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パブコメに投稿したら採用された - 部活動地域移行

国が実施した意見募集(パブリックコメント)に投稿したところ、私の意見が採用されましたので、ここに記しておきます。


パブリックコメントとは

パブリックコメントとは、行政が策定しようとする計画などに対して、一般市民が、文書で、反対の意見や修正の意見を申し出る制度です。

賛成の意見を申し出たとしても、行政はその方向でハナシを進めているのですから、意味はありません。

賛否を問うているのではありません。意見の内容を問うているのです。
なので、スパムメールのように、特定の同一の意見を多く出せば良いというのではなく、むしろ、そのような意見の出し方は間違っており、迷惑です。

話のスジが通っていれば公開してくれたり採用してくれるので、そういう意味では、社会的少数派にとって意見表明の場であり意義はあります。
ただし、現実問題として、パブコメの意見が採用されることはありません。もっとも、誤った字句の修正であれば、100%採用してくれます(笑)。

行政としては、反対の意見や修正の意見に対して、合理的な反論や説明をすべきです。そして、議論を深めるべきです。

地方自治体が実施するパブコメでは、意見の数が少ないということもあり、その自治体の考え方が、反論として表明されます。これが、本来あるべきパブコメの姿だと思います。

残念なことに、部活動地域移行に関するパブコメでは、国民からの一部の意見の概要の紹介にとどまっており、しかも国としての考え方・反論が掲載されていません。
その原因は、全国から約千個もの意見が集まったため、国としての考え方を示すための時間が無かったのだろうと思います。意見の締切から約10日間という短い期間で結果を公示したのですから、役所として仕事は頑張っていると思います。内容は、ともかくとして(笑)


部活動地域移行に関するパブコメ

意見募集の対象:学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン(案)



意見募集開始:令和4(2022)年11月17日
提出期限:2022年12月16日 
結果の公示:2022年12月27日
担当:スポーツ庁地域スポーツ課及び文化庁参事官(芸術文化担当)付

趣旨:
スポーツ庁及び文化庁では、令和4年夏に取りまとめられた部活動の地域移行に関する検討会議の提言を踏まえ、平成30年に策定した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を統合した上で全面的に改定し、新たに「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定する予定です。
ついては、本件に関し、広く国民の皆様から御意見をいただくため、意見募集を実施い たします。

本パブコメの趣旨



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提出意見数は、980個でした。メッチャ多いです。世間からの注目は高いです。
私は教育関係の人間ではなく、ただの市民ですが、オンラインで19個の意見を提出しました。そのうち、7個がヒット(?)しました(笑)。

提出期限の1日前の12月16日に提出した時点では、オンラインでは約530件が提出されていました。なので、残りの約400件程度は書面などによるものだと思います。

以下に、取り上げられたり、採用された私の意見を掲載しておきます。


1.まずは、字句の修正から(笑)

提出意見:
該当箇所 全体
意見内容
〇字句の確認 「指導者の質」という文言の後に「保障」(15ページ)と「保証」(16ページ)という文字が出てきますが、このままで良いのでしょうか。

私が提出した意見 その1

いきなり、ショボイ意見(笑)

修正後のガイドライン:

修正箇所 16ページ 「保障」が正しいようです。


2.教育資源

提出意見:
該当箇所 全体
意見内容
都会などでは予算・人員の確保が可能だと思いますが、地方では困難です。これにより地域間の教育格差が発生し、地方における教育力の脆弱性が可視化してしまいます。そして、子育て世代にとって地方には魅力を感じることができず、過疎化が一層進むと思われます。
教育資源が乏しい地方の立場を重視した形でガイドラインを取りまとめるべきだと思いますがいかがお考えになりますか。

