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『パタゴニア』を読み終えたことと、完璧な日。

2020年6月16日

昨夜は気分が乗らなまいまま11km走る。走り出せば案外気持ちが良いもの。走って良かったなと思う。でもね、ゆっくり走ったわりに、ひどい疲れ。この頃は疲れが溜まりやすい。連続して走りに行けない日が続く。今日も今日とて、気持ちは昨夜と同じ。あまり乗り気にならない。まあいいや、とオーストラリアの長距離選手、ロン・クラークが言ったことを思い出し、ワラーチを履いて家を出る。
走り出さずに後悔したことがあっても、走り出して後悔したってことはない。ポッドキャストの100miles100times でそんなことを言っていた。はい、全くその通りだと思います。
走らない言い訳をなんとか部屋に置いてきて、玄関を開ける。走り出してみれば完璧な夜。風が強くて涼しい。程よい湿気が体を包み込む。空気そのものを感じる。蛙の声、葉の揺れる音。上京してからはこんな風に感じることが少なくなった。今日の空の出来事。やっぱり走って良かった。こんな夜は、東京の空もほんとうの空に感じる。

昼は在宅で仕事をした。妻の仕事は休みだった。彼女は、次男を家に残し、午前中に買い物へ出かけた。仕事をしている部屋で次男は遊ぶ。一人は寂しい、という。おもちゃを広げている。いいよ、いいよ、もちろん、いいよ。ここで遊びなよ。
オンラインミーティングが始まると、パソコンから出る声に反応する彼。彼はカメラに写ろうとする。画面の向こう、みんなが笑ってくれる。よい会社。はいはい、ゲームね、とスイッチを渡して落ち着かせる。
妻は昼くらいに帰ってきた。そのあとすぐに、小学校へ行っていた長男も帰宅する。昼ごはんを食べ。長男はゲームをする。妻と次男は散歩へ出かける。散歩の途中でハイチュウを買ってもらったらしく、家に帰ってから長男と二人で食べていた。

残り20ページくらいになっていた『パタゴニア』を読み終える。読み終えると、ふわぁっと、これは掠奪の歴史なのか、という思いが湧き立つ。冒険者たち、マルクス主義者たち、移民たち、原住民、ガウチョ、銀行強盗たち、軍事政権の支持者たち、その他もろもろ。多種多彩な侵略者たちの物語。守ろうとするものはたいてい奪われるのがパタゴニアの法則なんじゃないか、と。
アウトドアブランドのパタゴニアのプロジェクトに。パタゴニアの壮大な自然を保護しようとする、コンセルバシオンパタゴニアがある。それを知ったのはパタゴニアのつくったショートフィルムで、『マイル・フォー・マイル』というタイトル。彼らが略奪者の最終局面となって欲しいと思う。資本主義の果てに資本主義者たちが保護する。そして再び、資本主義がその地を荒らさないように。
私たちは土足で人の家に入り、へやを荒らして、人の家に土足で入るな、と注意する。愚かしい文明人なわけだが、それもまた、人間的と言えるのかもしれない。欲求を満たすことに従順であった我々は、核ミサイルまで生み出した。もはや世界滅亡の時計の針は元に戻しようがない。車を廃止する?インターネットを闇に葬る?お金から価値を奪う?いずれも無理な相談。少なくても、完璧な夜でさえ私の頭にはヘッドライトが点っている。暗闇を引き裂かずには夜に走ることもできない。

夕ご飯を食べて、テレビを見る。9時になったら、家族が散り散りになって眠りにつく。変わらない日々。

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