【& Supplyメンバーインタビュー】LOBBYから広がる自分自身の可能性。“好き”を発信することで見つけた居場所。
【& Supplyメンバーインタビュー】Vol.4 伊藤萌子
内装やグラフィックデザイン、飲食と幅広いジャンルで活躍する& Supplyのメンバーのバックボーンやジョインのきっかけを探るインタビュー連載。第四回は、看護師からバーテンダーへと華麗なる転職を果たした伊藤萌子にフィーチャー。苦手だったという飲食の世界での接客業、LOBBYで働くことで広がった世界や自分自身の変化について教えてもらいました。
名古屋の看護師から東京の飲食業界へ
— まず最初に、現在の仕事内容について教えてください。
LOBBYとHoneの両店でバーテンダーとサービスをメインで担当しています。基本的にほかのメンバーは店舗が決まっているのですが、私は流動的に動いていて、そういった働き方は珍しいと思います。
— & Supplyで働く前は何をされていたのですか?
地元は名古屋なのですが、高校を卒業して看護の専門学校に入り、学校卒業後は4年間総合病院の病棟看護師として働いてました。
— 看護師と聞くと勉強も含めて大変な職業だと思いますが、4年間しっかり働いたのちに全く違う世界に飛び込んでみようと思われたのはなぜですか?
看護師が嫌になって辞めたというわけではないんです。病院って、基本的には社会で生活をしている人が怪我や病気を負って入院するところで、ただ病気を見るだけではなく、人として一人ひとりと対峙する仕事なんだと学びました。
私が働いていたのが内科だったこともあり、最期を迎える人を看取ることも多く、人々がどういった社会のなかで生きてきたのかを考えることが増えていく一方で、病院でしか働いたことがなく、ほかの社会を知らない私が、本当に目の前の患者さんのことを理解することができるのかと考えるようになりました。
— そこから転職を考えるように?
そう。だったら、1回外の世界に出てみるのもありなんじゃないかと思って。看護以外の仕事をしている友達や私自身趣味や好きなことがたくさんあったので、そっちにもっと触れられるところに生活の軸を置いてみたら、きっと見えるものが変わってくるんじゃないかと思い、上京を決意しました。
— LOBBYで働くことは上京前から決まっていたんですか?
LOBBYのことは上京する前から知ってはいましたが、まさか働くことになるとは思いませんでした。代表の井澤と共通の友人である地元の先輩がいて、その人にいろいろと相談していたときに紹介してもらって。次の日に履歴書を送って、その翌週には面接していました。
一人で“好き”を突き詰めていた学生時代、世界を広げてくれたのはお酒の場
— 代表の井澤さんからは、萌子さんのカルチャーへの熱量など他の人とは違った魅力が採用の決め手になったと聞いています。そういった好きなもののバックボーンはどこにあるのでしょうか?
父の影響が大きいですね。映画『トップガン』やアメ車などが流行って人気だった世代で、最初は父が好きな音楽カルチャーに影響を受けて、そこからどんどん自分でも調べて行くのが好きになっちゃって。高校時代はロックバンドにハマったり、服とかいろんなことに興味を持つようになりました。
でも高校生の頃は偏屈だったので、いつも一人。周りに理解してくれる人がいないと思っているような変わり者タイプでした。
— 一人で好きなものを突き詰めていたところから、どうやって気の合うコミュニティと出会うことができたんですか?
大人になって、お酒の場に足を踏み入れたことで環境が変わりました。そこにはいろんな仕事をやってる人がたくさんいて、同じぐらいの年齢の学生もいたし、美容師、アパレル、普通に会社員の人とかもいて。名古屋ってすごくコミュニティが狭いんです。だから1人と出会うと、ばばばーっと広がるので、気づいたらもうみんな知ってるみたいな感じになっていました。
— 一歩踏み込んだら広がったみたいな?