私が提出した意見 その2

次のとおり「意見の概要」に掲載されました。

「意見の概要」 赤色の下線は私が付けました


3.ホームページへの掲載

提出意見:
該当箇所 6ページ 「学校部活動」の「1 適切な運営のための体制整備」の「(1)学校部活動に関する方針の策定等」の「エ」
意見内容
「活動方針及び活動計画等を学校のホームページへの掲載等により公表する」ことは従前から定められていたと思います。しかし、学校現場では実施されていません。
この実効性を上げるための方策も記載してください。

私が提出した意見 その3

修正後のガイドライン:

「ガイドライン」 6ページ 「学校部活動」の「1 適切な運営のための体制整備」の「(1)学校部活動に関する方針の策定等」の「エ」

私の感想
こんな修正で実効性が上がるのだろうか(笑)。


4.不適切な指導者を排除する仕組み

提出意見:
該当箇所 14ページ 「2 適切な運営や効率的・効果的な活動の推進」の「(2)運営団 体・実施主体」
意見内容
不適切な者が指導者になってしまう場合があると思います。この不適切な者を検知し排除する仕組みをガイドラインにまとめてください。

私が提出した意見 その4

ガイドラインでは複数個所で修正がありました。他の人の意見もあって修正したと思います。

「ガイドライン」 14ページ 2の(2)

私の感想:上記のような、他の文書に準拠する書き方は、その文書内容を読者が参照しなければならず、適正な内容かどうか直ちに判断できない。

「ガイドライン」 16ページ 2の(3)の①の地域文化倶楽部活動のア

私の感想:上記の「別の第三者」を設ける財源をどこに求めるのだろうか。

次のとおり「意見の概要」に掲載されました。

「意見の概要」の各論の「指導者に関すること」 赤色の下線は私が付けました


私の感想
こんな修正で実効性が上がるのだろうか(笑)。(再掲)(笑)

民間のクラブでは不祥事があっても隠す傾向にあると思います。なので、外部からの積極的な査察が必要ではないかと思います。


5.字句の修正 その2(笑)

提出意見:
該当箇所 17ページ 「教師等の兼職兼業」の「ウ」
意見内容
「地域のスポーツ・文化芸術団体等において、」を
「地域のスポーツ・文化芸術団体等は、」に変更する。
理由
原文のままでは「継続的・安定的に指導者を確保できるよう留意する。」の主語が不明確であるため、主語であることを明確にする。

私が提出した意見 その5

修正後のガイドライン:

「ガイドライン」 17ページ 「教師等の兼職兼業」の「ウ」


6.ホームページへの掲載 その2

提出意見:
該当箇所
22ページ
「学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備」の
「1 新たなスポーツ・文化芸術環境の整備方法」の
「(2)検討体制の整備」のア
意見内容
協議会の構成員や検討状況について、ホームページなどで公開することも本ガイドラインに記載してください。
理由
・団体を今後新規に創設する可能性を考慮し、その新設の参考に資することができるようにするため。
・公正に実施されているのかを、市民が検証できるようにするため。

私が提出した意見 その6

修正後のガイドライン:

「ガイドライン」 22ページ 「学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備」の 「1 新たなスポーツ・文化芸術環境の整備方法」の 「(2)検討体制の整備」のア

次のとおり「意見の概要」に下線付きで掲載されました。

「意見の概要」の各論の「行政における責任に関すること」


7.修正されたが、それでも意味不明(笑)

提出意見:
該当箇所 22ページ IIIの1の(1)のア
意見内容
「生徒や保護者等へ説明を丁寧に行う。」とありますが、誰が何を丁寧に説明するのか不明なので、ガイドラインに明記してください。
おそらく、「指導方針」を説明するのだと思いますが、このことについて何故「丁寧」である必要があるのでしょうか。
指導者が同一であれば説明はいらないように解釈できますが、それで良いのでしょうか。

私が提出した意見 その7

修正後のガイドライン:

「ガイドライン」 22ページ IIIの1の(1)のア

私の感想
「の活動状況」を挿入するという文章に修正されたが、それでも、何故、説明が「丁寧に」なのか意味不明です(笑)
想定される事例を知らないと、意味不明のままですね。


