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『ワイルドサイドをほっつき歩け』ブレイディみかこ著
ルーリードの「Walk on the Wild Side」だ。
最終ページを読むまで、
全く気がついていなかった。
表紙をよく見ると、英国人らしい、にこやかな
男性が着ているTシャツに描かれている絵は
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
&ニコのアルバムジャケット。
アンディ・ウォーホールのバナナだった。
実際のアルバムジャケットのバナナの下には
”Andy Warhol”と署名があるが
気の良さそうな英国人のTシャツには、
''Sparkling Joy”と書かれている(笑)
ソロになってからのルーリードよりも
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代
の曲の方が好きでよく聴いていた。
18歳の頃の話だ。聴いていたことすら忘れていた。
私に18歳の頃があったのと同様
おじさん達にも若造の頃があったんだ。
”夕刊フジを読みながら老いぼれてくのはごめんだ”なんて、ブルーハーツのマーシーの曲を歌ってた若造たち。
コロナ禍で迎えくる不景気を前に、現在は何を思っているんだろう。
ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、英国で暮らす著者と、「元底辺中学校」に入学した息子の実体験をもとに描かれた話だ。
EU離脱前の混乱や、保守党の緊縮財政によって生まれた深刻な社会情勢の中、多様性や差別や貧困という問題を、大人達の心配をよそに、いとも軽々と飛び越えてしまうような、若者達の日常が描かれていて、
”未来は君らの手の中”の章を読みながら、
まさしくブルーハーツ の”未来は僕らの手の中”が爽やかに頭の中に流れてきた。
こういう若者がいるのだから、世の中も捨てたものじゃない。この子達が未来を作り上げていくんだ、と少し涙ぐみながらも明るい気持ちになれた。
『ワイルドサイドをほっつき歩け』の登場人物は、彼女の周りにいる労働者階級のおじさん達。
生き方は不器用だけど、気のいい愛すべきおっさん達の、悲喜こもごものエピソードだ。海の向こうの話とは思えない。
こんなおじさん達、同じ町内にもいたよなぁ。出世欲や金儲けとは無縁だけど、町内行事には命をかけているおじさんとか。
ベビーブームの団塊世代、バブル世代、
新人類世代、就職氷河期世代、
ゆとり世代、さとり世代…。
世代間で名前をつけて批評し合う、なんていうのは、カテゴライズ好きな日本人だけかと思っていたら、英国にも同様によく似た世代別の分類があった。
さて、コロナ以降はどんな世代が生まれるのでしょうね。
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