本当にそんな感じです。一人でふらっと出かけた先で友達ができて、一緒に遊んだりとかイベント行ったりとかするようになって、気づけば共通の趣味の友達が増えていきました。フェスやライブに行ったり、服を見に行ったりと好きなことをしていくうちに自然と広がっていった感じです。
苦手な接客がやりがいに変わった1年半の軌跡
— 未経験だった飲食の仕事、大変に感じたことはありますか?
最初はお客さんとのコミュニケーションに全然慣れなくって。人見知りだし、シラフの状態のときのテンションが基本的にローなんです。だから、お客さんとかにも話しかけたりとか話をするっていうこと自体がまず苦手でした。
見た目や態度もぶっきらぼうな印象を与えることが多かったので、苦労しました。お客さんと話すのって、看護師のときはまた違うんですよね。
— 看護師と患者さんというのと、お客さんとお店の人みたいな距離感が違うんですかね。
看護師は一度担当になると、一定期間同じ患者さんと付き合っていくので、徐々に距離を詰めて関係を深めることができたけど、飲食ではその日初めて来た人とコミュニケーションを取らなくてはいけないので。そこが本当に苦手でした。
— なるほど。逆に看護師のときの経験が生きたと感じることはありますか?
看護師の基本として、傾聴を叩き込まれてきたので相手の話を聴くことは得意かもしれません。あとは、お店で酔っ払った人の介抱を何度か任されたことはありますね(笑)。
— 看護経験者の介抱は安心感がありますね。この1年半の間に、Honeの立ち上げなどいろいろな経験をされたと思いますが、& Supplyのチームで働いていてやりがいを感じる時はどういう時ですか?
それこそ、最初は苦手だったそのお客さんとの関わり方がだいぶ自分の中でできるようになってきていて、Honeの場合だと提供するお酒やワインを選んだり、お料理持っていくといった近い距離でお客さんの反応を直接見ることができるというのは、こういうお店で働くやりがいにつながっていると思います。すごく喜んでくれたり、もう一度来店してくださったりするとすごく嬉しいですし、もっと喜んでもらえるように頑張ろうという活力にもつながっています。
あとは、働いているお店に友達が来て楽しく飲んでいる姿を見ると嬉しくなります。一緒にどこかで飲むよりも、わざわざLOBBYやHoneにきてくれて、楽しんでくれていることがすごく嬉しいんです。
— ご自身が好きだったことを発信したり、生かせるような環境にいることで新たな発見などもありましたか?
LOBBYの場合は、本当にいろいろな人が集まるので、自分が好きな音楽などを発信していくと、本来だったら聞いてもらえなかったり、見てもらえなかったような人たちから、思いがけない感想をもらうことができたり、より深いお話が聞けたりと、自分が知らなかったことがどんどん広がっていくのを感じます。
ここで働かなかったら行けなかったような場所や出会えなかったような人と出会うことができ、自分が好きなものをもっと知ることができて、より広げることができている。それはいろんなバックボーンを持つ人が集まっている& Supplyという会社で働くからこそ得られたことだと思います。
— 上京のきっかけに対して、一つの答えを見出しているような印象を受けますね。
本当にすごくいい経験をさせていただいてるなと実感しています。周りのスタッフしかり、お店に来るお客さんも本当にいろんな人が来るので、「こんなところに共通点があったの?」みたいなことも多くて。いろんな人がいるということを知るという意味では、自分にとって好きなものがたくさんあったからこそ、この場所で自身の目的に対して、触手を広げていくことができているんだろうなと思います。
— さまざまなバックボーンを持つ人が集まっている& Supplyだからこその魅力を感じることはありますか?
とにかくここにいる人みんな受け皿がすごく大きいなといつも感じています。私はうまく話すことができないタイプなのですが、それでも何かを汲み取って、分かろうとしてくれる人たちの存在にすごく助けられてます。
自分とは違うものを極めていたり好きだったとしても、自分の思いや考えを発信できる場所。同じような考えを持った人がいなくても、自己表現できる。それをちゃんと聞いて受け入れてくれる人たちがたくさんいる場所なので、すごくありがたいです。
— なかなかそういった居場所を見つけることは難しいので、すごく貴重ですね。先日は萌子さんの知人のキャンプ場でイベントを行ったりもしましたが、お店の通常営業以外の企画なども担当されているのですか?