スポーツ庁とは何者か

スポーツ庁とは、スポーツ愛好者への利益誘導を図る政治勢力が創設した役所です。
なので、中立性はありません。論理性もありません。

スポーツマンは、スポーツのことしか教育されず、スポーツのことしか考えず育ってきました。
スポーツマンはすがすがしい、というイメージは、メディアによる演出です。また、スポーツマンの、自身への礼賛です。

学校運動部の外部委託は、委託先にスポーツマンの雇用が創出できる、というスポーツへの利益誘導を図ることが真の狙いだろうと思います。

スポーツビジネスという言葉がありますが、行政からの支援・補助を前提にしているにも関わらず、「ビジネス」という用語を使っているのが詭弁ですね。

真面目に子どもの教育を考えるのであれば、現状のように、学校部活動に関する政策が迷走することはありえません。

地方では学校部活動の外部委託には無理がある、ということは、始めからわかっていたことです。

それを、パブコメというカタチをとって、意見を聞いたというカタチをとって、「あっ、そ~いう困難があることは、初めて聞きました」というカタチを取っているのです。

スポーツ庁の政策を礼賛するために、パブコメを利用している、というのが次の記事です。パブコメで出された意見のうち、スポーツ庁にとって都合の良い意見だけを取捨選択しているのです。


ボツになった私の意見

いわゆるNG集のような、ボツになった私の意見は以下のとおりです(笑)。

1.活動時間の「2時間程度」

提出意見:
該当箇所
19ページ 「(5)適切な休養日等の設定」の「ウ」
意見内容
活動時間の「2時間程度」に、着替え、準備、後片付け、清掃、日誌作成、物品購買、書類作成、その他雑用に係る時間を含むのかどうかも記した方が良いと思います。
大会では、活動時間の取決めが大会主催者任せになり、「2時間程度」を守れない場合があるかもしれません。その場合の考え方も示した方が良いと思います。大会の主催者にも活動時間に係る本ガイドラインによる取決めを尊重するよう、示した方が良いと思います。

ボツになった私の意見 その1


2.役所と地域クラブとの関係

提出意見:
該当箇所 19ページ 「新たな地域クラブ活動」の「2 適切な運営や効率的・効果的な活動の推進」の「(6)活動場所」の「イ」及び「ウ」
意見内容
「イ」及び「ウ」を削除する。
理由
1.安定的・継続的な運営を行いたいのは、どこの団体でも同じです。一部の団体のみに安定的・継続的な運営を保証することは不公平です。
2.都道府県等の公共機関は、団体との社会的距離を保ち、客観的な立場から団体を評価・査定し、必要に応じ排除することが容易に行えるような社会的関係を構築すべきです。ゆえに、地域クラブ活動を実施する団体に委託をすることはやめてください。
3.委託や「民間事業者等が、学校施設の利用が可能となるよう改善を行う」ことなどの具体的な方策は、都道府県又は市区町村が、必要に応じ、自ら発想し、自らの意思で取り決めるべきです。

ボツになった私の意見 その2

(参考)ガイドライン 19ページ 「新たな地域クラブ活動」の「2 適切な運営や効率的・効果的な活動の推進」の「(6)活動場所」の「イ」及び「ウ」

イ 都道府県及び市区町村は、学校施設の管理運営については、指定管理者制度や業務委託等を取り入れ、地域クラブ活動を実施する団体等に委託するなど、当該団体等の安定的・継続的な運営を促進する
ウ 営利を目的とした学校施設の利用を一律に認めない規則の制定や運用を行っている都道府県及び市区町村においては、地域クラブ活動を行おうとする民間事業者等が、学校施設の利用が可能となるよう改善を行う

