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「電話かけないで」と伝えたら友情が深まった話

「あなたの力になりたい」

今までの私は、そう言ってくれる人の好意に応えるのが負担だった。

「子育て大変でしょう?」「孤独になってない?」
優しい人たちがLINEで心配してくれる。
先日親子で熱の風邪をひいた時の話だ。

娘はとても敏感で発達を心配されているのもあり、同じようなお子さんを持つママ友が何人かいる。みんな大好きだ。でも・・・

「最近家から出てないんじゃない?みんな心配してるよ。もちろん私も。元気になってほしいな。電話したいから、空いてる時間教えて」

私は文章でやりとりするのは好きだけど、電話はとても苦手だ。見えない相手の声色から感情を推し量り、良きところで適切な相槌を打ち、相手の望む受け答えをしなければならないのは、私にとってとても神経を使う技なのだ。

さらに悪いことに「私を元気づけたいと言ってくれる相手を満足させたい」といういらぬ気遣いが入り込み、電話を切った後ますます疲弊する。

それでも今までの私なら、相手の好意に応えなくてはと考えて、「心配させてごめんね、ありがとう」と一言お詫びと感謝を入れていたことだろう。さらに頑張って電話にも応じていただろう。

でもそれは私を本当に元気づけることにはならない。つまり友人の目的が果たされない。

今回はお互いのために、「電話はかけないで」と伝えようと決意した。

本当の意味で相手の好意に応える

とても勇気が必要だった。

「せっかくの好意を無碍にされた」と思われないだろうか?と考えた。でもその友達の好意が純粋であると信じてみた。電話を断ったくらいで気を悪くするような人じゃないと信じよう。

この心の葛藤も文字にして送ることにした。

2020年の私は気を遣って言わないのではなく、気を遣ってすべてを言葉にするのだ。

いつも気にかけてくれて嬉しい。ありがとう。実は私、電話だと緊張して上手く話せないんだ。あとで疲れちゃうの。せっかく提案してくれたのにごめんね。こんなこと言うのはどうかな…と思ったけど、私のことをここまで考えてくれる〇〇さんだから、正直に伝えても気を悪くしたりしないだろうなと思って勇気を出して言ってみた!電話は苦手だけど書くのは大好きだから、LINEで近況を送ってもいいかな?子どもが寝たら書いて送るね。

何度も何度も考えて書き直して、正直な気持ちを送った。

友人からの返事はこうだった。

電話が好きじゃないなこと、教えてくれてありがとう。あねごんは気は遣うだろうけど、これからも嫌なこととかあったら言ってね。本心を教えてくれたから、今までより距離が近く感じられたよ。近況報告待ってるね。ありがとう。

今まで見たことのない景色を見た気分になった。

気を遣いすぎて、今までずいぶん空回りしてきたんだな・・

この友人とは、今度会ってゆっくり話したいと思う。

気を遣って相手に合わせる事が必要な時もあるけど、もっと人を信頼しようと思った出来事だった。

こんなこと、賢い人は若い頃からできているのかもしれない。でも私にとっては快挙であった。いくつになっても人は成長できる。

週末にケーキでも買ってお祝いしよう。


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