コロナ禍からのサバイバル

起業してマイクロ出版社を立ち上げたつもりだった。noteを始めた時にも書いたはずだ。大人と子どもの食育の出版社をつくりたいと。その志は変わっていないが、出版社コードを取得し、撮影まで済んだ制作物を抱えたまま、マイクロすぎる出版事業はいま、止まっている。

もう一つ事業を持っている。去年のいまごろ、渋谷に事務所を借りたのも二つの事業がきちんと世に認知されるものになりたかったからだ。飲食店向けの青果販売業。技術の高い農家さんの農産物を味を追求する料理人さんに届けたい。熟練農家さんの技術と味づくりを精密に残し伝え、若年層に羨望されるような職業にすることが、日本のおいしいものを残すことだと考えた。アネモス青果は、だから産直という手段だけにこだわらず、品質と味で選ぶというモットーを掲げている。そのために目利きの八百屋さんともつながっている。産地を熟知する同業と手をつないだ八百屋ネットワークは、いわば、産地と飲食店を結ぶ良質な「どこでもドア」だ。しかし、この飲食店向け青果部門はいま、停滞している。飲食店が動いていないからだ。

外出自粛が始まって、個人客向けのオンラインショップを強化した。こちらは巣篭もり消費に対応して、ありがたいことにリピート顧客がつき始めている。

そんな状況なのだが、いま弊社ではボランティア活動を行なっている。先の記事に挙げた#STOP食中毒キャンペーンだ。4月の中旬からはじめ、サイトを構築し、拡散に努めた結果、今週に入ってメディア様からの取材が入るようになった。気温が高くなり、食中毒の懸念が高まってきたからだろう。一通り取材を終えた後(先方は筆者が専門メディア出身と知って非常に丁重だ)、たいがい質問される。あの、anemosuさんは何の会社ということに?

何の会社なんでしょうね?とは答えず、「業務用食材販売会社です」と答えることにしている。出版物はまだ出していないから、アネモス青果が本業になる。しかし、これからの会社は、1企業1業種ではリスクが大きすぎるように思っている。ずっと出版社にいたから、出版業だけでは採算が難しいことは骨身に染みているし、まあ、流れにまかせて八百屋になったわけではあるが、思いのほか八百屋の商売が性に合っていると思い始めている。思い返せば、昨年のいまごろはまだ八百屋ではなくて、「え?私は編集者で、八百屋じゃないんですけど」と言っていた。いまは「私は八百屋で、食品衛生コンサルタントじゃないんですけど」と言っている。おかしなものだ。

これからのサバイバルをどのようにしたら正解なのか、まったくわからない。でも、コロナ禍という未曾有の事態でリスクの多すぎる世になった。立ち止まって考えてみると、anemosuさんは何の会社?と言われながら成長するのも悪くない気もしている。そう、成長を諦めなければね。

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「食のプロ」とともに「大人とこどもの食育」を広げる新しい出版社アネモス代表。

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