三つ子の魂百までってハナシ



アタシはあと2、3ヶ月で4歳、という時分に、大阪は松原から今の地域に引っ越して来ました。



子どもってネ、「なんか違う」をすんなり受け入れるの難しいじゃないデスか。

自分や周囲と明らかに「違う」と、「なんで?」「なんか変〜」ってなっちゃう。



アタシが初めてコトバを覚えたのが「関西弁」だったんデスね。

しかもアタシが住んでた地域は「河内」と呼ばれるトコで。
アタシが覚えたのは「関西弁」の中でもわりとクセのキツい「何さらしてけつかる」の「河内弁」。



自分達と違うコトバをしゃべるアタシを、近所の子ども達は
「ane、コトバ変〜!」
って笑いました。

引っ越して来たこの地域もかなりクセのある方言を使うので、アタシのほうこそ、
「みんな、何言うとるかわかれへん」
だったんデスが。

まあ、他勢に無勢。
1人河内弁のアタシのほうが「異物」。

みんなに笑われるのが恥ずかしくて、しゃべれなくなる。

そんなアタシは、同じマンションに住んでいた一歳年下の女の子と、隣の家の女の子、2人の後ろにすぐ隠れちゃうモジモジちゃんへと成長を遂げます。



母は
「大阪に住んでた頃はすーぐ誰とでも仲良くなれたのに〜」
って言ってた。

ちゃうねん、母ちゃん、アカンねん。
あんな、aneのコトバ、ォカシイねん。
せやから友達、でけへんねん。

とは言えなかったナ〜。



小学校上がっても、隣の家の女の子がいてくれないと何もできない、言えない。

ある日、離れた席の机の下に消しゴムがコロコロ〜っと転がる。

「立って取らなアカン、どないしょ…」

先生は「授業中は席から立ち上がって歩いてはいけません」と言っていた。

困り果てたアタシは泣き出す。

それを見ていた隣の家の女の子、

「先生!aneちゃんが消しゴムを落としました!」

泣いてるアタシを見た先生、苦笑しながら、

「aneさん、消しゴムが落ちて転がった時は、立ち上がって大丈夫です。
消しゴムを取りに行きましょう」

と言った…

ってな具合に、本当〜に1人じゃ消しゴムも拾えないようなポンコツだったんデス。



時が流れて小2。

掃除時間、アタシはちり取りでゴミを集めていた。

もう集め終わったかな?

友達に聞く。

「ねえ、コレ、ホカして来ても良い?」

「ホカス〜?」

ソレを側で聞いていた男子達が

「あはは!ane、オマエのコトバ、変〜!」

と笑い出す。


またやってもーた。


アタシは母に

「今日、ちり取りのゴミをホカす、言うたら男子に笑われた。
どない言うたらええねん」

と聞いたトコ、母は

「あ〜、そうか、ane『ほかす』言うもんなぁ。
あんね、ここら辺の人は『ほかす』は言わんの」

「じゃ、なんて言うのサ」

「『すてる』、ゴミは『すてる』って言うんよ」

ソレからと言うモノ、ゴミ箱にゴミを放るたびに
「ゴミは『すてる』、ゴミは『すてる』」
と呪文のように唱えて覚えました。

今ではすっかり、ゴミは『すてる』デス。




小2の終わり頃かな?

