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はじめまして、and CURRYです

and CURRYとはどのように始まったのか。そしてどこに向かっているのか。はじめましての方も、そうでない方も、ご覧いただけたら嬉しいです。


味噌汁すらつくれない

2007年の春、東京でバリバリ働くぞと意を決して生まれ育った大阪を去った。あれから13年ほどの時が流れ、カレーを生業にしている・・・なんて意気揚々と上京してきたわたしが聞いたら、きっと耳を疑うだろう。だってその頃のわたしは味噌汁すらつくれなかったからだ。

一人暮らしに心ときめかせ、自炊も頑張るぞと、味噌汁をつくることにしたわたし。お湯を沸かし、味噌を入れても味が薄い・・・?と訝しみ実家の母に電話をした。

「あんた・・・それ・・・出汁いれてへんやろ・・・」

膝から崩れ落ちた。我の料理偏差値の低さに頭を抱えた。そんなわたしが今やカレーをつくって人様にお召し上がりいただき、お代をちょうだいするなんてね。天変地異とはこういうことを言うのだ。


わたしを狂わせたネパリコ

もともと食べることが好きだったわたしは、外食が趣味となっていた。東京という場所はなんと誘惑の多いことか。名だたるレストラン、知らない料理、食材を生かした繊細な調理、そしてそれらを昇華させるお酒・・・行きたいレストランをリストアップし、給料が底を尽きるまで食べ飲み歩いていた。(故に貯金はない。)

そんなある日、先輩に連れて行っていただいたネパールカレーの店がわたしの人生を狂わせた。渋谷にあるネパリコという店だ。ダルバートというネパールのカレー定食が食べられる。ここの豆カレーを食べた時の衝撃はいまだに忘れられない。

これもカレーなの・・・?

わたしの知ってるカレーとは程遠い、優しく、体に染み渡るような味わいだった。カレーって・・・すごい・・・

それからというもの、くる日もくる日もカレー、カレー、カレー。他の国のカレーはどんなのだろう、えええ!インドってナンあんまり食べないの?、す、スリランカって何・・・などなど、カレーは沼のようにわたしを包み込み、気付いた時にはもう地上が見えないほどに潜っていた。

↑ネパリコのダルバート。わたしの好きな豆カレーはなんとおかわり無料・・・神・・

きっかけはたこ焼き屋天風、さくちゃんの一言

カレー沼に潜ったわたしは、facebookページを立ち上げることにした。名前はand CURRY。デザイナーの友だちとともに、カレーを発信するページをつくってみようとなったのだ。友だちは駆け出しのページに花を添えるような、かっこいいロゴを作ってくれた。そう、これがand CURRYのはじまり。

女子会ができるカレー屋さんを探して、食べに行って、勝手に紹介するという誰得なことをアップする完全自己満足の世界。お店紹介だけでは飽き足らず、ビールで肉を煮込んだらどんなカレーになるか、スパイスからカレーつくってみた、などカレーにまつわる戯れを世に放って楽しんでいた。

そんな折、わたしの大好きな渋谷のたこ焼き屋天風のさくちゃんが、伝説の一言をわたしに投げかけたのだ。

「ゆきな、そんなにカレーが好きなら、天風でカレー出してみいひんか?」

この言葉がすべてのきっかけだった。

「やるやるー!」と言ってはみたものの、最初は躊躇していた。誰が食べにきてくれるのだ・・・?お金をもらってやるほどの価値があるんか・・・?もし食中毒なんか出したらさくちゃんに迷惑がかかってしまう・・・など、悪いことを想像したらいくらでも出てくる。でも。案じるより産むが易し。さくちゃんがくれた挑戦の機会、感謝してもしきれない。

そんなこんなで月に一回、天風を間借りして"SUNDAY and CURRY"がスタートした。第一回目のことは今でも鮮明に覚えている。食べにきてくれたのはほとんどが友だちや知り合いばかり。それでもわたしが材料を買ってきてつくったものに、おいしいねと言ってお金を払ってくださるという商売の循環が成立していることに、わたしはとてつもない達成感と喜びを感じた。ああ、商売というのはこんなにも嬉しさを伴っているものなのだね、と。これまでのサラリーマン人生の中でも仕事で感謝されたり、「あなたがいたから」的なうれしい言葉をかけてもらえたりしたのだけど、それらとはまた違う次元の話だったのよ。ゼロから自分で立ち上げたand CURRYの仕事が、目の前にいる人を喜ばせている、そしてその対価としてのお金をいただく、というこの素晴らしく単純なやりとりに、買い出しや仕込みの大変さが報われた。これこそが労働の喜びなのか・・・その日、初めての売り上げで飲んだビールが、この世で一番美味しかった。

↑天風さくちゃん

喜びは変わらない

初めて間借りの営業をしてから今日まで、たくさんの人にand CURRYのカレーを食べていただいた。けれど、あの日の喜びは今も変わらずわたしの手元にある。変わらないどころか増幅してる気さえする。カレーをつくってお金をいただいているのはわたしなのに、わたしがカレーで誰かをちょこっと元気にしたいのに、お客様がわたしに元気をくれるよ。嬉しい言葉をかけてくれるよ。この現象はいったいなんなの・・・。ありがとうございます。

時々食べるごほうびのような食事ではなく、連続する毎日の中で心がほっとするような、ちょっと前向きになれるような、そんなカレーをつくりたい。つくりかたを皆さんと共有したい。and CURRYはそんな想いで活動しています。

最後に現在の活動内容をご報告!

kitchen and CURRY →世田谷区に拠点となるキッチンを開設しており、そこで木曜&土曜にテイクアウト、イートインができます。


レシピ本→ただいま、可愛い二冊のレシピ本が発売中でございます。おうちで楽しめるスパイスから作るカレーの本です。よかったらお手に取ってみてください。

↓4/21発売した野菜を楽しめるカレーの本。わたしの愛する野菜たちが盛り沢山。眺めてるだけでおなかがすいてくること間違いない!

↓記念すべき一冊目の本です。レシピ本なのに泣ける・・・!と言ってくださる方が多い・・・


オンラインショップ→and CURRYのグッズやらチルドカレーなどを販売中。テイクアウトの予約もここからできるよ。


HP、各種SNSもご覧あれ〜!


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