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【サステナブルな働き方#12】家族の近くで働く「職住近接」でキャリアアップを実現していく

コロナ前からリモートコミュニケーションや職住近接を続けてきた組織が、コロナ禍で取り組んだことは?各人のライフステージの変化や価値観に応じてワークスタイルを選択できるようにした背景や取り組んだ課題、その後を語ります。

平時から日常的だった、リモートコミュニケーション

&donutsは、株式会社イノベーター・ジャパンが郊外の生活圏で職住近接を実践するプロジェクトとしてスタートしました。東京オフィスのある表参道(東京都渋谷区)から1時間ほどの位置に拠点オフィスを構え、子育てなどを理由に都心への通勤が難しいメンバーが所属しています。業務の都合上、東京オフィスへ出社することもありましたが、多くても月数回程度でした。

また、柏の葉オフィスと湘南オフィスの拠点間の移動は2時間以上かかりますが、もともと行き来は想定しておらず、日常的にリモートコミュニケーションで業務を成立させてきました。またメディア運用チームの編成は所属オフィス単位ではなく、入社のタイミングや個々のスキル・適性などから最適なメンバーをアサインしています。

&donutsプロジェクトの立ち上げ前から、東京オフィスと福岡オフィス間のリモートコミュニケーションの実績があり、新しいツールなど組織に適したものがあれば新たに導入し、会社全体で各種ツールを活用しています。コミュニケーションにおける課題も、都度改善を図っています。

以前からほぼ全ての業務はリモートで行える体制がありながら、組織の熱量が組織内外のステークホルダーに伝わるよう、またセレンディピティやイノベーションが生まれる職場環境をつくるため、オフィス勤務を選択していました。また、代表の渡辺はオフィスを「企業の理念を最も色濃く伝えるオウンドメディア」と捉えデザインしていたことも、オフィス勤務をベースにしていた理由のひとつでした。

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各オフィスを常時オンラインでつなぎ(奥のテレビモニター)、
まるで同じ空間にいるかのように臨場感を高めています


そして2020年の冬に新型コロナによるパンデミックが起こり、ワークスペースをオフィスから自宅に変えましたが、移行はスムーズに行えました。その裏には、セキュリティ強化としてのVPN(Virtual Private Network)の割り当てや社印の電子署名化、郵便物をできる限りオンラインに変更するなど、必要な対応が多々ありました。その際、機敏にきめ細やかな対応をしてくれたのが、&donutsメンバーで構成されているバックオフィスチームでした。その貢献もあり、現在では全ての業務がリモートで行えます。

コロナ禍で直面した課題

職住近接を実現するプラットフォームとして、制度や働く環境、業務の進め方など、試行錯誤を繰り返しながらアップデートを繰り返してきました。しかし、コロナにより状況が刻々と変化する中で、新たな課題も生まれてきました。

課題(1):働き方
「ライフステージの変化があっても自分らしく働き続けたい」という思いで&donutsに入社したメンバーたち。業務の属人性を排してチームで業務を共有できるチームづくりをしたり、中抜けやスライド勤務などの制度を使ったり、労働時間を週や月で調整することで、柔軟に働ける環境を整備してきました。しかし、コロナ禍で感染への不安が広がる中、登園自粛や休校が要請され、アフター・コロナを見据えた働き方を考える必要がありました。

課題(2):採用面
生活圏での職住近接を実践するプロジェクトとして、拠点周辺の住民をターゲットに採用活動を行ってきました。しかし、クライアントの成長を継続的にサポートする組織として、専門性の高い職種のメンバーを増やしていきたいと考える中、拠点周辺の採用活動だけでは母集団が小さく、採用の難しさを感じていました。

課題解決へのアプローチ:ワークスタイルを選択制に

2020年4月の緊急事態宣言中はフルリモート勤務に切り替え、宣言解除後の働き方を考える時期が続きました。そして、代表の渡辺から全社員に以下のメッセージが発せられました。

ここ約4ヶ月間の基本リモートワークの期間で、業務の多くはオンラインでも十分に実行可能であることが分かりました。それは、みなさんにそれだけのスキルとコミュニケーションを補う想像力があり、これまで蓄積した相互の信頼貯金があることが前提になっています。

一方で、オフラインで行った方が効率的、もしくはオフラインでないとできないこともあるのも事実です。そのバランスは、プロジェクトの特性、個人の役割やその時々の立場によっても異なるはずです。

当社の基本方針は、オンラインやオフラインなど特定の「スタイル」を良しとするのではなく、そこから生み出される成果を最大化できる方法を臨機応変に取っていきます。

同年8月、当プロジェクトのミッションである「人の可能性を最大限に引き出しウェルビーイングな社会を実現する」をこれまで以上に体現していくため、ワークスタイル選択制度を開始しました。

