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メルカリを退職し、5人目の社員として医療系スタートアップに入社します

2018年4月に新卒でメルカリに入社してから早2年、2020年3月をもって同社を退職しました。4月からは医療領域のVertical SaaSを提供する株式会社ドクターズプライムで働きます。

新型コロナの影響で2月下旬から在宅勤務となり、お世話になったみなさまにきちんとご挨拶もできなかったため、この場を借りて転職の経緯とこれからについてご報告させていただこうと思います。

また、スタートアップへの転職を考えている方や、中途社員の採用に取り組むスタートアップの方に、私の例が少しでも参考になれば幸いです。

誰なのか?

自分のキャリアの方向性に影響した出来事を学生時代から振り返ります

高校時代
・高校入学直後 ”南北格差"をテーマにした地理の授業を受け、いかに自分が恵まれた環境で生まれ育ったのかに気づき、驕り高ぶっていた自分が心底恥ずかしくなる
・自分の能力が環境によって与えられたものならば、それは環境に還元するべきだと、教育や労働問題に関心を強めていく
大学時代
・国際機関に就職しようとその道に強い大学に入学するも、アカデミックな議論を繰り返すだけの日々に焦りを感じ、 NGOを立ち上げ海外で活動
・3年間の活動を通して一定の成果は得たものの、サステナビリティ(持続可能性)とスケーラビリティ(普及性)に限界を感じ挫折
・上述の課題の解決策としてインターネットサービスに可能性を感じ、海外でスタートアップの立ち上げに従事
・自分のスキル不足を痛感し、インターンや受託案件を通してWebマーケティングやデザイン、プログラミングを学ぶ
新卒時代
・社会課題に挑戦する前に、もう少し大きな企業で修行を積みたいと思い、2018年4月にPMとしてメルカリに新卒入社
・データを活用し既存事業をグロースする経験を積みたいと希望を出し、メルカリJPのGrowthチームに配属。1年ほどアプリ内マーケティングに従事
・データ活用の面白さに魅了されアナリストへ職種転向の希望を出し、BIチームで1年ほどグロースのためのデータ分析に従事
・社会課題に取り組みたい気持ちが大きくなり、ドクターズプライムへの転職を決意

メルカリで何をしたのか?

在籍した2年間はずっと、メルカリJPのGrowthチームでアプリ内マーケティング(社内ではCRMと呼ばれている)に取り組みました。

仕組み化されたマーケティングが存在しないゼロの状態から、分析を元に戦略を立て、テストを繰り返して「誰に・いつ・何を 伝えるのか?」を最適化していきました。
最終的にはMLチームの力を借りて機械学習を活用したり、オートメーション化を目指してツールの開発に乗り出したりと、どんどんと高度化していくマーケティング運用の現場に立ち会えたことは貴重な経験でした。

私個人としては、マーケターとして購入者側、アナリストとして出品者側と、異なる立場で2度CRMマーケティングの立ち上げを経験する中で、再現性の高い学びが多く得られたのではないかと思います。
特に最後の半年で取り組んだテーマについては、1から自分で戦略を描き、チームを動かし、数字を上げることができ、2年間の集大成となる忘れがたい体験でした。 

振り返ると、なかなか壁を乗り越えられずもがき苦しんでいた期間の方が長かった気がしますが、失敗しても何度も挑戦の機会をいただき、根気強くご指導いただいたおかげで、今の私があります。本当に素晴らしい環境でした。

購入者側のCRMマーケティングの取り組みについては、当時のGrowthチームのアナリストであったHikaruさんのスライドが詳しいので、興味がある方は是非見てみてください。

いつの日かのメルカリ・メルペイBIのピザパーティ画像1

ドクターズプライムで何をするのか?

株式会社ドクターズプライムでは「救急車のたらい回しをゼロにする」ことを目指し、救急医療の領域で病院と医師をつなぐ橋渡しを行うSaaSプロダクトを提供しています。

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救急車のたらい回しの背景にある「バイト医師中心の当直体制と、バイト医師の管理体制の不備」に焦点を当て、病院・救急隊・患者さん・医師の4方良しの形でこの問題を解決するサービス作りに日々取り組んでいます。

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詳しくはこちらのスライドをご覧ください。

副業からのスタート

ご縁があって、去年の春頃に初めてドクターズプライムのオフィスに遊びに行きました。そこで代表の話を聞き、救急医療の現場で起きている問題に驚愕し、また、それを解決する四方良しの事業モデルに感銘を受けたことを覚えています。

活気の溢れるシェアオフィスの雰囲気に、学生時代スタートアップで日夜夢中になって働いていたことを思い出し、またいつか挑戦してみたいなと胸が熱くなりました。

去年の春にお邪魔したBBQ画像7

私が本格的に参加したのはそれから半年ほど後のことで、メルカリ時代の元上長でありドクターズプライムの共同創業者であるKyosukeさんから「データをきちんと活用してデータドリブンな意思決定をしていきたい」とお声がけいただき、データ分析業務をお手伝いすることになりました。

