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ピアスをしない理由

30代の頃、大きくて存在感のあるイヤリングを好んでつけていました。
私が小学校の教員だった30年前は、イヤリングをつけて生徒の前に立つことは好ましくない、いや、禁止と言われていましたから、早期退職して、好きな時に好きなイヤリングでおしゃれすることに大きな喜びを感じたものでした。
しかし、歳を重ねるごとに耳元が鬱陶しくなり、最近10年ほどは、おしゃれからもすっかり遠のいていました。若い頃はショートヘアだったので、大ぶりのイヤリングもサマになっていたのですが、バレエをはじめてからロングヘアになり、なんだか似合わないように感じてもいたのです。
時代はイヤリングからピアスが主流になりました。
確かに、ネジやバネで耳たぶに留めるイヤリングよりもスッキリとしていて、重さもあまり感じないようで、小粋な感じがして良いことずくめのようにも思えます。
だからと言って、鼻やおヘソにまでつけるのはどうかと思いますけど。
それでは、私もピアスに移行したのかと言いますと、残念ながら、未だにピアス未経験です。
「耳に穴を開けたら離婚だぞ。」
夫はそう言います。それをまに受けてピアスをしないわけではありませんよ、断じて。

先日、パーソナリティをしているFMはなびの番組内でその話をしたところ、たくさんの反響をいただきました。
いつもアプリを利用して聴いてくださっている埼玉県のリスナーさんからは
「身体髪膚(しんたいはっぷ)これを父母に受く、あえて毀傷(きしょう)せざるは孝の始め也」というお便りが届きました。
髪も皮膚もみな、父母からもらったもの、あえて傷をつけるようなことをしないというのが孝行のはじまりであるという意味だと教えていただきました。
しかし、若い方々にこんなことを言っても笑われそうですね。
一方、別のリスナーさんからは
「今は、ピアスのように見せるシリコーン製の留め具や、磁石式のものもありますよ。」と教えていただきました。
小さなさりげないおしゃれならピアス風なものだよね…と、思っていた私は早速売り場に走りました。
確かに、耳に負担なくつけることができるおしゃれなイヤリングも少数ながらありました。
磁石式を二つ購入して幸せな気持ちで帰宅。こうして10年ぶりにイヤリングを再開しましたが、結局、ピアスにする気は起きませんでした。
離婚されるのが怖いからではありませんよ。
私自身が「身体髪膚」に穴を開けるのが怖いんです。秋田弁では
「みのごなし(臆病者)」というわけですね。

(この記事は2016年10月に書きました)

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