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自分で書いたものをはじめて読むような気持ちで読むと、忙しくても丁寧に暮らしているかもしれなかった

自分で書いたはずなのに、あいも変わらず
私はあまり記憶がない

メンバーシップにも書いたし、いくつかの
コメントのやり取りでも考える機会を頂戴
したので、ていねいなくらしについては
よくよく考えて過ごしている



『おはよう』の前に名前をつけて呼ばれた
出社なさったんだなと思って挨拶しようとしたら
先に声をかけてもらった
たったそれだけのことだけれど
白い紙にスポイトから一滴を垂らしたときの
ようにじんわりと拡がる

大袈裟かもしれないけれど
たったそれだけのことでも少し泣きそうになる

昨日の出来事を思い出してたどり着いた
いつもの信号のない横断歩道
会社近くのそこはほとんどの車が停まってくれる
往来がそこまであるわけではないから
停まってくれなくてもすぐに渡れるのだけれど
律儀に停まってくれる
分かるようにお辞儀をして渡る

小学生の頃の私がつかの間戻る
変わらない習慣は自分自身の確認のようなもの
だと思う



会社で食べるお昼ごはんは
朝のうちに買ってしまうようにしている
最近のコンビニエンスストアは
店員さんがそこにいてもお金のやり取りは
機械越しになっている
『袋ありまーす』
マスク越しでも聞こえるように少し音を
伸ばし気味に言う
何台もレジはあるけれど朝は忙しい
後ろを気にしながら出来るだけ素早く
袋に入れる作業とお金の投入を済まさねば
と少し焦る

店員さんが袋に商品を入れてくれる
当たり前のことなのかもしれないけれど
それが素直にありがたいからお礼を言う
『すみません』ではなくて
『ありがとうございます』と

感謝されたら嬉しいけれど
感謝することもまた同じくらい
私はとても嬉しい

感謝している自分に酔っているわけではなく
感謝でつながったご縁やコミュニケーションは
純粋に嬉しいことなのだと思う

それでも私は聖人君子ではないから
腹を立てることもあるし
悪辣な考えも浮かんだりする

毎日毎日見たくない文章やマーキングでも
しているみたいな痕跡にはうんざりだし

目の前の嫌な仕事をあわよくば
誰かがやってくれないかなと思うし

イヤフォンスピーカーのコードが
リュックに絡まって頭が引っ張られたり
合わせ技で座った席にコップの痕が
濡れたまま残っていたらもう真夏の気温を
一気に超えてしまいそうになる

それでも思い直して付け直して聴いた
音楽は心地良いし、
汗を拭きながら歩いた真夏の空も
窓の内側から眺めたらとても綺麗だ

そう思いながら食べた海苔のついていない
おにぎりのセロファンに残るお米の一粒を
『ご飯粒を残したら目が潰れる』って
直に言われたことがない迷信を思いながら
食べると大事な味がした

人によってはそんなちいさなことで
くだらないと思うようなことが
私にはきっととても大事なこと

『たったそれだけのこと』が
『それさえあれば何もいらない』
とその瞬間は思ってしまうような
出来事と受け止められることこそが
私にとっての『ていねいなくらし』
なのだろうと思う

でもね、
ていねいなくらしは
すればするほど心が摩耗することでも
ある気がする
ふと、そんなことを思ったけれど
それはまたいつかどこかで

素敵な一日になりますように

たんなるにっき(その47)


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