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絵本「ことばとふたり」

ことばが
あっても、
なくても、
いい。

これは、
ことばを しらない 生きものと
ことばを しっている 生きもの
が出会うおはなしです。

ことばを知らない生きものは、楽しいことも嬉しいことも、そして悲しいこともぜんぶ感じていたけれど、それを表現する術を持っていませんでした。

だから、それらの感情が自分の中でいつも渦巻いていて、特に、悲しいことがあったときは、自分が張り裂けそうに苦しくなっていました。

ある日、ことばを知っている生きものが、その様子を見かけました。

ことばは なくても、
「かなしい ことが あるんだ・・・・・・」と
すぐに わかった。

「ことばとふたり」 岩波書店
ジョン・エガード 文
きたむら さとし 絵・訳

ことばを知っている生きものの、この相手を思いやる想像力がすばらしい。

ことばを知っている生きものは、自分で自分を抱きしめる動作をしながら
「ハグ、ハグ」
と言って、ことばを知らない生きものに一歩ずつ近づいて行きます。

はじめはなんのことかよくわからなかった、ことばを知らない生きものが、そのとき、
「ハグ」
とつぶやきました。

そして、ふたりは抱き合ったのです。

言葉の意味と、相手の体温と気持ち。
それが伝わったときはじめてわかることがあります。

だれかと わかりあえるって
なんて すてきなんだろう!

「ことばとふたり」

ことばは
あっても、
なくても、
いいのです。

人間は、いや、動物は、体の動きや表情や声で、
ちゃんと意思疎通ができるのです。

一番大切なのは、その奧にある思いや情熱です。

その思いや情熱を誰かと分かち合えたとき、
生きていて良かったなぁと思えるのです。

ことばは、とても便利です。
でも、便利だからこそ、つい軽々しく使ってしまいがちです。

まず、自分の中の思いや情熱を確かめてから、大切に慎重に言葉を選びたいと思わせてくれたお話でした。

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