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深夜2時30分のポテトチップス
あぁ、なぜ人間は最も太ると言われている深夜帯にジャンキーで油まみれで芋のポテトチップスという食品に手が伸びてしまうのか。
わかるよ、わかる。
今食べたら、この負債を取り戻すのにどれだけ大変な運動や食事制限をする必要があるのか。
30歳を過ぎたこの身体にとってこの食べ物はどれだけ毒性が高いものなのか。
それでもなぜか私はこのポテトチップスに手を伸ばしてしまう。
なぜだ……。
☆
今日は9月1日。
8月が終わり、まさしく季節の変わり目。
季節の変わり目は体調が悪い。片頭痛が頻繁に顔を出す季節だ。
頭痛があると寝つきがとても悪くなってしまう。
こんな日にはいっそのこと部屋の外に飛び出して散歩していまいたくなる。
そして私は深夜2時にサンダルを履いて玄関の扉を開ける。
3日間まで、まるで夏の世界では暑すぎて汗が身体に纏わりつき歩くのがダルかった。
しかしながら、秋の香りを感じれるようになった今日は、空気はどこかスッキリしており、夜になるとアスファルトの熱は消えてストレスなく散歩ができる街になっていた。
今日は満月。
電線がかかった夜の空を見上げると、これぞまんまるお月様と呼べる天体が浮かんでいた。
秋の風を感じながら薄暗い路地裏を当てもなくウロウロと彷徨うこと数十分。
そろそろ自宅に向けて歩き出そうかなと思ったところで目に付くは住宅街に爛々と輝く青色に光るコンビニエンスストア。
せっかく歩いたしプロテインと牛乳でも買って帰るかという軽い気持ちで私は自動扉を開いた。
月明りの元という広大な空間から、青白い蛍光灯で囲まれた室内。
目に入る光の加減が大幅に変更されて脳への刺激が強くなる。
陳列されている商品がより魅力的に感じてしまう。
凛々と輝いていたのはポテトチップス。
メーカーはコイケヤ。
味はストロング荒くれ明太子。
果たしてこの時間に買っていいのか?
食べてしまったら大変な脂肪に変換されてしまうぞ?
少しの散歩で消費したカロリーより大幅な摂取量になってしまうぞ?
私はコンビニの棚で永遠の時を過ごした。
実際は3分ぐらいだったが。
☆
ポリエステル袋にポテトチップスを入れて夜道を買える。
袋をブンブンと振りながらルンルン気分で自宅へ戻る。
玄関の扉にカギを刺してねじ回すと、その先にはポテトチップスを食べるための空間が広がっていた。
机の上に座り自分が好きなYoutubeチャンネルを開きながらポテトチップスの音色が口の中で響く。
油と塩と芋の味が混ざり合って口に広がる。
時計の針は深夜2時30分を指していた。
こんな夜もあっていいじゃないか。
夏を抜け出し、肥ゆる秋。
2023年、初秋。
あなぐらパンダ。
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