ガイドライン 19ページ 「新たな地域クラブ活動」の「2 適切な運営や効率的・効果的な活動の推進」の「(6)活動場所」の「イ」及び「ウ」


3.生徒の個人情報の取扱い

提出意見:
該当箇所 21ページ 「3 学校との連携等」のイ
意見内容
「情報共有等を綿密に行い」と記しただけでは、生徒の個人情報の取扱いの程度のあり方に疑義が生じます。
この疑義を解消するため、学校と、外部指導者や「地域の多様な主体」との間で行われる、生徒の個人情報(顕彰や問題行動、必要とされる教育的配慮事項)の受渡し、保管、取扱いのあり方について、本ガイドラインに記載すれば良いと思います。

ボツになった私の意見 その3

(参考)ガイドライン 21ページ 「3 学校との連携等」のイ

イ 地域クラブ活動と学校部活動との間では、運営団体・実施主体や指導者が異なるため、2(2)②で述べた協議会等の場を活用し、地域クラブ活動と学校部活動との間で、活動方針や活動状況、スケジュール等の共通理解を図るとともに、関係者が日々の生徒の活動状況に関する情報共有等を綿密に行い、学校を含めた地域全体で生徒の望ましい成長を保障する。その際、兼職兼業により指導に携わる教師の知見も活用する。

ガイドライン 21ページ 「3 学校との連携等」のイ


4.民間業者が参入するための便宜

提出意見:
該当箇所
23ページ 「学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備」の「1 新たなスポーツ・文化芸術環境の整備方法」の「(3)段階的な体制の整備」
意見内容
「地域の多様な主体」が自主的に連携の検討をし易くするため、例えば、次の疑問に答えるような文言を載せれば良いと思います。
・英語教育の民間業者が、学校の既存の部活動の「英語部」の外部指導者になることはできるのか。
・全国展開している英語教育の民間業者が「地域の多様な主体」になることはできるのか。
・「英語部」が学校に存在しない場合、英語教育の民間業者が、生徒が在籍していない時点で「英語部」を創設し、「地域の多様な主体」になることはできるのか。

ボツになった私の意見 その4


5.関係者の例示に「市民」も

提出意見:
該当箇所 24ページ 「3 地方公共団体における総合的・計画的な取組」のア
意見内容
周知や理解と協力を得る関係者の例示として「市民」も含めてください。
ホームページで公開することや、幅広い関係者から意見を聴取することも含めて取組むよう記述してください。
理由
・地域クラブへ今後新規に参入する者への参考に資するため
・保護者は多忙ですが、ネットに掲示された情報であれば、他者の意見をも考慮に入れることができる上、比較的容易に保護者自身の意見をまとめ、表明できるようになるため
・幅広い世代・立場からの多様な意見を集めることが望ましいため

ボツになった私の意見 その5

(参考)24ページ 「3 地方公共団体における総合的・計画的な取組」のア

3 地方公共団体における総合的・計画的な取組
ア 都道府県及び市区町村は、前記2を踏まえ、例えば推進計画の策定等により、地域のスポーツ・文化芸術団体、学校、保護者等の関係者に対し、取組の背景や地域におけるスポーツ・文化芸術環境の方針、具体的な取組の内容、生徒自身や地域社会に対し見込まれる効果、スケジュール等について分かりやすく周知し、理解と協力を得られるよう取り組む。

「ガイドライン」 24ページ 「3 地方公共団体における総合的・計画的な取組」のア


6.大会等の在り方の見直し

提出意見:
該当箇所 26ページ 「大会等の在り方の見直し」
意見内容
クラブ活動において優秀な成績を修めた子どもだけが、大会参加機会を得るなどの教育資源を獲得することは公平・公正ではありません。努力をしたにも関わらず参加機会を逸した子どもたちが報われません。
このため、大会に参加できなかった子どもや、レクリエーション的な活動など成果発表の場に参加しない子どもなどをも含めて、大会に参加したことと同等程度の金銭なども含めた教育的支援を行うよう、全ての子どもが公平・公正に処遇されるよう記載してください。

ボツになった私の意見 その6


以上

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