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建築BIM加速化事業とは?

ANDPAD ZERO の曽根勝です。
タイトルの建築BIM加速化事業とは、中小企業による建設におけるBIMの使用を促進することを目的とした、国土交通省の補助事業です。今回は、建築BIM加速化事業について、内容がいまいち理解できないというお言葉を、よくゼネコン顧客の方々から頂くので、自分の頭の整理も含めて、できるだけわかりやすくまとめてみようと思います。

前回のnoteでは、「現場でのBIM活用を考えてみる」という内容で、BIM活用の先行事例や、元現場監督の目線で考察しており、今回の記事と併せてお読みいただけると活用イメージが湧いてくると思いますので、是非お読みください。

また、建築BIM加速化事業では、ANDPADが提供している「ANDPAD施工管理」と「ANDPAD図面BIM」が補助対象となるソフトウェア等に認められており、本補助事業を活用してANDPADを利用していただくことが可能となっております。
本補助事業でANDPADを活用を検討されている事業者の方々は、以下のフォームからお気軽にお問合せください。詳細について個別にご案内させていただきます。

建築BIM加速化事業はこんな方におすすめ

今回紹介する建築BIM加速化事業は以下のような方におすすめの事業です。
・地方ゼネコンで既にBIMを一部導入されて、本格展開を考えられている方
・地方ゼネコンで、これを機にBIMを導入しようと考えている方
・協力業者へのBIM展開を検討されているゼネコン様

これまでにBIM導入よるメリットは把握しているが、導入を検討すると導入コスト、教育コストが導入にあたって大きな壁となっていた企業様にとって、今回の建築BIM加速化事業はではソフトウェア費用や環境構築費用、講習費用などが補助対象になるため、独自でBIM導入を進めるよりも大きなコストメリットがあります。
注意点としては、BIMモデルの作成に関する費用は助成対象外となるため、BIMモデル作成費用は、負担しないといけません。しかしながら、トータルコストを考えると、非常に魅力的な補助制度となっております。
本記事では、補助制度の内容や注意点をまとめてみますので、是非、最後まで読んでいただければと思います。

建築BIM加速化事業とは?

建築BIM加速化事業とは、中小企業による建設におけるBIMの使用を促進することを目的とした、国土交通省の補助事業です。
本補助事業では、BIM の社会実装を加速するために80億円の予算が割り当てられています。また、最大で9000万円が補助されることから、建築BIMの推進のきっかけとなる補助事業となっています。

これまでのBIM関連補助金が数億円だったことを考えると、今回の1桁以上違う補助金規模から、国土交通省のBIMへの本気度を窺い知ることができます。
私たちとしても、この機運を拡大すべく、できるだけ応援していきたいところです。

本補助事業への応募にあたっては、gBizIDの取得、他事業者との連携、BIM活用対象建物の選定など、いくつかの重要なポイントがあります。
BIM活用を始めたばかりの方々や、本補助事業をきっかけにBIM導入を検討されている方々の中には、どのように進めれば良いかわからない…というお悩みを抱えている方も多いと思いますので、重要なポイントを申請フローに沿って説明できればと思います。

建築BIM加速化事業の利用にあたってのポイント

補助事業のフロー(令和4-5年度建築BIM加速化事業補助⾦交付申請等マニュアルより)

建築BIM加速化事業の応募から、助成金受領までの流れのポイントをご説明させていただきます。

事業者登録におけるポイント

事業者登録の段階で留意しておきたいポイントは、3つあります。
■jGrantsの利用に伴うgBizIDの取得
■協力事業者への声掛け
■対象建築物選定
それぞれのポイントについて、以下で説明していきます。

■jGrantsの利用に伴うgBizIDの取得
jGrantsはデジタル庁が運営する、国や自治体の補助金の電子申請システムです。Granこの電子申請システム利用にあたっては、事前にgBizIDを取得しておく必要があります。gBizIDを取得していないと、本補助事業への申請や交付手続きができないので早期の取得をおすすめいたします。

