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#20 私と母の戦闘日記

そして、夜中の話し合いは始まったのだ。

『何で辞退しないの?今辞退するのが、これ以上迷惑をかけなくて済むのよ。何でそんなに諦めが悪いの?こんなに周りに迷惑かけて悪いと思わないの?

あなたが諦めれば済む話なのよ?どれだけ無様な格好、晒してるか、まだ分からないの?』


話は、あなたが悪いのだ。あなたの責任だ。それだけだった。

(何で、真夜中から自分を攻め続けられなければいけないのだろう。)

「申し訳ありませんが、絶対辞退しません。無様だろうが、何だろうが、関係ありません。何度も嘘をついたことは申し訳ありません。しかし、私の責任ですので、放っておいてください。」

『だから、その考えがおかしいから言ってるんでしょ!ここまでしてもまだ分からないの!!早く目を覚ましなさい!!』

私はうんざりしていた。もう、眠いし、正直話の方向性もおかくてどうでも良くなっていたのだ。そして、それが顔に出ていた。

『そんな顔して、全く興味がなさそうね。あなたの話をしているのよ!』

「うん、分かってるよ。」

『本当に私の話に聞く耳を持たないのね。明日実家に連れて帰る。今からあなたに自由はないから。とりあえず、スマホを返しなさい。

スマホは母の名義であった。だから、母のものであるため、返せと言われたのだ。しかしその時、私は母との会話を録音していた。



母が前回来た後、様々な方面に相談をした。学校の学生相談で、臨床心理士に相談したり、ネットで毒親について調べたりした。親を訴えるためには、なんてものも読むようになった。その際に言われていたことが、証拠を集めておく、ことが必要であるという話だった。そのため、私は自分のスマホで会話を録音していたのだ。


スマホを母に渡すと、スマホのロックを開けさせられ、録音していることがバレたのだ。

『は、録音してたの?』

「うん、そうだよ。自分だって、訴える時のように、メールで証拠残してるんだらか、お互い様でしょ?」

そう言って、自分の椅子に戻った。すると、何をし出したかと思うと、私のメールボックスを見だしたのだ。

そして、人事担当とのメールを読みだした。

『何これ。こんなにメールしてたわけ。信じられない。今からメールするから。』

「は?誰に?」

『人事の人に。』

「何で?」

『この状況を伝えるためよ。』

そう言って、メールしだしたのだ。


・・・秋葉の母です。秋葉のスマホからメールしています。実家に連れて帰ります。・・・


そう言って、私のスマホからメールしたのだ。そうして、母は寝る準備をしだしたのだ。


私はメールを見始めた時点で、ああ、中学の時と同じだな。

こうやって人のプライベートを完全に無視するんだな。そうだったな。この人はもう親戚でも、身内でも、家族でもないんだった。そうだった。

そう思った。


しかし、”あなたに自由はないのよ。”と言われたことを思い出し、ゾッとしたのだ。急に身の危険を感じた。私はいますぐここを出て、誰かに連絡を取らなければいけないのではないか。そう思えてきた。

私は、学校に行こうとした。

『どこ行くの。』

「学校。片付けしに行ってくる。」

『行かせないわよ。言ったわよね。あなたに自由はないの。今から私の監視下になるんだから。自由はないのよ。明日行きなさい。』

玄関で家を出ようとしていた私は、ドアを抑えて部屋に戻りなさいと言われた。私が動いて部屋まで戻るまで母は動かなかった。

そして、私はベランダに行った。私の家は4階だったが、私は飛び降りて逃げなければいけないのではないかと、本気で考えた。

(下は、芝生で傾斜になっているし、荷物を詰めているリュックを先に落として、そこに飛び降りれば、怪我せずに飛び降りれるんじゃないか・・・)



しかし、飛び降りることは出来なかった。



部屋に戻り、私はベッドで堂々と眠った。もう、人だとは思えない人が家にいることに何も感じなくなったのだ。


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