郊外の拠点オフィス勤務をベースとして、担当業務に加えプロジェクト活動も積極的に取り組む「メンバーシップ」と、在宅勤務などリモートワークをベースとした、担当チーム業務にコミットする「ジョブ」のどちらかのワークスタイルを、メンバー各自の価値観に応じて選びます。毎年期初の4月に変更することも可能です。

課題(1)【働き方】その後:ワークスタイルを選べる満足感

&donutsも根源には「自分がどのような人生を歩みたいのか。どういう働き方をし、何を実現したいのか」という考え方があります。そのためライフステージの変化により労働時間を調整したり、異なる職種にキャリアチェンジしたりするメンバーがいます。

そこに、ワークスタイルの選択が加わりました。制度適用時は、約6割がリモートベースのジョブ型を選びました。

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オフィスのない地域に住むメンバーが増えているため、今年の7月時点でジョブ型メンバーの割合は約68%になっています。以下は、半期毎に実施しているメンバーアンケートからの引用です。

ワークスタイルの選択によって何か変化はありましたか?
(回答から抜粋)
・在宅で、送り迎えが楽になり、その分業務に集中できるようになった
・状況によって在宅が選べるという安心感が得られた
・オフィスありきで生活動線ができていたのでそこは変化があった
・子どもの朝の送迎に心の余裕が持てるようになった
・家族と向き合える時間が増えた

課題(2)【採用面】その後:プロフェッショナル人材の採用が加速

フルリモートワークが可能になったことで、採用エリアを日本各地に広げることができました。2020年度のエントリー数を見ると、ワークスタイル選択制度を導入した8月以降は月平均、約3.2倍に伸びています。エリアが広がったことでWebディレクターの採用も進み、今期からディレクションチームが立ち上がりました。

ここで、海外からWebディレクターとして入社したメンバーを紹介させていただきます。

──── &donutsで働き始めた理由は?

10年間勤めた会社を離れて、フリーランスでの仕事をしていましたが、守りに入りがちなフリーランス業務では新しいことに挑戦するのは難しく、またチームの一員として仕事をしたいと思いました。働く場所や時間の長さをハードルとせず、みんなで成長していく会社を軸として求職活動をしていました。

海外に住んでいるので、応募、会社説明会、面接、入社オリエンテーション、日々の業務のすべてがフルリモートでできる&donutsは、私の望む働き方にピッタリでした。

────  担当しているお仕事内容を教えてください。

Webディレクターとして入社しました。
以前は、サイトをほぼ一人で制作していましたが、今はサイト制作や改修の提案、担当者配備やスケジュール調整、見積書作成、クライアントとの折衝など、制作の域を超えた業務を担当しています。

仲間と協業することにより、たくさんの人と一緒にサイトを作っていくのは、一人で取り組むよりもより良いものができますし、チームの一員であることを実感しています。

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────  この先したいことや、将来のビジョンを教えてください。

新しいことに安心して取り組める、そんな&donutsの土壌をさらに豊かにしていきたいです。そして、子どもが私の背中を見て、「仕事をするって楽しいことなんだ」と将来を楽しみに思えるように、充実した仕事の時間や家族との時間を過ごしていきたいです。

また、出産や子育てで離れてしまった長年の趣味も、いつかまた再開したいです。

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当社にとって心強い戦力となると同時に、彼女も&donutsのメンバーとなったことでキャリアが広がり、充実度が増したと言います。もともと新たなことにチャレンジする好奇心をお持ちでいらっしゃいますが、仲間と共にさらにキャリアアップしていく未来に期待しています。

職住近接で描く、働く未来

リモートワークが長期化する中、理念の浸透や効率的な情報共有、心理的安全性を高めて個々のパフォーマンスを最大化していく、など次なる課題も見えています。

今期の&donutsプロジェクトの目標は「生産性の向上」。フローの見直しや手作業の自動化など、少ないリソースで大きな成果を出す「効率的」な取り組みに加え、中長期的に最適な方法でビジネスの価値を高めていけるような「効果的」なチームづくりに取り組んでいます。

職住近接だからできるオフィスの活用についても、各拠点(柏の葉・湘南)で話し合いが進んでいます。コロナ禍の影響により都心集中から地方分散の流れが進んだことで、地域社会との交流やIT人材育成、DXの推進を実現していくハブとなれるよう、現在構想を進めています。

不確実性の高い時代だからこそ、課題の本質を捉えて解決を図り、持続可能な組織を目指しています。自分らしくキャリアをつなぎ、メンバーのWillやキャリアアップを実現しながらサステナブルに働けるプラットフォームとして進化を続けていきたい。

そして、イキイキと働き、ウェルビーイングに生きる人が増えていくよう、さまざまなステークホルダーとの関わりの輪を広げていきたいと私たちは考えています。


#日経COMEMO #コロナ禍で変えた働き方