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珪藻土バスマットを使ったら洗濯物が増えた話

ここ数年バスマットの洗濯が嫌になり、珪藻土バスマットの購入を検討していた。洗濯物は少ないに越したことはない。

でも昔「珪藻土(けいそうど)」という漢字が読めなくて恥ずかしい思いをしたことがあり、あまり良い思い出がなく、なかなか購入に踏み切れないでいた。こんな読めない漢字を使うような代物は、格好つけているだけでたいしたことないのでは?と思っていた。つまり自分の無能さを見せつけられたのが悔しかったのである。

「珪藻っていう漢字、難しくない?」と友人に尋ねると「どのあたりが?」と言われたので、一般的には読めてしかるべき漢字なのだろう。そんな苦手意識を克服して、晴れてこのお正月に珪藻土のバスマットを購入した。

喜ぶ子ども

タオル地でもないのに、足の水分をたちまち吸収して乾かしてしまう珪藻土バスマット。使ってみると確かに素晴らしい。まだ使っていない人にはぜひおすすめしたい。

ただし子どもにとっては、好奇心をそそられるただの斬新なおもちゃになるのでご注意を。5歳の娘は「この板楽しいね!」と大喜びで足跡を付け、もう一度風呂場に戻って足を濡らしてはバスマットに乗るという遊びを延々とやりだした。手形足形を一気に取るために、四つん這いになってみたりする。きれいな形を取るためにもっと濡らしてみよう、今度はこっち向きでやってみようなどと遊んでいる。気がつくと、バスマットの周りがびちょびちょになっていた。

しかたなく次の日からは、珪藻土バスマットの下にバスタオルを敷き、周りにハンドタオルを敷き、床が濡れないように予防した。洗濯が嫌だから購入したのに、余計な洗濯物がむしろ増えているではないか。

足跡を付けていいのは一回だけ

子どもの好奇心はなるべくつぶさずに伸ばしてあげたいと思う。できれば思う存分手形足形を取らせてあげたい。しかしこの寒い時期に濡れた体のまま長時間遊ばせるのも良くないし、正直母的には洗濯物が増えるのもつらい。

それで「手形足形は一回だけ」というルールを提案した。娘は「わかった」と言い、その日から一度だけで終わらせてくれるようになった。でも一度だけとなると、その一回にかける思いが強くなるのが人間だ。本番は一度きりなのだから、失敗は許されない。

目的が変わるバスマット

娘は一日一度きりのきれいな手形足形を取るために、風呂場から出る時には呼吸を整え、ゆっくりと四つん這いで出るようになった。ひざをつかないように気を付けながら。その後手足の形がきれいに浮かび上がった珪藻土バスマットを、満足そうな様子で形が消えるまで眺めている。眺めている時に立っている場所は、もちろんバスマットの外だ。そして体はまだ濡れたまま。

その数秒後に私がお風呂から出るのだが、娘がキラキラした目で眺めている一度きりの渾身の力で付けた手足の形を、上から私が踏みつけるのはなんだか忍びない。結局、珪藻土のとなりに普通のバスマットを敷き、私はそちらに足を乗せることにした。

買ったばかりの珪藻土バスマットは用途が変わり、いまのところ娘の風呂上りのキャンバスとなっている。まあ子どものことだから、そのうち飽きて普通に使えるようになるだろう。

それにしても洗濯物が一向に減らない2020年のスタートとなった。

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