ドクターズプライムの事業モデルは病院と医師のマッチングプラットフォームなので、分析テーマとしては大きく3つあります。
(1) 医師側の分析(獲得・育成・定着など)
(2) 病院側の分析(営業・カスタマーサクセスなど)
(3) 需給バランスの分析(理想状態の定義とヘルスチェックなど)

(1)や(3)はメルカリでやってきたことがそのまま活きるので、短期でわかりやすい成果が出しやすく、社内のメンバーから信頼してもらう上で大きな武器となりました。
ただ、それが実現できたのはメルカリというバックグラウンドを共にするKyosukeさんによるところが大きく、以下の3点があったからこその結果であったと思います。

医師側の分析ですぐに成果を出せた理由
1. 医師側のサービスデータがきれいにデータベースに入っていた
メルカリのDB設計と似た部分も多く、キャッチアップコストが低い状態ですぐに分析に取り掛かることができました

2. データを活用した事業推進のイメージが揃っていた
実はメルカリでKyosukeさんと直接一緒に仕事をしたことはほぼないのですが、"メルカリ流データ活用事業推進"なるものをお互いが経験ベースで理解していたので、思考の前提がぴったり揃っていて、コミュニケーションコストが限りなくゼロに近い状態でスピード感を持って進めることができました

3. 定期的な対面での密なコミュニケーション
毎週火曜の夜は、恵比寿のマンションの一室にKyosukeさんと副業メンバーで集まっていました。そこで現在の事業の状態や課題感などをキャッチアップできたので、戦略上重要度の高いトピックの分析に常に取り組むことができました。また、分析結果を眺めながらみんなで仮説を出し合い議論をし考察を深めていく時間もとれたため、分析の精度を上げることができました

一方、(2)の病院側の分析は難易度が高く、副業でのコミットでは満足に進めることができませんでした。ここに関してはこれからしっかりと腰を据えて取り組んでいこうと思います。

分析の前のデータ整備が大きな壁
システムを組めば自動でデータが収集できるサービスデータと違い、営業のデータはほぼすべてが人のオペレーションによるものです。そのため、分析をする前のデータの収集や整備に多大な労力を要しました。

また、なんのデータを・どんな形式で・どのように収集するか?という設計をするためには、データ分析領域の経験だけでなく、実際の営業活動への深い理解が必要になります。
私自身も営業担当者へヒアリングを重ねたり、病院への営業に同行したりしましたが、日々の試行錯誤で目まぐるしく変わっていく営業フローを理解して、運用に耐えうるデータベース設計・本当に価値のある分析設計をすることは副業レベルのコミットメントではなかなか難しく、もどかしさを感じていました。

入社の決断

メルカリでの仕事がどんどん面白くなっていた時期だったため、まだまだ退職は先だろうと思っていた私でしたが、ドクターズプライムを知れば知るほど、本気で取り組みたいと思うようになりました。

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一番の決め手は、会社のミッション・ビジョンへの強い共感です。

MISSION : 人の健康を阻害する、解決策のない課題を仕組みで解決する
VISION : 救急車のたらい回しをゼロにする

ドクターズプライムが取り組む「救急車のたらい回し」という問題の主要因は、アルバイト当直医の管理体制を背景とした、医師のモチベーション低下です。つまりこれは医師の労働環境、特に報酬設計の問題です。

冒頭の私の略歴で少し触れましたが、私は学生時代から労働問題に強い関心があり、大学では労働と報酬の関係性について研究していました。
いつかこの領域の課題にインターネットサービスという手段でアプローチしたいと考えていたため、ドクターズプライムの掲げるミッションはぴったりでした。

ミッションは掲げるだけではあまり意味がないですが、この会社であればそれに向かって本質的な取り組みが長期的にできるだろう、という確信が持てました。

大学の授業やNGOでの経験から、本質的な課題解決をするには現場への深い理解が必要で、理解の浅い外部の人間が介入することは非常に難しく、むやみな介入は別の新たな問題を引き起こすことを知っていました。

代表の田さんは、聖路加国際病院という救命救急で有名な病院の救命救急リーダーを務めた後、医療系ベンチャーでトップセールスとしてビジネスの現場に立っていました。
医療領域の豊富なドメイン知識を有する田さんが代表だからこそ、医療業界の抱える本質的な課題に向き合い、病院と手を取り合いながら本当に必要なソリューションを生み出していけると思いました。

また、ドクターズプライムはサービスローンチから早期に黒字化を達成し、今現在まで自己資本のみで経営しています。経営の意思決定権を100%持っていることから、短期の営業利益に囚われすぎずに、自分たちの信念に基づいて本質的な打ち手を打っていける安心感がありました。

次に、事業モデルです。医療業界のインサイダーだからこそ考えつくのであろうこの新しい事業モデルは、私にとって非常に魅力的でした。

詳しくは先ほどのスライドをご覧いただきたいのですが、私は以下のような点に魅力を感じました。
・病院・救急隊・患者さん・医師の四方良しの仕組みを成立させていること
・明確なペインを捉えていること(早期の黒字化が証明している)
・競合が存在しないユニークな価値であること(広義の競合はあれど)
・受益者負担モデルであること(顧客利益の追求が売上に繋がる)
・国の方針にマッチしていること(救命救急強化, 働き方改革)
・財政基盤が盤石な市場であること(公立病院の財源は国家)
・集積したデータを活用して、さらなる幅広い事業展開が見込めること