■協力事業者への声掛け
本補助事業は、中小事業者への建築BIMの浸透の加速を目的としているため、代表事業者となる元請事業者(ゼネコン・設計事務所等)だけでは、利用できません。協力事業者(専門工事業者・専門の設計事務所等)が活用することが前提となっているため、1社以上の協力事業者の参加が必要な点へ注意が必要です。

■対象建築物選定
本補助事業で対象とする建築物は、以下の条件を満たしていることが必要です。活用したい建築物が下記の要件を満たしていない場合、補助を受けることができないため、必ず確認をしておきましょう。
①敷地に接する道路の中心線以内の地区面積が1,000㎡以上であること
②延べ面積が1,000㎡以上であること
③地階を除く階数が3以上であること 
④耐火建築物等又は準耐火建築物等であること 
⑤建築物エネルギー消費性能基準に適合すること
⑥公共的通路等を整備すること 
⑦原則として土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第9条第1項に規定する土砂災害特別警戒区域外に存すること

なお、【⑥公共的通路等を整備すること】に関して判断に迷う場合には、個別で実施支援室へ判断を求めるようアナウンスされています。判断に迷われている場合は実施支援室に対して必ず連絡を行うようにしましょう。

交付申請におけるポイント

続いて、交付申請においてのポイントは5つあります。
■交付申請書類の記入
■補助対象業務の確認
■ソフトウェア、CDE環境の契約の確認
■他補助金の利用の有無
■作成するBIMの利用方法

それぞれのポイントについて、以下で説明していきます。

■交付申請書類への記入
サンプルとなる記入例が実施支援室のHPに掲載されておりますのでそちらを参考にして作成しましょう。
わからないことは、実施支援室に問い合わせをするか、HPの【よくあるご質問】で該当する質問がないか確認してみることをおすすめします。
なお、3月28日に書式変更がされているので、3月28日以前にダウンロードされた事業者は、再度ダウンロードして更新後の様式で申請する必要があるので注意しましょう。

■補助対象業務の確認
補助対象業務のうち、BIMコーディネーター・BIMマネージャー・BIMモデラーの具体の役割について疑問を持たれる方が多いのではと思います。BIMコーディネーター、BIMマネージャー、BIMモデラーの定義は一般的にも定まっておらず、本補助事業においても 募集要領等に定性的に記載することしかできません。

建築BIM加速化事業 体制イメージ【施工】(令和4-5年度建築BIM加速化事業補助⾦交付申請等マニュアルより)

本補助事業の体制イメージの図における赤枠の方々は、募集要領でそれぞれ以下の役割を担うと例示されています。
・BIMマネージャー
各事業者が作成したBIMモデルの管理など、BIMの全体の運営を⾏う者
・BIMコーディネーター
BIMの利⽤に当たって、BIMソフトウェアの選定、CDEの選定、建築BI Mに関する講習の実施など、プロジェクト全体の環境の整備や⽀援を⾏う者
・BIMモデラー
建築BIMモデルの作成・編集を⾏う者であって、施⼯BIMにおいてBIMマ ネジャーの作業を⽀援する者

ここでポイントなのが、各人物の役割は記されているが業務内容については明示されていない点と、BIMモデラーの業務範囲はBIMマネージャーの指示での、モデル統合や調整業務と本補助事業では定義されている点です。
1点目については、BIMコーディネーターとBIMマネージャーは会社によって役割と業務が異なるため、明確に定義することが難しく、補助対象業務の判断は実施支援室へ質問をすることをおすすめします。
2点目については、各事業者が作成すべきモデル作成費用は補助対象外となることです。本補助事業でBIMモデルを作成するためにスキル取得や環境整備は実施可能ですが、モデル作成は各事業者が作成することになる点は、必ず押さえておきましょう。

