川崎フロンターレシーズンレビュー〜再び挑戦者として〜
著者:クレ@サッカー戦術分析(@analyze_foot)
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今シーズンの見どころ
(Qolyより引用)
昨季はリーグ最小敗戦ながらも9分を許したホーム戦績も尾を引き4位でシーズンを終えた川崎フロンターレ。ACLでのGL敗退、天皇杯での早期敗退と物足りないシーズンを過ごした。
ルヴァン初制覇が失意のシーズンを少し慰めてくれたものの、マリノスとの終盤戦のショッキングな敗戦で王者との壁を感じることに。
そんなクラブが新たに取り組むは433システム。
リバプールやマンチェスターシティなど欧州のクラブが採用するポジショナルプレーの要素を取り入れた新システムは一言で例えるなら超アグレッシブ。
3シーズン振りに挑戦者としてリーグを戦うフロンターレを表すにぴったりの新システムだ。
過去の3シーズンでは、守備を修正してタイトルを取った鬼木監督にとっても組織の再構築という難解なミッションに挑む。
上下動を激しく行うインサイドハーフに使われるであろう大島と家長の働きは、今シーズンの浮沈を握る。
また、ポジションを上げ、ドリブルで仕掛ける機会の増える長谷川、負担の大きなアンカーと注目すべきポイントは山ほどである。
補強は若手中心、右サイドバックの固定なるか
(公式より引用)
固定できなかった右サイドバックには、ボールを運べる山根視来と高いクロス精度が武器のジオゴ・マテウスを獲得。
2シーズン連続で右サイドバックを刷新した形となる今シーズンこそ固定したいポジションだ。
ゴールキーパーには、昨シーズンは期限付きでの在籍だった馬渡洋樹と藤嶋栄介を完全移籍で獲得。そして、いぶし銀の丹野健太を獲得。ゴールキーパーは、5人の大所帯で挑む。
新卒では、東京五輪候補の三笘薫、旗手怜央に加えてイサカ・ゼイン、神谷凱士を獲得。アタッカーとして活躍していたイサカ・ゼインは、新体制発表会でも発表された通りサイドバックとしての起用が濃厚だ。
そこに山口からの武者修行を終えた宮代大聖がレンタルバック。
ユースから昇格した宮城天と遠野大弥は、それぞれカターレ富山とアビスパ福岡へ期限付き移籍となった。
全国区の知名度を誇る実績抜群の選手を必ず1名は、獲得していた例年に比べると比較的静かなオフとなった。
基本布陣と予想メンバー
前項で触れた通り今シーズンは、433へと移行。
ポジショナルプレーの要素が含まれる超アグレッシブというが、チーム自体には技術に優れた選手が多く、走力は武器としていない。
そのため、行ったり来たりを繰り返す走力勝負の展開を避けるためのプレスの質や判断を徹底していく必要がありそうだ。
そして予想にはなるが、ざっくりと各ポジションの所見を述べたい。
まずは、GK。
超アグレッシブのコンセプトは、何もフィールドプレイヤーに限らない。例年以上にハイラインを敷くことが予想されるのでその後ろの広大なスペースのカバーはもはや必須能力。
カバー範囲の狭さが要因で昨シーズン終盤にレギュラーの座を明け渡したチョン・ソンリョンはこれまで以上に努力の必要なシーズンとなる。
現時点でレギュラー当確と言えるポジションではなく、激しいポジション争いが予想される。
次にDF。
ディフェンダーは今シーズンもお馴染みの裏のスペースのカバーに気の利いたビルドアップとてんこ盛りの仕事量。
驚異的なカバー範囲のジェジエウと今シーズンからキャプテンに就任した谷口彰悟はほぼ当確だろう。昨シーズンの山村や車屋はオプションとしての起用となるか。
右サイドバックは、キャンプでスコアラーとして名を連ねている通りボックスまで侵入することが求められているか。山根とジオゴのスタメン争いとなる。
左サイドバックでは、ポジショナルプレーを個人レベルで習得している登里享平が筆頭か。
そして、MF。
これまでの2ボランチ+トップ下の三角形から、1ボランチ+2インサイドハーフの逆三角形へと形を変えた中盤のポジションはタスクに変化が。
こなし切ったら即海外のアンカータスクには、田中碧。インサイドハーフには、大島僚太が当確か。相方を脇坂泰斗と家長昭博、下田北斗らで争う。
ゴール前に飛び出すだけでなくアンカー脇のケアも含めて活動量は屈指のポジションだけにシーズン開始後も最適解を探すことになりそうだ。
最後にFW。
3枚の前線には、左では長谷川竜也がレギュラー筆頭。三笘らとのポジション争いで決定打となるのは得点力だろう。
右のみ適正者不在が否めないが、齋藤学や旗手らで争うことになりそう。小林悠もこのポジションの起用が予想されており、右サイドバックとの兼ね合いで人選が左右されると予想。
真ん中には、レアンドロ・ダミアンが君臨か。昨シーズンの雑な起用法でも文句を言わずシュート決定率30%超えを記録したストライカーを組み込めれば優勝にぐっと近づく印象だが、ここは試合を観て求められているタスクを把握してから判断したい。
狙うはリーグ、挑戦者として
(jfa.jpより引用)
今シーズン目指すはリーグ戦の奪還。そのため例年通りだと低調な出来が予想されるシーズン序盤を粘り強く勝利をもぎ取ることで乗り切りたい。
東京五輪を前にした三笘、旗手は開幕からアピールが不可欠なため彼らがアグレッシブに序盤戦から絡みスタートダッシュとなるか。
若手が増え新システムに取り組む今シーズンは、いつも以上に序盤戦の勝敗が重要になってきそうだ。
そして、国内では唯一となった未獲得タイトルの天皇杯を制覇することも筆者は期待したい。
新システムに世代交代。
例年になく期待と不安の入り混じるシーズン。雪辱に燃えるルヴァン杯王者の挑戦が始まる。
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