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開業ノウハウ|創業融資のポイントとコツ

開業時に多くの方が日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業融資を利用すると思います。

無担保・無保証、限度額4800万円など、ネット検索をすると様々な情報で溢れています。

弊社は年間50件以上の開業の相談を受け、その多くは公庫の創業融資を利用されて開業される方が8割を超えています。
以前にも記述しましたが開業には[融資実行(融資契約)]が必須条件となっている方が多く、すべて自己資金のみで事業を始める方は少ないです。

弊社は店舗の設計・施工が仕事ですから融資がおりないと仕事が始まらないので(工事以外のサービスはすべて無償)、積極的に融資サポートをしています。

その経験、実際に公庫の方や民間金融機関の方から伺った話などから、準備~融資実行までのポイントとコツを記述します。



|事業の融資と買い物のローンは目的が違う

事業融資と買い物のローンは同じ借り入れとなりますが、その目的はまるで違います。

大まかには、買い物のローンは商品やサービスを買うのが目的です。
事業融資は借り入れたお金で事業を運営、拡大/改善するのが目的です。

「融資=借金」という良くないイメージを持っている方は、買い物のローンとは別物としてとらえると創業融資に対しての不要な思い込みを減らすといいでしょう。

|創業融資は特殊な状況にある

事業融資のなかで創業融資は特殊な状況にあることを理解すると準備がスムーズに進みます。

公庫は政府が100%株を保有する特殊な金融機関です。
銀行、信金、信組などの民間の金融機関は、開業に対して融資はハードルを高くなります。

融資を受けることができても自治体、保証協会と民間金融機関が連携する[制度融資]は融資契約までの期間が長くなり、限度額も公庫に比べ少ない傾向にあり現実的な窓口は狭いといえるでしょう。

それは開業前は提出できる[決算書/確定申告書]が存在せず、実績を確認できないため貸す側のリスクが高くなるからです。

令和6年度 札幌市中小企業融資制度一覧


|公庫も株式会社である

多くの金融機関は開業者に高いハードルを設けリスクを回避する傾向が強い中で、公庫が手を差し伸べていると言えます。

しかし、公庫も株式会社である以上、働いている人の給料を払うために利益を残さなければならず、上司、部下という関係性もあります。

ここに融資を受ける際のポイントとコツがあります。

公庫にとっての利益は[融資による金利]です。
つまり[お金をかすことで会社を運営]しています。
そして[融資審査の決定をする人(責任者)]がいます。


|Point:安心して融資できる情報を集めている

見ず知らずの人にお金を貸す場合、誰もが「なんで?」「なにに使う?」「ほんとに返せる?」と思うはずです。

実績がまだない場合は、安心材料=情報を集めます。

公庫の仕事は融資をすることで、融資から発生する金利で運営しています。
なのでいかに[安心して融資できるか]その情報を提供するのがポイントです。

具体的な情報としては下記になります。
◇どんな準備をしていた(具体的な経験/キャリア)
◇どんな準備をしていた(自己資金)
*これから商売を始める方が、お金に対してどのように計画し貯蓄していたかを期間と金額でアピールすることができます
◇どんな風に思われている(親族等からの協力金)
*身近な人が共感して金銭の応援をしようとしている
◇お店ができるまでを具体的に計画できているか(貸借対照表)
◇お店ができてからを具体的に計画できているか(損益計算書/キャッシュフロー)
◇過去に返済トラブルや過剰なローンはないか
◇開始する事業について秘密はないか

|具体的なサポート内容

このような情報を掴むために事業計画書の記入、通帳の提出、面談などを通じて収集しています。

融資をする側にとって、借りる人に秘密が多かったりウソがある、いろいろ聞いても教えてくれない、自信がなさそう、となると貸したくても貸せなくなります。

また、公庫から求められた必要最小限の情報提供だけをすることで審査はしてくれますが、事業に関連する独自の詳細情報を加えることでより安心材料を提出することができます。

弊社が無償で行っている代表的なサポートは下記になります。
お店ができるまで(貸借対照表)とお店ができてから(損益計算書/キャッシュフロー)を分けてシミュレーション
◇同上による根拠のある運転資金の設定と返済計画の設定
◇同一業態、類似業態の競合店調査(戦う相手は誰か?)
◇同上とのポジショニングマップの作製(周辺エリアにおける位置づけ)
3Dパースによるイメージしやすい作図


|500万 1000万の壁

数年前になりますが実際に公庫に勤める方から伺った話ですが、500万以上の融資審査は500万以下に比べて、より情報の精査をすると聞いたことがあります。

また、1000万円を超える場合、支店決済ではなく本店決済(東京)となり、さらに細かく情報精査を行い実際には減額もしくは融資不可となるケースが多いそうです。

これは弊社のイメージですが、公庫としては[小さく事業をはじめて大きくする]事業計画を好む傾向があると思います。


|コツ:数字は細かい方が好まれる

売上や仕入れ、人件費をはじめとする経費など、可能であれば1円単位で計画書を作成するとキチンと数字=お金と向き合っているという印象を与えることができます。

飲食店の場合は、とくに仕入れは0.1単位で考えるのもいいでしょう。


|自己資金の比率の実態

2024年4月より創業融資における自己資金の有無は要件から外れました。

2024年3月以前は自己資金10%が要件とされていましたが、実際は30%以上が望ましいとされる習慣がありました。

現在も同様に自己資金は大きなアピールになります。
しかし、弊社のお客様でも自己資金比率がほぼ10%でも融資審査が通ったお客様が何人もいます。

しっかりとした準備と的を射たポイントやアピールができると融資は実行されます。


|最終判断は上司がしている

創業融資の場合、申請のあとに必ず面談があります。

面談する担当者の方との印象で一喜一憂する方もいます。

担当者に悪い印象を持たれるのはよくありませんが、実際に判断をしているのは担当者の上司だと思ってください。

つまり、面談での会話を弾ませることが重要ではなく、上司に対してちゃんと伝えたいことが報告されるか?というイメージで準備を進めるといいでしょう。

これも公庫の方から聞いた話ですが、独自に提供した事業に関する情報は[書面になった状態]だと必ず受け取るようです。

ですので、伝えたい情報は印刷して[書面にする]ことも有効な手段だと思います。

開業は一生に一度だけの、とても大きな出来事です。

融資が必須要件の場合は充分な資金調達をして、事業に集中していただきたいと思い弊社も様々なサポートを行っています。

次回は民間の金融機関から開業時に融資を受ける場合のポイントとコツを記述していきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。



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