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カレー沼へようこそ

スパイスからカレーを作るのはとても楽しい。気付いたらカレー屋になってしまった。
これはわたしだけの事象ではない。たくさんの人がカレー沼にハマり、抜け出せなくなり、中にはこれまでの日常の一切を放り投げ、生業にまでしている。一体なぜなのだろうか。わたしの考える楽しさを書いてみたい。


カレーが食べたいと思った時、すでに沼の淵にいる

「ライブをみてからカレーにハマって、もうカレー沼から抜けられません」というお声を数多くいただく。
自粛期間中、おうちで過ごす時間をちょっとでも楽しくするために、わたしができることってなんだろうと考え、微力ながら週に一度のインスタライブ をやることにした。前日までにカレーのレシピを公開、ライブ当日は作る様子を放送した。あらかじめレシピを公開しているので、一緒に作ってくださる方がいたり、後日SNSにつくったよ!とレポをアップしてくださる方もいてありがたい限りだ。※ライブの数々はIGTVに保存してあるので、現在でも視聴可能。もしよかったらご覧ください。

カレーという沼にずぶずぶと入ってしまったら最後、もうみなさんはスパイスフルな生活を約束されている。なんたってスパイスさえ揃えられれば、ライブをみていただいた通りとっても簡単にできあがるのだよ。工程も定型があり、アレンジを加えれば無限の広がり。抜けられない所以はカレーのあらゆるところに散りばめられているのであーる。

とにかく、カレー沼はいつもあなたを歓迎しているし、ああ、カレーが食べたいなと思った時もうすでにあなたは沼の淵にいるのだ。思わずハマっちゃう要因を3つご紹介しよう。

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①無心で刻む時間

わたしの紹介するカレーのレシピにはほぼ玉ねぎが入る。それからにんにく、生姜も鉄板アイテムだ。さらに野菜も入れるので、なにかと包丁で刻む時間がカレー作りの多くを占める。逆にいうと刻めたら半分くらいはできたも同然だ。

玉ねぎの皮を剥き、瑞々しい切り口をたんたんたん、と、リズムに乗って切る。この時だけは無心になる。嫌なことも楽しかったことも、頭を占めている普段の様々をOFFにしてただただ刻むのだ。・・・切り終わった時、結構スッキリする。わたしは仕込みで15個〜20個くらいの玉ねぎを切る。もう最高にスッキリ。無になっているつもりでも、もやもやと悩みが湧き出ることもある。そのときは不思議と悟りを開いたかのような答えが浮かんだりして、これもまたよい。

スマホがぴこぴこと鳴って、メッセージが届いたとか、次の予定とか、アプリの更新とかをお知らせしてくれるし、食事中もSNSを逐一チェックしたりしちゃう。いろんなことが同時並行で進んでいく現代、わたしたちは無心になれる機会がない。

どうか玉ねぎを刻んでいる時だけは、玉ねぎとだけ向き合って、何もかもを忘れて刻むことに集中してほしい。刻み終わったら、新しい自分と出会えるかも、ね。

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②フォーマットの中にある自由

カレーを作る工程はある程度フォーマット化されている。スタータースパイスのテンパリングから、玉ねぎを炒め、にんにく、生姜、青唐辛子を加え・・・詳細はわたしの著書に譲るが(手前味噌ながらとってもわかりやすく書いてるからおすすめです)、どんなカレーもほぼ同じ道のりなのだ。

同じルートを辿って毎回山頂を目指すのもいいけれど、たまには冒険したくなってしまうのが人間の性。寄り道をしたり、もしくはむちゃくちゃ急な崖を登ってリスクを冒してみたり・・・人の数だけ道はある的な発想で、自分の理想のカレーを追求することができるのだ。

例えばIGTVで公開している、レモンチキンカレーというメニューがあるが、こちらは変幻自在にアレンジが可能。

ベーシックにレシピ通り作るバージョン、ココナツミルクをたして南国風バージョン、ナンプラーで味付けしてパクチーわさっと乗っけて東南アジアバージョン・・・てな塩梅で、スパイス構成を変えずともこんなにアレンジができてしまうのでありますよ。

ゼロイチを生むのはわたしをはじめ料理偏差値の低い人にはハードルが高い・・・が、フォーマットがあることで逆にいろんなアレンジを発見しやすい、自由度を見出しやすい。カレー沼は広くて深いけれど、ちゃんと灯台があり、行く先をしっかりと照らしてくれる。そういう泳ぎやすさがあるんだよなー。

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③変化していく香り

突然ですけど、自炊の楽しさってどこにあると思いますか?かつてのわたし(料理めんどくさい、外食大好き、後片付け嫌い)は、食べるときにその全てが集約されていると思い込んでました。買い出しに行って、料理をして・・・すごく時間をかける割には、目の前にある料理がなくなるのってあっという間ちゃうか?と感じ、もしや外食の方がコスパが良いのではと信じて疑わなかった。そんな過去の私にいいたい。

「カレー作るの至福なんですけど・・・」と。

鍋の中でスパイスが熱を加えられることによって、香りを発散する。油にスパイスが香りのエキスがどんどん移っていく。テンパリングと呼ばれる作業だ。何もなかった鍋に、順番どおり材料を加え、炒めていくたびにどんどん香りが変わっていく。にんにくと生姜が炒まると、もうそれだけでごはんすすむんちゃうかしら。玉ねぎの甘み。スパイスの刺激的な匂い。この何層にも折り重なる変化を感じられるのは、そう、調理をしている人の特権だ。アロマオイルやお香と同じように人々はカレー作りで癒される。なんなら立ち上ってくる蒸気に顔を近づけて、美肌をも目指すことだってできる。(知らんけど)

食べるの専門、と思っていたわたしが、作ることにここまで幸せを見いだすことができているのは、本当にカレーのおかげだと思う。いろんな香りを楽しみたいから、たくさんの種類のスパイスを集めたくなり、使い方を知りたくなり、香りの特徴を掴めると、こんな素材に合わせたい!という気持ちから、これまで挑戦したことのなかった食材を購入したりと、一気にわたしの世界が広がった。そして生活が少しだけ豊かになった。

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さぁ、つくってみよう!

沼にハマってしまう三つの要因。いかがでしたでしょうか。スパイス集める大変さも、自炊する面倒さも、全て通り越して、楽しいことをお約束します。騙されたと思って一回作ってみてほしい。わたしたちは今、数年後に教科書に載るような難しい時代を生きている。知らず知らずのうちに不安を感じて、ストレスもきっと溜まっている。そんなときにカレーのパワーをちょこっと借りて、少しでも前向きに過ごせたらとってもいいんじゃないかなと思ってます。


レシピはこちらをどうぞ〜!




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