貨幣の出現

「貨幣の出現を歴史的に遡ると、古代メソポタミアまで遡ることになります。どうして貨幣が生まれたか。古代のメソポタミアで文字と数字が発明され、それによって帳簿をつけることが可能になった。これで貨幣が誕生したのです」

「経済収支というものの会計管理がメソポタミアで生まれました。経済生活の体系的な組織化が可能になるということです。」

「あくまで貨幣は、文字、数字の発明、それを契機にした国家の形成を条件として、会計と徴税の手段として生まれたのです」

農耕が始まり、生産物の剰余が生まれた。その剰余によって持つ者と持たざる者の格差が生まれ、権力が生まれ、その権力を正当化する宗教が生まれ、官僚組織が生まれる。生産物の剰余を管理するために文字と数字が生まれ、貨幣が生まれた。

「日本でも、その近代的資本主義的な経済が出発点は地租改正でした。これで農民は年貢を現物で納める代わりに現金収入を確保して税を金納せねばならなくなった。こうして古代ライの自然経済、実物経済の要素が一掃されました。大蔵省と日銀が国民経済をその帳簿で一元的に管理できるようになったために、資本主義的な経済発展が可能になった。江戸時代の日本はすでに市場経済でしたが、こういう意味での資本主義はなかったのです」

関曠野『なぜヨーロッパで資本主義が生まれたのか』


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