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帰省できないこと、得体の知れない不吉な塊とか

2020年6月24日

北京で仕事をしている人から、コロナウィルスの第二波のために、ふたたび在宅勤務になった、と連絡が来た。はじめに自宅待機になった時は、春節の長い休みに入ったまま外出禁止となった、ということを教えてもらえるようになるまで、1ヶ月近くかかった。仕事が滞ってしまい、申し訳ございません、と謝罪を込めたメールが届いた。
二度目の在宅勤務はすでに準備もできているし、それほど業務が滞ることもなさそうだった。それでも契約書のやり取りには時間がかかってしまうだろう。どうしようもないことに、私と彼は互いに謝罪を繰り返していた。

晩ご飯の際に妻が、アメリカ人って謝らないし、自己肯定感の強さがすごい、とよく言う。世界中に蔓延したコロナウィルスの対応一つとっても、アメリカ人は、自国を褒め称え、他者に対して非難ばかりする、あれだけ堂々としているとかえって清々しいが、ああはなりたくない。幸せだろうけど、と彼女は言う。
大学の4年間をアメリカで過ごしたのに、英語のほとんどを忘れてしまった彼女は、時に自身さえも留学をしていたことを忘れてしまっているように感じる。

お昼過ぎだ頃に、丸善日本橋店へ行き、芸術書の売り場で少し話をした。
次に八重洲ブックセンター本店へ行こうと思い、丸善日本橋店から歩いた。京橋駅に山形しあわせ銀行を見つける。こんなところにしあわせ銀行があるなんて、と小さな発見をうれしく思う。口座はずっと前に解約してしまっている。
八重洲ブックセンターに入ると、オリエンタルラジオの人がやっているyoutube大学の映像が流れていた。新しいメディアが生まれると、昔のメディアはコンテンツになる、と『インスタグラムと現代視覚文化論』のイベントの時にきりとりめでるさんが言っていたのを思い出した。

東京駅の東西自由通路をくぐって丸善丸の内本店へまで歩く。芸術書の棚に檸檬が置かれていることがあった。その光景を見つけた私は、興奮して書店さんに、檸檬が置かれてましたよ!と喜々として話したことがある。書店員さんは、よくあるんです、と顔を曇らせる。うれしいけど、正直迷惑、と。檸檬ですからね、本が汚れてしまうと思うんですよね。
たしかに檸檬爆弾が爆発して本が汚れたら激怒するな。感動している場合じゃなかった。

大手町まで歩いて、半蔵門線に乗る。
神保町で降りて石井スポーツとさかいやへよる。クイックドローの6本セットを買う。
今週末は登りに行く。

実家の母に電話をすると、今年の夏は帰省するな、と言われた。ウイルスを持ち込んだら村八分にされかねないらしい。いつになったら、山形へ帰れるんだろう。
飯豊山の山の上に毎日出ている青いそらに今年は会えないのかもしれない。
上野駅にでも訛りを求めて向かおうかな。

夜に宅急便が二つ届いた。一つはサクランボで、ひとつはお米だった。どちらも母からだった。夕食後に家族でサクランボを食べた。

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