見出し画像

柔術教則レビュー「野村優眞 ボディロックパス」(全文無料)

 今日も今日とて柔術が楽しい。今年に入ってから柔術の試合に積極的に出るようにしています。柔術は試合がすべてではないですが、試合でしか得られないものがあると思うのです。試合のある柔術人生と試合のない柔術人生ならある方を選びたいです。

 今日は教則レビュー。野村優眞選手のボディロックパス。自身のノーギの大会のためにボディロックを勉強しようと購入しました。結論、かなりよかったです。このブログを読んだ人が見たくなるような、教則の魅力が伝わるように書いていきたいと思います。


野村優眞選手の紹介

 柔術家の方はご存知の方がほとんどでしょうが改めて。所属はPATO STUDIO。年齢31歳(2023年時点)。実績は以下の通り。色帯の全日本のタイトルはすべて獲得。そして世界選手権(ワールド)でも準優勝。とんでもない実力者です。これから黒帯での活躍が楽しみです!
●主な実績(ライトフェザー級)
2019年 JBJJF全日本選手権青帯優勝
2020年 JBJJF全日本選手権紫帯優勝
2021年 JBJJF全日本選手権茶帯優勝
2021年 IBJJF世界選手権茶帯準優勝

 こちらのインタビューを参考に→ムンジアル茶帯ライトフェザー級準優勝・野村優眞選手インタビュー「柔術は成長を感じられるもの」 - JIU JITSU DAYS (jiu-jitsu-neko.club)
 小学生から柔道を18年、その後格闘技に転向、当初はMMAにも出場していたが途中から柔術に専念。元消防士の顔も持つ。国内外問わず教則動画を見て勉強し、練習ではノートを付けたりスパー動画を見直したりと工夫して練習に取り組まれている。
 柔道仕込みの強いベース、ラペラやボディロックパスなどのテクニックにも定評がある。そしてイケメンである。強くてイケメン。うらやましい。

内容紹介 (フローチャート)

 毎度のことながら、フローチャートで教則を解説します。

0:00 ボディロックパスエントリー
2:28 スプロールパス
4:50 二重絡みに対して
5:33 スマッシュパス
9:35 パンツグリップパス
12:32 アンクルグリップパス
16:03 背中クラッチ
18:00 頭を掬われた時
21:12 右脇をさされた時
25:42 ラッソーガードへのエントリー

購入特典
Q&A 1 クローズドガードに対して
Q&A 2 オモプラッタに対して
Q&A 3 オーバーフックで帯とられる
Q&A 4 足下と腰下の使い分け
Q&A 5 蹲踞ベースの片袖片襟からエントリー

ネタバレになりそうな部分はふせてます。こう見ると覚えること多そうですが、実際にやると基本の部分を抑えていれば応用部分は意外と覚えやすいです。

 ハーフガードやバタフライガードを突破するいわゆる密着系パスとなるボディロック。この教則動画は足の下で組むボディロックをメインで扱っています。(腰下で組むパターンも載っています)。エントリーから相手のディフェンスやアタックまで、いろんなパターンを網羅しています。かゆいところに手が届くような相手のリアクション別のアタックがとても良かったです。購入特典のQ&Aの内容も参考になりました。
 動画の中でいろんな角度から技を見せてくれるのが分かりやすいです。アタックの使い分けも都度語っていて整理されます。そしてけっこう重要なのが長すぎない。ちょうどいい長さです。本編が約30分。Q&Aもすべて含めて15分以下です。ボリュームたっぷりの教則動画もいいですが見るのがおっくうになってしまうことも多いです。この長さで重要な部分をギュッとまとめてパッケージとしてコンパクトに仕上がってるのはありがたいです。
 また、ボディロックパスといえばノーギグラップリングのテクニックのイメージが強いですが、道着でも使えます。この教則では道着に落とし込んだボディロックパスの道着を使ったテクニックも多数載っているので、「ボディロックはノーギのテクニックだろ?」と思っている方もぜひ見てほしいです。

メリット(なぜボディロックパスなのか)

 そのメリットとしては、以下の点があげられます。

・スタミナ消費少ない
→組んでしまえば「こちらは体重を使えるが相手は頑張って押す形」ができるので、「こちらは疲れず相手は消費する形」になる。

・距離をつぶせる、フレームを無効化、足が効かない
→密着系パスの利点で距離を潰せます。距離を取るガード(スパイダー、ラッソ、片袖片襟など)を無効化できるし、足回しやフックなどで足を効かせるガードリテンションもできません。

・パスを取り切れる。パスの後にそのまま抑え込める
→セットアップの時点で相手の腰をコントロールしているのでパス際で逃げられるリスクが低いです。パスした後、腰を殺した状態でそのままタイトなサイドポジションをとることができます。完パスしてしっかり抑え込みまでするのは難しいですからね。

・カウンターされづらい、リスクが低い(三角、足関節、首、股下に入るガード)
→上記の内容とつながってます。密着して腰を殺しているのでまず固定できます。キワで三角やフロントや小手絞りなどを取られたり、股下に入られてスイープや足関節を取られるリスクが少ないです。バランスを崩すことも少ないので仕掛けるリスクが少ない技です。

