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vivo X80 Pro 長期使用レビュー

はじめに

Antutuスコアの測定やカメラの作例の掲載、充電速度やバッテリー持ちの検証、ディスプレイやスピーカーの評価など、一般的なスマートフォンレビューは大手ガジェットレビューサイトや著名人が率先してやっていく。従って筆者のnoteのような記事において、わざわざそのような当たり前のスマートフォンレビューをする意味は極めて薄い。

このような理由から、筆者は様々なタイプのレビューの方法を試みてきた。今回はその一貫として、また新しいレビューの方法をとる。

従来の形式のレビューにおける問題点は、周知の事実をわざわざ書き連ねることにある。例えばvivoのフラッグシップスマートフォンのカメラ性能が高いことは、わざわざ強調しなくても、この記事を読んでいる方々なら知っているだろう。大衆に向けた記事なら強調するべき事柄だが、このnoteでは意味の薄い内容となる。

そこで本レビュー記事では、まず筆者がスペック表や事前評価などから購入前に予測していたスマートフォンの使い心地と、予測と一致していたことについて軽くまとめた上で、予測と異なっていた部分について重点的に書いていく。

vivo X80 Pro スペック

Snapdragon 8 Gen 1 (V1+)
→筆者が購入したのはメモリ8GBストレージ256GBのモデルである。最大構成はメモリ12GBストレージ512GBである。尚、グローバル版は最大構成とメモリ12GBストレージ256GBモデルの2種類のみであり、カラーも黒のみである。中国版にはDimensity 9000版も存在する。Origin OS 3では仮想RAM機能が追加された。

4700mAh 80W+50W
→ワイヤレス逆充電にも対応している。

Samsung E5 AMOLED 6.78" 1440×3200 120Hz

50MP (GN1, f/1.57, OIS)
+48MP (IMX598, f/2.2, 超広角)
+12MP (IMX663, f/1.85, microPTZ, 2倍望遠)
+8MP (OV08A10, f/3.4, OIS, 5倍ペリスコープ望遠)
→インカメラは32MP。

164.57×75.30×9.10mm 219g

Origin OS Ocean
→2022年末、Android 13ベースのOrigin OS 3へアップデートされた。グローバル版はFuntouch OSである。

その他:IP68 Qualcomm 3D Sonic Max IRブラスター

vivo X80 Pro 使用感予想

[処理能力について]


ハイエンドSoCを搭載しているため基本的に処理能力が不足することは無いと考えられる。一方で8 Gen 1は評判が良いSoCでは無く、原神などの3Dグラフィックゲームをプレイすることは厳しいだろう。ただし筆者は基本的にiPhoneでしかゲームをプレイしないため問題ナシ。

[バッテリー持ち及び充電速度について]


画面サイズと8 Gen 1の消費電力効率を考えれば、4700mAhというバッテリー容量は少し心許ない。が、バッテリー持ちお化けと名高いiPhoneのPro Maxと併用するため現実的な問題には至らないと予想。
80Wという充電速度は筆者が今まで使ったスマートフォンの中で最速であるため、期待できる。付属の充電器も中国版なら日本でも問題なく使用できる。

[ディスプレイとスピーカーの性能について]

はっきりいって、オタクであっても余程大きな問題がない限り、ハイエンドモデルの間で有機ELディスプレイの画質の違いを見分けることは不可能である。vivoのハイエンドスマートフォンは特別ディスプレイが優れているという話は聞かないが、(当時)最新のE5 AMOLEDを使用していることから、十分なディスプレイ画質が期待できる。
また、筆者はエッジディスプレイを支持している。
vivoは以前からスピーカーの性能に関して評判が悪い。しかし筆者は基本的にスマートフォンのスピーカーで音楽を聴くということは無く、主に動画やゲームの音声を聞くためにのみ用いるため、問題になるとは考えていない。

[カメラについて]


カメラのために買ったと言っても過言では無いため、最も重要な要素である。ただし背面にある4つのカメラ全ての性能に期待できるわけではない。
明らかにペリスコープ望遠カメラは貧弱であるため、望遠域の撮影はGalaxy S21 Ultraを併用してカバーする予定である。
超広角や2倍望遠についても突出して強力であるとは思えないが、事前評価を見れば十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろうと考えられるため心配はしていない。
従って、他と比べて圧倒的なパフォーマンスを期待できるのは広角カメラだけということになり、評判の良さからあらゆる状況で最高のパフォーマンスを発揮してくれると勘違いしてしまった人からすれば期待外れに感じるだろう。
しかし、トップクラスの広角カメラと高い水準の超広角・2倍望遠を備えている時点で、最高のカメラフォンの1つであるという事実に変わりは無いと考えた。

またvivoに限らず中華スマートフォンは多彩な撮影モードを備えていることも魅力である。やはり写真撮影を趣味の1つとして捉えた時、こうした機能は見逃せない。
動画撮影や自撮りは基本的にしない、又はするとしてもiPhoneで撮影するため考慮していない。

[サイズや重量について]


