カレールーのその後

道端に落ちていたカレールーを拾って、踏み切り脇に置いて来た翌日、出勤しながらその場所を確認すると、甘口のカレールーはまだ存在していました。
黄色と黒の遮断機を囲むガードの上でカレールーは黄色いパッケージで「ここにいますよ」と主張。
やんわりとですよ、ちょっと平坦な囲いにわずかな凸面があるくらいの異物感。

踏み切りを渡る車がどのくらい気にかけるかというと、2割くらい。自転車なら、もう少し気がつくかも。
そんな事を思いながら通り過ぎてしまいましたが、帰りはどうだろうって思ってしまう。夕方から雨の予報ですよ?今日。

ひんやりした空気がその日は続き、
雲が厚くなってくるので、
あの甘口カレールーの持ち主が
早く取りに来るといいなぁって
空模様を気にしながら一瞬思う。

たまたま目について
拾いあげてカレールー。
積み上げたカレールー。
その作業だけなのに
パッケージに雨が当たる時間が
刻々と近づく。
それを想像するだけで
ざわざわするのです。

結局、帰りもカレールーはその場に
「まだあります」という感じで残っていました。

深夜、外は強い雨が降っています。

そんな中、黒いクマがきいろいカレールーのパッケージをみつけてしばらく立ち止ります。
それから、甘口カレールーを持って
踏み切りをゆっくり渡る。
そんな事があったらいいのに…
と、思いながらうとうと。

クマが作る甘口カレー
大きな鍋にたっぷりの野菜とニワトリが
入ったまろやかなカレー。
りんごとはちみつはカレールーの中に入って
いるから大丈夫。

強い風と雨が窓を叩き、
カレーが出来た事を知らせに来てくれます。

今夜は、ご馳走さま
真夜中のカレー

#おはなし #カレー #カレールー #物語

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