ですね!

その程度の関係ですね。よく分かりました。お金だけ使わせて後は関わるな、なんてよく言えたものですね。』

ただのヒステリック。

突っ込むところは沢山あるが、毎度のこと過ぎて、私も慣れてしまった。


それ以降、母からの連絡は、女々しい内容だけである。

引っ越しは、どうするの。今後、どうするの。

諦めずに、就活の内容を送ります。と言って、地元での就職先を送って来たりと、どこまでもアメーバのように粘着質な親であった。

結局、母が一人暮らしの家に来たのかも不明であった。


こうして、私の反撃は反撃とならずに終わりを迎えた。

半年以上に渡るこんな不毛なやり取りに意味があったのかは、分からないし、結論も出したくない。しかし、決定的に、母は毒親であるという事を、私に認識させてくれた。

家族代々伝わって来た、毒親の教育という負の連鎖から、私だけは抜け出せたらしい。


毒親の真髄は、気づけない事である。家庭環境を知る事は出来ないからこそ、閉鎖された空間で、歪んだ”教育”、”しつけ”が出来上がるのだ。


どうか、この閉鎖空間がこの世から少しでも減る事を祈っている。

そして、私は私の人生を歩みながら、閉鎖空間を解放するために力を尽くしていくと決めたのだ。

こうして、私の母との戦いは幕を閉じた。

ー母と、私の反撃日記 ・ 完ー

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