・ギでもノーギでも使える
→これはうれしい。ギもノーギも出るタイプの人はぜひ身に着けたいですね。ノーギではグリップできないためクラッチで固定できるボディロックは優秀です。ギでは距離を取るガードが多いためそれらの対策として優秀です。共通してのメリットはこの項で書いた通りです。

・瞬発力がなくても使える、マスター世代にも優しい、ケガしづらい
→左右にバンバン飛んだり、走る系のパスではないため、瞬発力が必要ありません。スピードや瞬発的な動きもないため事故も起こりづらいです。瞬発力が落ちたり体にガタが来てるマスター世代にいいです。

・遠距離系(足をさばくパス)と近距離系パス(首脇上半身)の中間のパス
→ハーフで首脇をとる超近距離パス、足を持つ遠距離パス、これらの中間になるのがボディロックです。密着系なので首脇をとるハーフのパスと同じようなものと思いがちですが、イメージとしてはちょっと別物です。

「遠距離系で足回しとフレームが邪魔!」→「ボディロックだ!」
「ハーフまできたけど首脇とれねえ!」→「ボディロックだ!」

こんなイメージです

密着系なのに中距離というのもわかりづらいですが、、、こんな感じのイメージです

・タックルからそのままいける
→ダブルレッグのタックルだと倒したときにそのまま入れます。
タックル→ボディロックパス→サイド まで流れで行けます。

・MMAでも使える
→タックルや四つ組みのテイクダウンから流れで入れますし、密着してて腰をコントロールしているので強いパウンドは打たれにくい。そして立たれにくく、壁レスとの相性もいいです。

・足下で組むボディロックのメリット
→腰を抱くよりエントリーしやすい。足束ねると立たれにくい。腰下で組むよりアタックのバリエーションがある。などです

・デメリット
→単純だけどポイントが意外と難しい。けっこうフィジカル欲しい。顔押されるとしんどい。重い階級の人には効果が低い。ポイントを抑えていないとフロントチョークやられる。などです。

向いている人

・フィジカル強い人、重い人、パワーがある人
→まあそうだよなって感じです。密着して圧力をかけるパスなので

・体形(顔がでかい、手足長い)
→頭部をけっこう使うので、顔がでかい方がいいです。たぶん。手が長いとクラッチ組みやすいし、足が長いとスプロールでハーフのロック解除しやすいです。

・四つ組み強い人
→技の形や力の出し方が四つ組なので、スタンドの四つ組みで腕を絞る力が強い人は向いていると思います

・マスター世代、瞬発力やスピードに自信がない人
→遠距離の瞬発力やスピードが求められるパスが苦手なマスター世代の方などおすすめです

・タックルが得意、MMAやる人
→タックルで倒した後にスムーズにボディロックパスに入れます。MMAの人は柔術家に比べてフィジカル強い人やタックルが得意な人が多いですし、MMAでも使えるテクニックだと思うので。

相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技

・遠距離系パス、近距離系パス
→先ほど書いた通り、ボディロックは中間のパスになるので遠距離パスと近距離パスと相性がいいです。連携して使っていきましょう。

遠距離パスのディフェンスで腰回りにスペースができる→ボディロック
ボディロックを警戒して足が効かなくなる→遠距離パス
ボディロックから上に上がる→首脇とって近距離パス
ボディロックを警戒して首ががら空き→首とって近距離パス
ハーフで首脇をディフェンスして腰回りにスペース→ボディロック

的なイメージです。

・近距離系パス→ハーフパス、脇差しパス、トライポッドパス、サンパウロパス
・遠距離パス→レッグウィーブパス、クロスグリップパス、など

・テイクダウン
→タックル、四つ組からのテイクダウンは、相性がいいです

・肩固め
→流れで形がとれることがあります

・パス際のバックテイク
→足越えた後に背中向けてきたら捕まえられるように。

・低い位置の下半身を抑えるサイドコントロール
→首脇をとるサイドではなく、尻(腿)の下に自分の膝を差して、自分の腰と肘で相手の腰(骨盤)を挟むサイドコントロール。頭押されて逃げられないように。

・ガード解除とヘッドクォーターポジション、そんきょベース
→デラヒーバや片袖片襟、ラッソーに対して使えます。

使ってみた感想

 正直最初は難しかったです。スパーで試してもうまくいかないこともありました。そのあと教則動画を見直してポイントを修正したらきまりました。
 うまくハマった時の破壊力は抜群です。そして相手のリアクションのパターンは教則動画内でほとんど網羅できていたので、脇を差されたり、二重絡みされたり、頭を押されても対応できました。
 スパー中に相手がとってくるリアクションが「あ!これは動画で見たやつだ!」と進研ゼミの広告(伝わります?笑)みたいになることが多くて面白かったです。
 クラス後の技研究で動画の内容を伝えたらジムの仲間もディティールに驚いてました。

まとめ

 これを見てからトップのパスの攻防がより楽しくなりました。今後は自分なりに考えてスパーで試して感覚をつかんで、モノにしていこうと思います。
 遠距離で足を効かされたり、ハーフで首脇を取れなかったり、マスター世代だったり、瞬発力に自信がなかったり、ノーギでパスができない方、、解決のヒントがこの教則にあるかもしれません。オススメです!

2023/9/7 アンディ

もし、良いと思ったら投げ銭をいただけたら嬉しいです。柔術の教則購入や遠征費用に使わせていただき、よりよい記事を書く材料にします。

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?