メルカトールの世界地図 東西南北 その一
ぼくが今も覚えている世界地図は、教室の壁に貼られていた世界地図だ。
小学2年だか3年だかの頃だと思う。
黒板の斜め上の壁に貼られていて、ぼくたち児童を見下ろしていた。
すっかり古ぼけた爺さんの地図だった。
一枚の紙に世界がふんわりのっかっている。
ぼくは、あきず眺めていた。
その形にいろいろと不思議さを感じた。
なぜ南半分には海ばかりなのだろう。
北と南のアメリカ大陸は、今にも千切れてしまいそうだ。
アフリカも左肩に手を置いたようにずいぶん狭いところでつながっている。
アフリカのくびれたところと、南のアメリカの出っぱったところはきれいにくっつきそうだ。
先生質問です。授業の終わって引き上げようとするところに声をかけた。
なるほど、それはいいところに気が付いたね。ニコニコ。先生もそう思うよ。
そのまま教室を後にした。
え、それでおしまい?
質問してバカみたいだった。
こうして好奇心の芽は摘みとられて、いや、先生のせいじゃないとは思う。
ぼくが、凡程度の男の子だったということです。
授業中うたた寝はするし、宿題はやってこないし。
授業中教室の窓から外を見て、あの山の向こうはどんな所だろうと空想ばかりしていた。
四年生の頃だったか、地図帳を渡された。
〇〇県の⬜︎⬜︎町
地図の上で初めて自分の住んでいる場所を確かめた。
小学校の印があった。
世界地図から見たら針の先で突いた点にもならないのかもしれなかった。
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