筆者は以前から200g超えの大型なスマートフォンばかりを使用しているため、重い・大きいと感じることは無いだろう。寧ろGalaxy S22 Ultraくらい大きくして欲しい。

[Origin OSについて]


コレが1番の不確定要素である。見た限りデザインは好ましいと感じるが、1度も触ったことの無いUIであるため使用感は想像がつかない。他の中華UIと同じく様々な機能が搭載されている一方、よくクセの強いUIだと評されるが、実際にどういう点においてクセが強いのか調査したい。

[その他]


基本的にWi-Fi環境でのみ使用するため、対応バンドについては気にしない。また、筆者はイヤホンジャックやmicroSDカードスロットなど時代遅れな装備に固執していない。が、実はvivoのハイエンドスマートフォンは以前からハイレゾ音源の再生に対応するだけでなくシーラスロジック製のDACを搭載するなど、有線オーディオ派に配慮した仕様になっている。

vivo X80 Proを使用した結果、予想と一致していたこと

[処理能力について]
[充電速度について]
[ディスプレイについて]
[スピーカーについて]
[サイズや重量について]
→これらの使用感は予想とほぼ一致しており、他に特筆すべき点もないため、レビューを割愛する。
尚、カメラ性能については概ね予想通りだったものの新たな発見があった。

[広角カメラについて]


事前評価通り、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれた。特にHDR性能は素晴らしく、夜景モードにおいてわざと露出を上げてもあらゆる白飛びがHDR処理によって復元されていく様子は見ていて気持ちが良い。夜景撮影では基本的に明るい写真の方が映える印象があるため、夜景撮影においてシャドウを持ち上げることに関してそこまで大きな問題だとは感じていないが、確かにHDRをオフにした時は落ち着いた仕上がりになってもいいと感じる。
ZEISSモードについて、購入する前はもう少し積極的に使っていくことになると考えていたが、筆者は基本的に色鮮やかな写真を好むため、彩度が低下するZEISSモードはほとんど使っていない。

夜景パノラマ撮影や長時間露光撮影など多彩な撮影機能があり、オート撮影時だけでなく夜景モードにも専用のフィルターが用意されているため、遊べるカメラとしても優秀だと感じた。

[超広角カメラについて]


今まで使ってきたスマートフォンの中では最も優秀な超広角カメラなので、夜景撮影にも十分対応できる超広角カメラを手に入れることができて満足した。しかし撮影を繰り返すにつれ、超広角という画角に使いにくさを感じ、超広角の出る幕は減っていった。もうこれ以上高性能な超広角カメラは不要だと考えるようになった。

[2倍望遠カメラについて]


超広角カメラとは逆に、2倍望遠はvivo X80 Proを購入してから積極的に使うようになった。2倍望遠カメラとしてはvivo X80 Pro登場当時最も高性能だったが、センサーサイズが大きくないこともあって、夜景撮影では性能不足を感じることが多々あった。また一定以上暗い環境下では広角からの2倍クロップの方が美しく撮影できるうえ、物撮りでも2倍クロップ撮影となるため、vivo X80 Proの2倍望遠カメラの存在意義については疑問が残る。
vivo X90 Pro+は超広角が据え置きである一方、2倍望遠カメラは強化されているため、筆者の求める方向性と一致している。

[ペリスコープ望遠カメラについて]


性能については予想通り微妙だった。しかし、使っていくにつれ5倍という画角が使いやすいと感じるようになり、気づけば10倍ズームのGalaxy S21 Ultraの出る幕はなくなっていた。vivo X80 Proの2倍ズームと、3倍ズームのiPhoneもあって5倍までの低倍率望遠はそろっていたので、Galaxy S21 Ultraは売却した。結果的に強力な望遠カメラを持つスマートフォンは無くなってしまったが、OV64Bの3.5倍のペリスコープ望遠カメラを持つvivo X90 Pro+に期待することとした。

vivo X80 Proを使用した結果、予想と異なった点

[バッテリー持ちについて]

バッテリー持ちを調査するYouTube動画でもバッテリー持ちが悪いとされていたため、期待していなかったが、思いのほか良かった。3Dグラフィックゲームなど重いタスクを行う際は凄まじい発熱と電池消費で予想通りの結果だったが、SNSや動画視聴など日常利用においては電池消費や発熱が少なくなるよう上手く調整されているようだ。筆者はvivo X80 Proでは重いタスクを行う予定がないため、かなり快適に使えている。

[Origin OSについて]