そうですね。先日、LOBBYが名古屋で出店する機会があったのですが、もともと名古屋でつながりのあった飲食店の人たちがLOBBYに遊びに来てくれて、せっかくなので一緒にイベントをしませんか?と声をかけたところから実現したんですよ。
— LOBBYを軸に、萌子さんならではのコミュニティがより広がっているんですね。この場所で働くうえでやりたいことにも変化はありましたか?
もっと自分をきっかけに何かを起こせるようになりたいですね。ただ自分が楽しいだけでなくて、自分自身のつながりを生かして、みんなが楽しいとか面白いと思ってもらえるような企画やイベントをみんなでやっていきたいです。
赤裸々な将来の目標とこの場所で働き続けることで伝えたいこと
— もっと盛り上がっていきそうですね。将来的な目標なども考えていますか?
すごくふんわりしたことを言うと、何も生活に困らず、自分が好きなことを楽しみながら過ごせる大人になりたいです。なぜかというと、& Supplyにいる人たちがそうだから。一生懸命仕事をして、自分が好きなことにも一生懸命で、なんならそれをお店の良いところにもしちゃうみたいな。そういう30代になれるような環境を自分で作っていきたいです。
そして、最終的にはまた看護師に戻ることも考えています。5年後になるか、10年後になるかはわからないけれど、ここでの経験をきっと生かすことができると思うので。
— これから新しいメンバーが入るとしたら、萌子さんはどういう人と働いてみたいですか?
自分が好きなものをちゃんと好きって言える人がいいなって思います。私自身、自分の好きなものが割とはっきりしているタイプで、昔から好きなものをディグったり、さらに好きなものを見つけたりということを繰り返してきたからだと思っていて、そういう行動を無意識にできる人って、自分の“好き”が見た目にも中身にも少なからず投影されていると思うので、魅力的だし、LOBBYにいたらかっこいいんだろうなって思います。
— 今回、萌子さんのお話を聞いて、「接客に憧れているけど、苦手」という人も、挑戦してみようかなと思えるような気がしました。
私自身、本当に接客が苦手でしたし、周りのスタッフからも顔が怖いとか暗いとかめっちゃ言われてました(笑)。それでも、続けていくとそこに良さや面白さを見出せるようになっていきましたし、自分のなかですごくいい変化をもたらせたと思っています。
— 好きなものも増えましたか?
大きな枠は変わらないですが、その中でも広がりましたね。ジャンルが違ったり、いろいろな人の楽しみ方やこだわりを聞くなかで、そういう楽しみ方や面白味もあるんだみたいなのを感じるようになったので、前よりも好きなものが増えました。
— “好き” の深さや広がりが出て、より一層楽しめるようになったことで自分に返ってきたことを実感することはありますか?
昔は1人で楽しむのがとにかく好きだったのですが、楽しいを共有する時間が増えたことで、新たな発見を自分だけではなくて、周りの人にも伝えられるようになったのは変化のひとつです。もちろんみんなにも楽しい、面白いって思ってもらえたらなお良しですが、そうじゃなくても「こういう考えがあるんだ」といった会話や気づきにつながれば楽しいですよね。
▼自ら企画しているLOBBY MASTER'S PLAYLIST
毎月その季節にあった音楽を選曲している。
— 結果的に萌子さんの中でもいろいろな受け皿が増えたり、変化につながってることを実感されているんですね。
はい。そもそもこうやって自分のことを話すことも苦手だったのに、できるようになったというのも私にとっては大きな変化。もし、今こういった自己開示が苦手だと思っている人がいたら、大丈夫!と伝えたいですね。私がそうだったから。
自分にとっていい方法がきっと見つかると思うし、もしもそれが合わなかったとしたらそれはそれでいい。とにかくチャレンジしてみるというのはとてもいいことだと思います。
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