息子の薄毛をいじりまくるおばあちゃん
私の父の髪は、もともとフサフサで剛毛だった。しかしそれも40歳くらいまで。それ以降はあれよあれよという間に抜け続け、今では頭頂部が日に焼けて光っている。
その薄毛、いやハゲネタを、父の母である私の祖母が会うたびにいじっていた。
50代になった息子の頭をパーンと叩きながら、
祖母:「あたしがあんなにフサフサに産んであげたのに、髪の毛どこに落としてきちゃったのよ!」
父:「下水」
このやり取りを会う度に繰り返していたが、私たち家族は慣れてしまって面白くもなんともなかった。
私が結婚して夫を連れて祖母に会いに行った時も、祖母と父は相変わらず同じやり取りをしていた。父がいつものように「下水に流した」と答えると、「あぁ、またやってるわ」としらけている家族の中で一人爆笑している人がいた。私の夫である。
義理の父親のハゲについては今までもちろん触れないできたのに、ここにきてヒーヒーと爆笑している。「すみません、面白過ぎて・・・ひゃはははは」と笑いながら謝る夫。
なぜだろう、それ以来夫は「なんかお義父さんと親しくなれた気がする。おばあちゃんに感謝だなぁ」と言うようになった。
そうか、まあそれならよかった。あの茶番にも意味があったというものである。
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