梅雨の山のコンサート
梅雨の季節。
緑の山は雨に濡れ、その色と匂いをさらに深いものにする。
何億枚もの葉、何万本もの枝、何千本もの幹。
同じに見える樹々も、大きさ、厚さ、表面の感触で全て異なる。
その全てのドラムの上に水滴は落ち、十人十色の音色を奏でる。
鳥のさえずりは主旋律を奏でる弦楽器。
そしてそこに響きわたる僕の足音。
これはいわば、山をハッとさせる緊張を生む、金管楽器に違いない。
梅雨の山。
そこは自然と動物と人間、みんなが演者の大コンサート。
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