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実に奇妙な映画、『哀れなるものたち』

ヨルゴス・ランティモスの映画は、『女王陛下のお気に入り』しか
観たことがない。

ちょっと変わった監督らしい、という認識はあったが、
『ロブスター』『聖なる鹿殺し』は観たいリストに追加したまま、
未だ手を付けられていない。
そして『哀れなるものたち』を今回鑑賞して、ちょっとどころではなく、
かなりぶっ飛んだ監督なんだな(褒めている)という印象を持った。

映画序盤は、モノクロで、時より観客は望遠鏡のようなもので覗きこんで部屋を見ているような構図のシーンも多くあった。

エマ・ストーン演じるベラが、マーク・ラファロ演じる、
ダンカンと旅をするシーンから、カラーに切り替わった。
おそらくこれは、ベラが初めて目にした外の世界が新鮮かつ
ここからベラの人生が始まるからであろう。

正直、この映画をどう評価すべきなのか難しい。
クレイジーな描き方をしている、男の所有からの女の解放映画である。

映画終盤で、婚約者のマックスは、かつて身体を売っていたベラに対して「君の身体なんだから、君の自由にして」と言った。
とても頭に残った。

ウィリアム・デフォー演じるゴッドも愛情深く育てているようで、
結局は、ダンカンや元夫アルフレッド将軍と同じようにベラを所有していたのだ。

本作は、エマ・ストーンの演技が光っている。
決して万人受けではない映画だと思う。
不思議な世界観、奇妙な音楽、夢の中のような映像、
独創的な画家の世界に迷い込んだような絵画を
鑑賞しているような感覚に陥る映画だが、一見の価値はあるだろう。



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