関西圏から転校生がやってきまして。

時代は“ひょうきん族“全盛期。

猫も杓子も“ブラックデビル“や“あみだババア“に魅了されてた頃デスわ。

そんな時代に「関西弁」引っ提げてやってきた転校生は超人気者っスよ。

みんな「ねーねー、大阪弁喋ってー!」って騒ぐ。

転校生一言
「イヤや」

…。
ソレ、関西弁やで。

思えば「ソーでっせ〜」と言うてたアタシもこの頃に引っ越してきたんだとしたら人気者になれたかも知れんのに…

知らんケド。



その後、持病が悪化。

入退院を繰り返し、学校を休みがちなアタシはだんだんクラスメイトと会話が噛み合わなくなり、さらなるモジモジ陰キャに発展を遂げまして。

中学に入ったその次の日から「雌ゴリラ」との愛称をいただき、イジメられ陰キャへと化します。



モジモジ陰キャのアタシなんて、カーストのテッペン取りたい系男子の格好のイジメ材料デスよね。

同じ小学校の同級生たちは、アタシが病弱で「社会的弱者」だったコトを知ってるので、アタシをイジメたろーってヤツはいなかったんですケド。

違う小学校から来てるヤツらはソレ知らんから。

イジメ大好き阿呆とて、障害を持ってる子とか「社会的弱者」をイジメの対象にはしない、ソレはヒトとしてアカン過ぎると思うとんやろ。

って、イジメとかする阿呆は、ソレ自体がアカン過ぎるんやけどナ。



「雌ゴリラ!あの雄ゴリラと結婚して夫婦(めおと)ゴリラになれよ!」
「こっち見んなブス!」

ああ、今思い出しても腹立たしい!
こんなん言われたら
「ケツん穴手突っ込んで奥歯ガタガタいわしたろか!」
って言うたったらエエのに。

でも、この頃はそんなコト言われてもメソメソ泣くばっかで。



ちょうどその頃、小学校時代から仲良かった子達からハブられるようになって。

「aneのダメなところ」なる、便箋5枚以上にもなろうかという長〜い文章を携えた「ダメ出しお手紙」を頂戴し、それもそれとてメソメソ泣くばかりで。

一緒のテニス部では、他の女子たちにもワザと取りにくい球出しをされ
「この下手くそ!ちゃんとやってよね!」
とか言われて、やっぱメソメソ泣くばかり。
アイツらはクスクス笑ってたが。

クソ。
今ならアイツらの顔に隠し持った硬球をぶち当てて
「ざまあねえなあ!」
と笑ってヤルのに…



そんなこんなで部活行くのイヤになってサボりがちになって。

でも部活サボってたら母ちゃんに叱られっから、部活終わる時間まで教室で時間を潰してました。

そこに、同じく部活サボり隊がチラホラいまして。

その子達となんとなく仲良くなって。

そのうちの1人が今でも何ヶ月かに一回のペースで飲み会してる大親友デス。



その子たちがアタシが後生大事にとっていた「aneのダメなトコ」お手紙を読んでしまって。

「はあ⁈なんなんこの子ら!」
「てかane、コレ全然アンタ悪くないじゃん」
「ねぇ。アイツらのやっかみ?じゃんね」
「aneもう気にすんな!こんなアホなコト言うヤツらと仲良くしなくてもいいよ!」
「私らはaneがいい子だって知ってるから!」
「てかこんな手紙、マンクソ悪いから捨てな」

なんかすっごい救われたんデスね。

それからかな。

なんか嫌なコト言われてメソメソすんのが馬鹿馬鹿しくなったのは。

「なんでアタシが泣いたらなアカンねん」

クラスの男子がアタシをブスイジリしても、その子達が
「ane、無視無視」
「アイツらaneが泣いたり怒ったりすんの楽しんでるだけだから」
「そうそう、あんな阿呆どもは無視に限る!」
そう言ってくれて。

すごく楽になったんだよね。

あとモジモジすんのやめた。

言いたいコトはハッキリ言うアタシに変身した。

クラスメイトとも仲良くできるようになった。
あ、ブスイジリの子達とは仲良くはできなかったケド。
せんでエエワ、そんな阿呆の友達いらん。



母ちゃんが本当に喜んだんだヨ。
「大阪おった頃の元気なaneが戻ってきた!
ホンマ、あの子らのおかげ!」

いまだに言うヨ。

あの子らおったから、今のアンタがおるんよ。
感謝せんとね〜。

感謝してますがな!