また、日本ではまだ黎明期であるVertical SaaSでデータアナリストとして実務経験を積めることは、自分のキャリアを考える上でも価値が高いと思いました。

3点目は、組織のフェーズ・カルチャーと、自分の求める経験のフィット感です。

データアナリストとしてゼロからの挑戦
ドクターズプライムでは、データ活用が今後の事業展開の肝となりますが、データ分析の専任者がいない状態でした。そこをデータアナリストとしてゼロベースで取り組むことができるのは、自分にとって大きな挑戦になります。

データ活用に積極的な環境
ドクターズプライムは、データ活用の重要性とそれに必要なことを会社のトップがよく理解しており、データ活用に積極的かつサポーティブな環境でした。これは、自分が取り組むべきテーマに集中し、持てる力を最大限発揮するために重要なことでした。

経営との距離の近さ
会社や事業の方向性を考えるところから議論に入っていけるのか?というのは、ベンチャーに転職する上で重要なポイントでしたが、経営陣2人と会話を重ねる中で、この会社であれば心配いらないと思いました。
組織づくりにおいても、若手の社内登用が基本路線で、パラシュート人事は行わないことが明言されているため、中長期的に経営に近いところで働けるイメージが持てました。

若手中心の組織
ドクターズプライムはメンバーの大部分が学生インターンで、4人いる正社員は全員が学生インターンからの新卒採用者です。
これまで月に一度のチーム成果発表会や、四半期に一度のOKR策定合宿に参加しましたが、とにかくみんな若くて活気があり、率直で、聡明で、信頼できる、気持ちの良いメンバーばかりでした。
このメンバーでフラットに議論しながら、未知の課題に対して日々試行錯誤して前に進んでいくことは、単純におもしろそうだなとわくわくしました。

採用へのこだわり
まだ社員数が10人未満で、"ドクターズプライムらしい"組織のカルチャーを自ら作っていける人材を採用したいこともあり、採用には非常にこだわっていました。サイバーエージェントとメルカリを経験したKyosukeさんの知見が詰まっているように感じます。
私自身もメルカリでの経験を通して「採用の大事さ」を痛感していたため、以下のような取り組みに共感しました。
・採用面接では全社員と話し、採用可否について全員で議論して決める
・スキル重視の採用はせず、ポテンシャルとカルチャーフィットを優先する
・中途採用はまず業務委託契約で数ヶ月実際に働いてもらい、お互いのマッチングをしっかり確かめる

柔軟な働き方
私は現在25歳独身女性ですが、一般的に女性の20代30代は結婚・出産・子育てなど、生活を大きく変えるライフイベントが起こりやすい時期です。
ドクターズプライムは既に以下のような環境が整っており、ライフステージが変わっても長期的に働けるイメージを持てました。
・12時から17時をコアタイムとするフレックスタイム制を導入している
・経営陣2人が幼いお子さんがいる2児の父, 3児の父で、家庭と仕事を両立させている
・副業を禁止していない

直感によるところも大きいですが、以上のような点を考慮してドクターズプライムへの入社を決めました。

社員メンバー(4月から7名に!)
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最初にオファーをいただいた時「初めての転職をこんなにあっさり決めていいんだろうか?他の会社も色々見て比較検討すべきではないか?」と正直迷いました。

ですが、自分の大事にしている価値観や居心地の良い空間、未来の目指す姿とそのために必要な経験などを全て書き出して整理した時に、
ドクターズプライムを選ばない理由が見つからず、また、ドクターズプライム以上にこれらの条件を満たす会社を見つけるのは至難の業だと思い、納得感を持って意思決定することができました。

年始に考えを整理したDocsの一部画像6

最後に

医療業界の抱える構造的問題の解決は、とても一朝一夕には成しえないものですが、これから長期的に腰を据えて真摯に取り組んでまいります。
このように思えるテーマと、それができる環境に巡り会えたことが今はただただ嬉しく、これまで与えてもらったあらゆる機会、関わっていただいた全てのみなさまに、心から感謝しています。

最後に宣伝をひとつ。
ドクターズプライムでは一緒に働く仲間を募集しています!

私のように副業としての関わり方も歓迎しています。職種も幅広く募集しておりますので、詳しくは採用情報ページをご確認ください。

少しでも興味を持っていただいた方は、気軽にTwitterのDMからご連絡ください!

Twitterからの連絡先
●事業モデルや救急救命医療の現場について話が聞きたい方はこちら
(ドクターズプライム代表で元救急救命医師、元医療系ベンチャートップセールスの田さんのアカウント)

●プロダクト開発やサービス企画について話が聞きたい方はこちら
(ドクターズプライム共同創業者で元サイバー元メルカリのプロダクトマネージャーKyosukeさんのアカウント)

・このnoteを書いている私へご用がある方はこちら

最後までご覧いただきありがとうございました!






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