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15. チョコ好きガールがハマるPARM!

日常の句読点としてホッとしたい時。あるいは、気持ちの閉塞感を感じたらなにをするか。緑を見にいくか、お風呂に湯をためて、ざぶーっんと浸かって禊ぎを堪能させてやり、(読める時には)本のページをめくるのだが。そんなことをする時間もとれない時にお世話になっているのが、1本のアイスチョコバー「森永乳業のパルム」となる

気づいたら冷蔵庫をあけて手にとってしまう。1日1本までと決めているので、いつ食べるか。これは真剣だ。

アイス大好きと自他ともに認めるが、アイスならなんでも、というタイプではない。最近のお気に入りは高知「久保田」のアイスで、素材の味が生きていておいしい。「ピエールエルメ」のバラの香りを閉じ込めたイスパパンのパフェ。ぎをん「小森」の抹茶アイス、京都・高台寺「無碍山房サロン・ド・ムゲ」の季節のパフェなどには眼がない。ハーゲンダッツなら、ラムレーズンとストロベリー、バニラ。

チョコレートは、リンツのオレンジ・エキストラシン、イタリアのベンチ……これ以上、書いたら嫌われそうなので止めにするが。チョコレートの消費量もそれなりで、アイス&チョコに対し、ポリシーをもって愛している。と思っている。


パルムはおいしい。わたしの機嫌がよい時、打ち砕かれている時も、パルムはやさしい。いつも同じ顔、同じ品質、5分間のアイスリゾートを、プレゼントしてくれるのだ。


口をつけた時のなめらかさとクリームの追求にはじまり、舌にひんやり冷たい。おしよせるチョコレートの味は甘すぎない大人の本格派ビター。この感覚が食べ終わるまで続く。ふわっと余韻は5秒だ。このひとときをとても豊かな気分にしてくれるアイスバーだ。
チョコレート&チョコレート厳選カカオ仕立て、チョコレート、アーモンド&チョコレート、の順でスキ。

スーパーでお馴染みの箱アイスに比べてほんの50円ほど高いだけで、十分に幸せ。高級パフェにもひけをとらない気持ちを連れて来る、とわたしはニンマリして今日もチョコバーを囓り、ご機嫌である。

一昨年のこと、森永製菓の商品開発担当の方と広報担当者にお話しを伺ったことがあった。

1961年発売のロングセラー商品「エンゼルパイ」の販売が伸び悩み、どうしたら、若者層に販売を伸ばすことができるかという課題をもっておられ、しごく真剣に販促ツールや広告ピーアルの戦略を探っておられた。

もっといえば、「半生ケーキ」のカテゴリーとしてロッテのチョコパイやカスタードケーキ、ブルボンのバールロールに追いつけず、ロングセラー商品としての認知はありながら位置づけは、8位。下から数えたほうが早かった。

ちなみに、このエンゼルパイも良くできている菓子だと思う。ふかふかのクリームマシュマロと、森永ビスケットのしっとりやわらかな旨味とチョコレートの奏でる三位一体の味。「オレンジピールの入った濃厚な味がたまらなく好き」というヘビーユーザもいるそうだが、しかし競合他社に勝ててないのだ。「全国有名スーパーでは取り扱いが少なく、売上に結びつかない。またロングセラーのよさが、やぼったさに捉えられ、若年世代はやっばりチョコパイよ!とお洒落なほうへ流れている」と訊いていた。スーパーの棚に置く数も限りがあるため、小売で仕入れても返品されてしまったり、営業マンから発注を断られたりという哀しいエピソードまであったそうだ。

いま、全国のコンビニやスーパーに「パルム」を置いていないところはほぼないだろう。「一般大衆に支持されるメジャー商品がつくりたい!」「撥ねるコピーが欲しい」「ロングセラーだけに頼りたくない」 そう熱く語っていた森永の開発担当者らは、ようやく報われる品ができたと胸を張っていらっしゃるだろうなーーと思いを馳せながら、少し短い木の棒をつかみ、はむっとパルムのチョコをまたひとつ口に入れた。

と。ひらめいた!
パルムのおいしさはエンゼルパイの基本ベースが生きているのか。そういえば、甘すぎず、なめらかなチョコレート感やふんわりマシュマロのクリーミィーさは、同じ企業がつくるものだけあって、バランス感覚が似ている。あの、絶対にチョコパイに負けたくない! という執念があったからこそ、パルム誕生(2015年)につながったのではないかと思った。

ホームページをぐぐってみると、製造工場の開発担当者らはアイスクリームの食感を左右する工場の整備改良に余念がなく、何度も何度もテストを繰り返し、チョコだけでもビター、ホワイト、ミルクと50~60種を試食。カカオマスやバターの配合のバランスを微妙なところまで調整して、コクを引き出す濃い乳脂肪分(8%)に加えてマスカルポーネなども加えているらしい。

パルムのチョコレートは、口溶けの温度をコントロールしているから(す、すごいな)
口に入れるとアイスとチョコレートが同時に溶け合い、どちらかが置いていかれることなく着地する(食べ終わる)、チョコが途中ではがれることは許さない。チョコレートとアイスが抱き合ったままで食べ終わるように工夫されているのだ。

考えてみればパルムのおいしさは、まず、チョコの品質だ。チョコとアイスのドッキングが、食べ終わるまでずーっと続くこと。ほどよく与えすぎないこと。つまり5分間の至福にあるのだ。メーンターゲットは40〜50代の違いがわかる大人の女性らしい。欲を言えば食べ終わったあと、もう少しすっきりだと嬉しいけれど。
そうなれば、あと100円は値上げされ、毎日は食べられないか……!(笑)


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