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これを飲まずして死ねない

日本ワインの極北 平川ワイナリー

デュジャック、ルフレーヴ、シャトーマルゴー、シュヴァルブランなど名だたるワイナリーで働き、ル・ジャルダン・デ・センス、ランスブール、ル・シャルルマーニュ、ミシェル・ブラストーヤジャポンなどトップレストランでソムリエとして修業した平川敦雄氏率いる平川ワイナリー

新商品ELOGE

12月に発売されたブルゴーニュスタイル(平川ワイナリーでは産地を未来に継承する為に品種を謳わない)のエロージュが素晴らしく良かった

パカレやプリューレロック、アルヌーラショー、タカヒコなどに共通する梅、出汁、松茸香が抜栓からムンムンと立ち上がる

アロマの含有量が多い為、グラスは大振りのグラスが◎
最近ブルゴーニュでもアルコール度が高くなってきており、大きいグラスで飲むとアルコールが立って駄目になるものが増えてきた

このグラス考が面白くて、歴史的にも酒の度数が上がるほどグラスは小さくなる(ウイスキー、ウォッカ、テキーラ、ジンは小さなグラスで飲みますよね?)これはアルコール度が高くなると香りから揮発するアルコール成分がキツく感じる為

日本酒も時代の進化でアルコールが高まるにつれ酒器は小ぶりに変わっていった

今はまた度数が下がり始めている為、大きいグラスで飲むことでより美味しく飲める時代になっているが(天酒堂オススメ、これはまた別の記事にて)

閑話休題

大振りのワイングラスと相性の良い平川ワイナリーエロージュのアルコールは12.5%

伝統的産地がハイアルコール化する中、この12〜13%のワインは今後ますます希少になっていく

温暖化が進むと葡萄が早熟し糖度だけ上がり生理学的には未熟でハイアルコールだが風味が未発達のワイン、が増える事が予想される為、風味も成熟した12.5%のワインというのは世界的に見てもマイノリティになる未来がもう見えている

このエロージュは1350本生産し、現段階で約3分の1程の残数のみ、価格は5,500円税抜

昔は2千円台で買えたブルゴーニュルージュ、ブランが5千円台になりそれを飲むなら他にも選択肢はある、と言うことを伝えたい

自分の誕生日はナニワヤの良い肉とエロージュ


年々高騰し、割り当ての減る海外の酒を飲むなら、誰もまだ発掘していない日本の造り手を世界に広げて行きたい

石中の火、木中の花、というが、可能性を感じて引き出し、広げられる人間でありたい

伝えたかった事は平川ワイナリーのエロージュは見かけたら飲むべし


エロージュ詳細

Eloge Grande Cuvée 2021年 1350本(優良年のみ)(赤ライト〜ミディアムボディ、樽熟成、平川ファーム産100%)

【読み方】:エロージュ グランド・キュベ
【名前の由来】:フランス語で「称賛」を意味します。
【品種】:非公開
酒質としてはエレガントなブルゴーニュ産の赤ワインに似たタイプです。【収穫日】:1品種、1区画由来のシングルヴィンヤード産。2021年10月15日から10月16日収穫。

【地勢】:山由来の南〜西風をダイレクトに受ける平川ファーム斜面の南斜面。海からの北風の影響を受けにくく、霧や塩害を受けることがない。海から2.5km。標高30〜40メートルで光合成環境に適する。表土には非アロフェン質黒ボク土(炭素分が豊富)が50〜60cm、その下に母材として凝灰質砂岩がある。土壌は通気性、排水性に優れる。化学肥料、および化学除草剤の使用なし、微生物性を重視した草生栽培を実施。

【製造方法】:ブドウ房の選別(健全果)をブドウ畑で実施。醸造所では、梗が熟している1番果と優良な2番果のみを全房(全体の50%)にて、梗の熟度が低い2番果を除梗破砕(全体の50%)してタンク入れを行い、12℃でのコールドマセラシオン5日、ポストマセラシオン10日を含む、35日間のマセラシオンをSO2なしで仕込みました。できる限り粒内発酵の期間を長く保ったことで得られる風味の創出と、また梗からの優良なタンニンを引き出すことに注力しています。プレス後、フリーランとプレスワインを合わせて中央フランス アリエ産の樽で熟成(新樽率25%)、熟成期間中1回の澱引き、瓶詰め直前に2回目の澱引きを実施し、合計12ヶ月の熟成を経て生まれました。清澄処理なし、フィルター処理なしにて瓶詰しています。また樽の熟成期間と瓶詰時にのみ、SO2を使用しています。少量の澱が確認できる場合がありますが、品質には影響はございません。

【味わいの特徴】:淡いルビーレッド、熟したブラックチェリー、ラズベリー、野苺のような果実に、すみれ、野薔薇、白胡椒、なめし革、甘草、チョコレート、広葉樹林の落ち葉、きのこ、出し汁のニュアンスが混じる。香高く、華やかなアロマ。アタックには赤みの果実味、上品で細かいタンニンが感じられ、程よい厚み、優しく包みこむボディと同時に、フレッシュ感、渋みの骨格を有します。フィニッシュはしっかりとしていて収斂味が余韻としてあります。戻り香の果実の印象は華やかで、チャーミングです。

【素材との相性】:鴨、子羊、鹿のロースト(木苺などや赤みのベリーを使ったソース、胡椒や香草を使った味付け)、ローストビーフ、煮込み料理(ブフ・ブルギニョン、ウフ・アン・ムーレット、コック・オ・ヴァン、牛の頬肉、鶏肉のシチュー、トマト煮)、鮪の刺身、カルパッチョ、漬け、鰻、山椒焼き、お肉や魚介を梅で風味づけたお料理、ハーブ焼き、焼き鳥(レバー、はつ、皮等)

【風味との相性】:赤みのベリーや赤ワインなどの酸味があるソースと相乗します。

【サービス】:温度:16度から18度/グラス:ブルゴーニュ系のグラス(大きめのグラス)をお勧めします。

【備考】1)エロージュの色調について
このワインの色付きは現時点で浅い印象ですが、瓶内で熟成すると色調のトーンが濃くなってきます。また、粒内発酵をできる限り持たせているため、除梗破砕するワインに比べてやや濁度が高いです。また、通常赤ワインの色は、熟成と同時に色が薄くなることがほとんどですが、このタイプのワインは、色調が濃くなって行くことが多く、このワインについてもその様なスタイルで作っています。

2)「称賛」というワイン名について
平川は22歳で渡仏。ブルゴーニュのドメーヌ・ドュジャック、アルザスのドメーヌ・ズィント・ウンブレヒト、ポムロールのシャトー・ラフルールで働いたのちに、ラングドックのマス・ドゥ・ドウマス・ガサックに就職希望の手紙を書きました。その時、ドウマス・ガサックのエメ・ギベール氏から届いた手紙に以下の様に記されていました。

Monsieur Jacques Seysses fait l'eloge de votre connaissance sur le vin.(和訳:ジャック・セイス氏が貴方のワインの知識を称賛していましたよ。)

平川は、その後3年間、ドウマス・ガサックの畑で従事、そしてエメ・ギベール氏の後押しもあって、グランゼコールである難関のアグロモンペリエに進学、厳しい学業を経てDNO、技術士免状を取得するに至るのですが、この言葉の意味や師匠との信頼の心に励まされてきました。その言葉を象ったワインです。

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