高校に進学したアタシは激的に「パリピ」へと進化を遂げる。

同じ中学から進学した子が1人も居なくて。

モジモジしてたら友達なんて1人もできないから、まあ「進撃」、いたしました。

気がつくとクラスの中心で行事引っ張る立ち位置にいたんデスね。

どの写真見ても、どセンターで「ウェーイ」って口になってるアタシがいる。

どっから見てもパリピ。
まごうコトなきパリピ。

パリピは40代後半の男性担任を体育祭の仮装行進で「セーラームーン」に変装させる。

黄色の髪の毛つけられて、超ミニスカセーラー服着せられて、派手な化粧(美術画材塗りたくってやった)させられて…

ムキムキの筋肉質がチラ見えする、気持ち悪〜いセーラームーン。

決め台詞言うシーンで
「月に変わってオシオキよ!」
って言わされる。

そんなぇグイコト思い付くのなんかパリピしかおらんやろ。




「三つ子の魂百まで」
コレはことわざですが、科学的にも証明されてるらしいデス。

人間の性格の基礎は3歳までに作られ、それから先学習して色々修飾され個性となるのだとか。

だから3歳までに覚えたコトがその人の礎となる。

アタシの誰とでもすぐ仲良くなってしまうパリピ要素も、ソレですよね。

3歳以降の生活環境で作られたキャラは、本来あるカタチではないから、自然と消えてったってワケです。



そして、コトバ、ね。

アタシは結婚したての頃、夫君とケンカになったらいつも「けつかる」が出てしまっていて。

夫君は
「aneはコトバが汚い、どこのコトバじゃ『けつかる』なんて」
と言ってましたが。

って、キミも任侠映画でしか聞かないようなコトバ使うから似たようなモンやで。
ここら辺の人、キミみたいなコトバ使わんヨ?


これはTVタックルなどでお馴染みの阿川佐和子さんがおっしゃってたんですが、初めて覚えた方言はいくつになっても変わらないって。

阿川さんが初めて覚えたコトバが広島弁だったそうで、使うコトバは標準語なのに、アタマの中では広島弁で考えてるそう。

アタシがアタマの中で考える文章は河内弁。

こうやって考えてるコトを文章に起こす時も関西弁になっちゃう。

関西弁イントネーションの方と喋ると自然と関西弁が出てしまいます。

大阪の親戚の家に行ったら、バリッバリの河内弁丸出し。

「なんさらしとんじゃ、ワレ」

怒ってませんよ?
「アナタ何してるの?」
って聞いてるダケでーす。

あ、「けつかる」ってのは、標準語では「やがる」って言うのかな?
「けつかる」使う場面では怒ってるコトがほとんどかな。

「キンキンに冷えてやがるゼ!」

「キンキンに冷えさらしてけつかんなあ!」
やろか…
河内の皆さま、今時こんな変な使い方しませんヨネ…
ごめんちゃい。



「何して(遊んで)るのー?」

「なんさらしとーん?」
じゃあ、そりゃ近所の子ども達もビックリしたでしょうよ。
笑えただけスゴイ!
アタシなら泣き出すゾ。

「茶しばくで」
「いてまうどコラ」
「どついたろかワレ」
「なんぬかしとんじゃワレ」
「アカーン!」
「ワレ甘えたか?」
「ほなな!」
「おおきに!」

おお、おお、コワ。

なんでだろ、思い出す関西弁がイチイチ喧嘩腰が多いんは…

でもコレ、怒ってんじゃないんですケドね。

まあ確かに大阪でも「いてまう」とか「ぬかす」とかは決してキレイなコトバではないでしょうケド、冗談って言うか、家族でじゃれ合う時に使ったりしてます。

って使うの父ちゃんとアタシだけだケド。

父ちゃんは河内育ちではないので、「けつかる」は使いませんが…

結局、「なんさらしてけつかんねん!」を言うのはアタシ一人です。
なんてこったい。



誰とでも仲良くなれる性格が礎でホント良かった〜。

今でも仕事上親しくしないといけないオバ様(もうオバア様と言っても過言ではない)達とも、自然に接するコトできるし。

どうせなら人と笑って話せるほうがいいですモン。

こんな性格に生まれたアタシはホント幸せ!



アナタはどんな三つ子の魂をお持ちでしょうか…

アナタの毎日が幸多きコトをお祈りします‼︎

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