『ジョジョ・ラビット』投票権があればアカデミー作品賞に1票入れます
ナチス・ドイツが終焉を迎えようとしている頃が舞台。
でも、戦時中の不条理さよりも、10歳の少年がそのような情勢の中で成長していく様子を軸に捉えているところが独自性の高さとなっている。
主人公の10歳のジョジョには、心の友、アドルフがいつもいて、いろいろと励まし導いてくれているのだが、実際はなかなか理想的にはいかない。
ヒトラー・ユーゲントでは、最年少者で臆病者のジョジョはからかわれ、いじめられている。
主人公の母がこっそり自宅の屋根裏にかくまっているユダヤ人の19歳の少女と出会ったことで、自分の信じ込んできた幻想と葛藤しながらも現実に向き合っていく様がよいのだ。
ナチスなので、それはもう阿鼻叫喚な世界なのだが、少年の心の幻想世界がコメディとして、こんなクソみたいな世界をも成り立たせているんだということを見せられると、自分自身にもあった時代を想起させてくれる。
こんな世界でも、生き続ける強い意思と確かな自我を持って明るく楽しく踊ろうと映画は呼びかけてくるようだ。
アドルフ役もやっているタイカ・ワイティティ監督の他には無い、全く新しい視点からの心に残る名作である。
キャストが、それぞれに素晴らしくてうれしくなってくる。
これは何度でも観たくなるタイプの映画だ。
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