見出し画像

業界のウワサ話|経営者はなぜアドラーを好む?

アドラー心理学を世に広めるきっかけともなった、岸見一郎 著『嫌われる勇気』がずっと売れ続けているそうです。
2013年の出版以来、世界で累計900万部にも及ぶ大ベストセラーとなります。

世界三大心理学者として知られる、

「フロイト」「ユング」「アドラー」

『嫌われる勇気』の影響でアドラー心理学も広く知られるようになりましたが、日本においては、いまだにフロイトとユングの方が認知度が高いとされます。

しかし、経営者の間ではアドラー指示が圧倒的に多いと聞きます。
実際、私の友人、知人の中にもアドラーを支持する経営者が非常に多いです。
そして、その方のほとんどはフロイトやユングは名前を聞いたくらいで、心理学にそもそも興味がないが『アドラーは好き』だと聞くことばかりです。

三者の理論が心理学に大きな影響を与えているのは間違いない事実です。

それぞれが提唱した概要と、その中で、なぜアドラーが経営者に好まれるのか考察してみます。


フロイトの精神分析学

ジークムント・フロイト(1856 - 1939)

概要
ジークムント・フロイトは、精神分析学の創始者であり、無意識の探求を通じて人間の行動を理解しようとしました。

彼の理論では、無意識の中には抑圧された欲望や衝動が存在し、それが人間の行動や心理に影響を与えるとされています。


ビジネスへの影響

フロイトの理論は、組織の深層に潜む問題や個人の内面的な葛藤を理解するためには有益だと思いますが、直接的な経営戦略やリーダーシップに活用しようとすると抽象的となり具体的なアクションに照らし合わせにくいと思われます。



ユングの分析心理学


カール・グスタフ・ユング(1875 - 1961)

概要
カール・ユングは、分析心理学の創始者であり、集合的無意識や元型(アーキタイプ)の概念を提唱しました。
ユングの理論では、個々の無意識だけでなく、全人類に共通する集合的無意識が存在し、それが個人の心理に影響を与えるとされます。


ビジネスへの影響

ユングの理論も、創造性や組織文化の理解に役立つ一方で、具体的な経営判断に結びつけるのが難しい場合があります。
アーキタイプなどは、リーダーシップ開発やブランディングに応用できますが、フロイトと同様に日常の経営活動においては抽象的な領域に留まることが多いです。



アドラーの個人心理学

アルフレッド・アドラー(1870- 1937)

概要
アルフレッド・アドラーは、個人心理学を提唱し、人間の行動が自己決定によって形成されると考えました。
彼は、劣等感の克服や共同体感覚の重要性を強調し、個人が社会の一部として貢献することの意義を説きました。
トラウマという事象は存在しないとされています。


ビジネスへの影響

①自己決定と責任感


アドラーは、個人が自らの意思で人生を選択し、行動することを強調しています。
経営者は、企業の方向性を自ら決定し、その結果に責任を持つ立場にありますので、この自己決定の概念はリーダーシップに直結します。


②目的志向のアプローチ


アドラーは、人間が未来の目的に向かって行動することを重視しています。経営者も企業のビジョンやミッションを設定し、それに向かって組織を導く必要があります。
この目的志向のアプローチは、経営戦略の策定において非常に有用です。


③劣等感の克服と成長


アドラーの理論では、劣等感が成長の原動力とされます。
経営者は、課題や逆境に直面することが多いですが、これを克服することでより強力なリーダーへと成長します。
この考え方は、経営者が逆境に対処する際の励みとなります。

また、多くの経営者が明確な劣等感を認めている場合が多いことも、自身の仕事と重ね合わせやすいと思われます。


④共同体感覚


アドラーは、個人が社会や組織の一部として貢献することの重要性を説きました。
経営者は、従業員やステークホルダーなど、あらゆる利害関係者との協力関係を築く必要があります。
この共同体感覚の強調は、チームワークや組織の一体感を育む上でより実践的であると言えます。



まとめ

フロイトとユングの理論は、それぞれが深い心理学的洞察を提供する一方で、アドラーの理論は経営者にとってより実践的で、適用しやすいといえます。

自己決定と責任感、目的志向、劣等感の克服、共同体感覚といったアドラーの思想は、経営者にとっての日常に大きく重なります。

このため、アドラーの理論が経営者の間で広く支持されています。

当然このコラムを書いている私もアドラーが好きです。
100年以上前に提唱された学問が、現代の経営者においても即実行できることが非常に多いです。

人間の文明や文化は進化していても、人間の心理は不変なのかもしれませんね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?