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人の心を種として
立春の昨日、優しいうたに出会いました。
雪のうちに 春はきにけり 鶯(うぐひす)の
こほれる涙 今やとくらむ
古今和歌集にある、立春に寄せた和歌です。
──春が来て、冬の寒さで凍っていたウグイスの涙は、もう融けているだろうか。
ウグイスが流した涙を気にかけるなんて、なんて優しいうたなのでしょうね。もしかしたら、ウグイスはわたしかもしれない、と思いました。
そういえば、古今和歌集の撰者である紀貫之は、「やまとうたは 人の心を種として よろづの言の葉とぞなれりける」と記しています。
むかしの人も、いろんな思いや感情を言葉にのせて、和歌に詠んだことでしょう。
感情が種ならば、それを言葉であらわした和歌は、いわば生い茂る木々。感情が豊かであるほど、きっと実り多い人生になる。そう思いたいです。
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