コント『サンタクロースの配慮』

「お電話ありがとうございます。四択ハラミ運送です」
「配送のお願いしたいんですけど」
「ご希望のおもちゃはお決まりですか?」
「さっきマイページから申し込みました」
「かしこまりました。クリスマスの深夜着になりますので、当日は大きめの靴下を枕元に吊るしてお休みになってください」
「配送場所の指定はできますか?」
「子供部屋以外でご希望ですか?」
「部屋はいいんですけど、対面で受け取りたくて」
「申し訳ありません。すべて枕元の置き配限定で承っております」
「どうしてもですか?」
「弊社の規定で、お客様に姿を見られた瞬間に解雇になってしまうので」
「そこをなんとか」
「なにか事情がおありですか?」
「実は、僕が注文したおもちゃって、大人のおもちゃなんですよ」
「大人の?」
「だから枕元に置かれちゃうと親に見つかる可能性があって」
「失礼ですが、お客様はおいくつですか?」
「小五です」
「そんなに若いんですか。ちょっとまだ早いかと」
「性教育の授業で使うんです」
「授業で使うなら、親に知られても問題なさそうな気がしますが」
「親に隠れてこそこそするのがスタートラインだって先生が言うんで」
「その教育は間違ってないですね」
「ネットだと年齢制限がかかるし。クリスマスに頼むしかなくて」
「なるほど」
「いい子にしてれば何でももらえるんですよね」
「そんなもの注文してる時点で悪い子なんですけどね」
「手に入れないと学校でいじめられちゃいます。クラスで持ってないの僕だけなんで」
「我々のせいでいじめを発生させるわけにはいきませんね」
「姿を見なければいいんですよね。絶対見ません。目隠ししますから」
「目隠しですか。それだと会った瞬間に外されちゃったら終わりなんですよね」
「手錠します。それでも不安なら全身縄で縛っておきます」
「いろいろ揃ってるんですね」
「どうですか?」
「まぁ、そこまで厳重なら安心かもしれません」
「よかった。もし僕が約束破ったら、枕元のムチで思いっきり叩いてもらって構わないんで」
「ムチで、ですか?」
「はい。もう失神するくらいに」
「……やっぱり今年はプレゼントあげるのやめておきます」
「なんでですか。僕が学校でいじめられてもいいって言うんですか」
「はい」
「そんな……ひどい」
「だってあなたの場合……いじめられる方が喜びそうなので」
「……最高のクリスマスになりそうです」

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