Origin OSの使用感については、予想が難しかったため、ここは普通にレビューを行う。
まず通知について。Origin OSは通知が来ないとよく言われるが、基本的に通知はくる。少なくともTwitterの通知はくる。しかし、Origin OSのアップデートによって一時的に来なくなったこともあったため、不安定なことに変わりは無い。
次にバックグラウンドタスクについて。Origin OSを含め、中華UIはバックグラウンドにおけるタスクキルを積極的に行うと聞くが、少なくとも現在、筆者の環境ではタスクキルによって不便に感じていない。
しかし今まで純正のヘルスケアアプリの歩数計測が行われなかったことや、バックグラウンド再生していたYouTube動画が止まったことはあったので、やはり安心できない。よく使うアプリは、「バックグラウンドでのバッテリー消費量の管理」という項目において、「バックグラウンドでの大量の電力消費を許可する」を選択しておいた方が良いだろう。
通知とバックグラウンドタスクについては現在問題ないと考えているが、GMS(Google Mobile Service)については不便だと感じている。使い始めた当初は無かった問題だが、現在勝手にGMSが無効になるという問題が発生しており、解決方法は見つかっていない。GMSが無効になると、アプリをダウンロードしたりアップデートしたりすることができなくなる。GMSを再度有効にするには、設定画面の「アカウントと同期」から「Google基本サービスの管理」を選択し、スイッチを1度オフにしてからオンにする必要がある。
またVPNを有効にした状態でブラウジングを行うと、VPNを無効にするよう指示するポップアップが現れる。そのままブラウジングを続けることは可能だが、いちいち警告が現れるのは鬱陶しい。
大きな問題はGMSとVPNの2点だが、他にもデフォルトのブラウザアプリを別で設定していたとしても純正のブラウザアプリが起動することがあったり、Google Play StoreからダウンロードしたSONYの「headphones connect」アプリが落ちたり(vivoのアプリストアからダウンロードすれば問題ない)など、小さな問題はいくつか存在する。vivo端末を使用している方々の中には筆者が経験していない問題を挙げている方々もいるため、機種やOSバージョンによっては他にも問題が発生すると考えるべきだろう。

筆者は現在iPhone 14 Pro Maxをメイン端末として使用しており、vivo X80 Proの用途は限定しているため、Origin OSにおける様々な問題の影響は最小限に抑えることができている。しかし、vivo X80 Proを初めとした中国版のvivo端末をメイン端末として使用する場合は、相応の覚悟と知識が必要だろう。筆者としては、全ての中国版vivo端末について、サブ端末として使用するか、グローバル版を購入することを推奨する。

問題点について多く挙げたので、Origin OSの美点について紹介する。
まずデザインについて、筆者好みのデザインである。また各種アニメーションや純正アプリのウィジェットのデザインも作り込まれている。ホーム画面のデザインを始め、ロック画面や生体認証アニメーション、充電アニメーションのデザインなどをカスタマイズすることができる。
次にデフォルトアプリについて。サードパーティー製のアプリは広告があったり有料だったり、システムUIとデザインが統一されていなかったりするため、筆者はデフォルトアプリは多い方が良いと考えているが、vivoは他の中華UIと同様デフォルトアプリは多めである。いずれのアプリも使いやすく、機能が多いため気に入っている。また、Origin OS自体にも様々な機能が備わっている。
プリインストールアプリの機能にせよOrigin OSの機能にせよ、中国での使用が前提となっている機能が多いため、日本人はそれら機能をフルに使えるわけでは無いが、筆者としては日本で使える機能だけでも十分だと考えている。

そもそも中国版vivo端末は日本での使用が想定されておらず、日本人が使用した場合不具合が発生することは当然のことであり、不具合が生じることについてvivoに責任は無い。従って日本人が中国版vivo端末の購入を検討している場合は不具合があっても自己責任であり、Origin OSの不具合に対してどのように付き合っていくか考えておく必要があるだろう。

[ハードウェアデザインについて]


商品画像を見た時、別に悪いデザインだとは思わなかったが、Twitter上での評価は微妙だった。実際に購入してみると、デザインの善し悪しはともかく高級感があり、気に入っている。特にセラミック背面は手触りもよく、今まで使用したスマートフォンの中で1番気に入っている。vivo X90 Pro+はレザー背面のみのラインナップとなってしまったため、とても悲しい。

[その他]


Qualcomm 3D Sonic Maxがとても快適だ。指紋の登録は一瞬で、精度も速度も完璧であり、大袈裟かもしれないがもう3D Sonic Max非搭載のAndroidスマートフォンは使えないかもしれない。

[まとめ]


予想と異なった点についてまとめる。
・日常使用において、バッテリー持ちは悪くない。
・Origin OSは機能が豊富でデザインも好ましいが、日本人が使用する場合様々な不具合に直面するため、中国版vivo X80 Proはサブ端末として使用することをオススメする。
・セラミック背面は素晴らしい。
・Qualcomm 3D Sonic Maxは素晴らしい。

最後に

色々と語ったが、vivo X80 Proはこれまで使用したAndroidスマートフォンの中で最も満足度の高い機種である。周知の事実であるためあまり深く追求しなかったが、改めてvivoのフラッグシップスマートフォンのカメラ性能は圧倒的であり、カメラのためだけに買う価値があると感じた。日本での使用が想定されていないOrigin OSはともかく、カメラ以外もフラッグシップスマートフォンとして相応しい完成度である。
先日購入し、現在到着を待っているvivo X90 Pro+には、更に進化したカメラ性能を期待する。

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