見出し画像

不妊治療とキャリアを両立できる社会へー 課題解決Pシーズン5 振り返り

株式会社ミスエル 濱野 真凪さん

参加の動機を教えてください

私自身が不妊治療を経験し、この業界に深い課題を感じたため起業しようと決意しました。しかし、ある時から行き詰まり感を抱くようになり、これまでずっと医療業界で働いてきた私には、ビジネス面でのアドバイスをいただける環境が必要だと思い、応募しました。また、個人的にも思い入れのある神戸で起業し、この事業を広げていきたいと考えていたので、こちらのプロジェクトについて知ったときは迷わず応募しました。プロジェクト開始後は積極的に「人」「支援機関」「イベント」などを紹介してくださり、とても助かりました。このプロジェクトに参加したことで、間違いなく事業が一歩前に進んだと感じています。

どんな課題に取り組みましたか

妊活・不妊治療は不確定要素が多く、長期間にわたり先の見えない不安に襲われます。そんな中、治療中の方々は心理的・身体的ストレスに長期間さらされながら、周りの方と同様に働いています。そして、治療によるストレスが大きすぎるあまりに仕事の生産性が落ちたり、通院スケジュールの問題上退職せざるを得ないというのが現状です。ところが、独自調査をしてみると、治療中の女性のほとんどは「できれば働き続けたい」と思っていたのです。この現状は、企業側も女性側も誰も望んでいない状態であり、社会的にも問題だと感じたため、「妊活・不妊治療と仕事が両立できる社会」を目指し、この課題に取り組んでいます。

6カ月の活動内容、活動の成果、今後の事業の展望・目標を教えてください

この半年間では、「①個別ニーズに合わせたプランニング支援」と「②宿泊型ワークショップ」の2つのプロダクトを同時に進めていきました。

①のプランニング支援とは、医療とキャリアの専門家が不妊治療中の方に伴走し、治療とキャリアを両立できるように、共に今後の計画を立てていくサービスです。課題解決プロジェクトのスタートと同時に、不妊治療機関で働く看護師、助産師、胚培養士、不妊カウンセラーにヒアリングし、意見交換やアドバイス等をいただきました。その後MVPを作成し、モニターを募集、トライアル提供の実施まで至り、現在はトライアルユーザーさんから頂いた声を元に内容を改善している段階です。
 
②の宿泊型ワークショップとは、同じ悩みを持った人が集い、健康やキャリアについて学び・考え・交流することで、今後の気づきを得たり孤独感を和らげる宿泊型イベントのことです。地域の観光資源も活用することで、その場でしか味わえない体験を提供します。今回、メンターさんからご紹介いただき、兵庫県内の旅行会社さんと顔合わせを行いました。また、実施施設の選定も行い、実際に淡路島へ視察に行きました。そちらの施設は一棟貸しでプライバシーが保たれており、参加者が安心してくつろげるように1人1部屋を用意。さらに全体でワークショップができる空間もあり、まさにミスエルのコンセプトに合う場所でした。オーナーさんは大変あたたかく、この事業にご賛同いただき、実現可能性がさらに高まりました。


このように少しずつ事業を前に進めてきましたが、今後は個人向けだけでなく、法人向けにも展開し、従業員の離職率低下、仕事の生産性向上、人材マネジメントに寄与します。この事業はひとりの女性を救うだけでなく、最終的には少子化問題・労働力不足にも貢献できると考えています。そのため、大企業だけでなく、中小企業の方々にも関心を寄せていただけるよう、引き続き活動を進めていきます。

メンターはどのような存在で、どのような気付きを得ましたか?

今回は、メンターとしてアドリブワークスの山岡さん、栗山さんにご支援いただきました。半年間を通じて、教える・教えられるという関係性ではなく、共創というスタンスで関わってくださったのが印象的でした。というのも、私が何かに悩んだり迷ったりした時は、答えを提示するのではなく「ミスエルとして何を大切にしたいのか」を軸に置いて、議論を進めてくださったのです。その度に私も、なぜこの事業が社会にとって必要なのかを考え直す機会になり、ありがたかったです。また、どうしても私ひとりでは思考の幅が狭く煮詰まってしまうこともありましたが、視野が広がるように様々な視点からご意見を頂けたのも大変助かりました。

活動を終えての感想を教えてください

妊娠中のプロジェクト参加ということで無事に最後まで走り切れるか少し不安でしたが、メンターさんをはじめ、関わってくださった皆さんの温かいご配慮により、無事に完走することができました。本当にありがとうございました。この事業は、まだまだこれからも、たくさんの方とともに創っていきたいと思っています。
 
「まだ事業内容が固まっていないし…」「まだまだ知識も足りないし…」そう思い、応募を足踏みされている方もいらっしゃるかもしれません。私も当初はそうでした。しかし、そういう方にこそこのプロジェクトに参加していただくことで、何か見えてくるのではないかと感じます。その一歩をぜひ踏み出してみてください。

その他
私が取り組んでいる妊活・不妊治療にまつわる社会課題は「いつか、やらないとね。」と見過ごされてしまいがちです。その「いつか」は、いつくるのでしょうか?誰かが動いたのを見て動き出す。本当にそれでいいのでしょうか?今も、治療と仕事を両立できずに静かに退職していく人がたくさんいます。労働力不足・少子化もどんどん進んでいます。何かのご縁でこの記事を読んでいただき、もしも私たちと一緒にこの課題に取り組んでくださる方がいらっしゃれば、ぜひご連絡いただけると嬉しいです

事務局担当より
 濱野さんの第一印象は、「とても落ち着いていて話しやすい人」でした。
その後も印象は変わることなく、いつも穏やかで、でも強い意志を感じる起業家だと思います。
 メンタリング期間中、濱野さんの不安や疑問に対し、メンターの山岡さんと栗山さんが的確にアドバイスされており、数々の起業支援をされているからこそ「スタートアップあるある」的な内容にも濱野さんの目線で寄り添っていただきました。本当に感謝です。
 高齢化や人材不足が加速していく今の時代にとても重要なテーマですが、きっとミスエルが一人一人に寄り添ってくれるサービスに大きく成長してくれると信じています!これからも応援していきます!
(アンカー神戸マネージャー 網本)

メンター

山岡健人(株式会社アドリブワークス 代表取締役)

早稲田大学卒業後、IT業界を中心にキャリアを築き、企業のデジタルマーケティングやDXなどを推進。アクセンチュアではインバウンド需要の盛り上がりを受け、日本最大規模のジョイントベンチャー立ち上げに参画。経営や営業戦略におけるコンサルティング業務を担当した後、2018年にアドリブワークスを創業し、スタートアップの立ち上げをサポートしている。

栗山依子(株式会社アドリブワークス)

起業したい人のための マッチングサイト「triven®︎」とスタートアップスタジオ「NOROSI」の運営&コーディネーター。東京・大阪で広告業界に約12年×24/7、営業企画&プロデューサーとして、食品や雑貨の商品開発からPR・広告マーケティング全般に従事。今は伯方島で無農薬ライムの栽培、スペシャリティカレー「otsucurry」の開発など、自身の商品開発〜PR〜出口開拓に奮闘中。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?