令和5年度3月29日 建築BIM加速化事業の登録期限延長等に関する説明会資料より

■ソフトウェア、CDE環境の確認
補助対象のソフトウェア等は、実施支援室HPにリスト掲載されているソフトウェアとなりますので、まずは使用するソフトウェアが対象となっているか確認してください。
補助対象となることが確認できたら、次に補助対象として計上できる経費の確認をしてください。特に、3年契約のサブスクリプション型のソフトウェアを契約したが、補助対象が1年分だった…といった思わぬ経費が発生する可能性もあるため必ず確認しましょう。

全額補助対象とするためのソフトウェアの契約・支払いについては2つの要件を満たす必要がありますので、必ず確認をしてください。
(1)概ねプロジェクトに関する業務の終了までの間に利用契約であること
(2)該当利用契約に基づき、完了実績報告までの間に支払いを追えていること

また、ソフトウェア、周辺機器、CDE環境を複数のプロジェクトで使用している場合は、補助対象と補助対象外で利用料を案分して補助対象経費として算定する必要があります。
3月末に実施された、建築BIM加速化事業の登録期限延長等に関する説明会において
「助成金ソフトウェアのサブスクリプション契約で、期間が1年以内の場合には、その期間中にプロジェクトに関する業務が終了したとしても、利用料金は全額補助対象となります。」という点が説明されました。活用したいソフトウェアの最短契約期間が1年であるといった場合は、プロジェクト終了後であっても契約期間すべてが補助対象となると考えられます。こうした場合が想定される際には、事前に実施支援室に確認することをおすすめします。

■他補助金の利用の有無
原則として、本事業と補助対象が重複する国の他の補助制度との併用ができないという要件があり、補助の併用の可否の確認の手続きが必要です。建築主(発注者)が受領する国庫補助を受けている場合も併用となるため、施工者としては補助制度利用をしていない場合でも該当するので、確認を行いましょう。

実施支援室より併用可能な補助制度としてあげられている制度は下記になりますが、補助金目的が補助対象と異なるなど説明可能であれば、複数の国庫補助金を充てられる場合があるので、実施支援室に確認をすることをおすすめします。
・公営住宅等整備費補助(発注者がBIMの使用を指定していない場合)
・公立学校施設整備費負担金(発注者がBIMの使用を指定していない場合)
・サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型、木造先導型等)
・防災・省エネまちづくり緊急促進事業(BIMを選択項目としていない場合)
・マルチベネフィット達成推進事業

■作成するBIMモデルの利用方法
作成するBIMモデルの利用方法はなるべく具体化されていることが望ましいです。
「補助事業を用いてBIMモデルを作成する案件数を増やしたい」など、BIMモデルの利用イメージが漠然としている場合は、具体のイメージの参考となる過去記事もぜひ併せてご覧ください。

また、日本建設業連合会の建築生産委員会BIM部会 施工BIM専門部会モデル活用WGで作成された「施工BIMの活用ガイド ~日常業務で使えるBIM手引き~」も、BIM活用の具体のイメージの参考になるかと思います。

おわりに

今回は建築BIM加速化事業におけるポイントをまとめて見ました。

本補助事業をうまく活用することで、BIM導入時にかかるコストを下げることが可能です。
ANDPADも補助事業対象ソフトウェアして、CDE環境とビューワーの提供が可能ですので本補助事業を活用される際は、ご検討宜しくお願い致します。その際は、補助金周りの疑問にも分かる範囲でサポートさせていただきます!

自社だけでなく、協力事業者のBIM導入・教育を同時に進めることで、より効率的にBIM活用の体制を整えることが可能です。また、本補助事業により、自社の関係業者のBIMユーザーが増えることで、本補助事業対象案件以外においても、BIM活用が継続できる体制を作り出すことができます。これから、BIM運用の基盤を固めたい企業にとっては、非常にありがたい補助事業だと言えます。

本記事では、重要だと思われるポイントをとりあげましたが、より詳細な情報は建築BIM加速化事業事業実施支援室のHPに資料や交付申請書類等が掲載されておりますので、ぜひそちらでも確認してみてください。

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